2013/5/29 | 投稿者: pdo

CSで放送していた北野武監督『みんな〜やってるか!』と『キッズ・リターン』を観た。

『みんな〜やってるか』は、バイク事故直前の北野の不安定な自我がモロに出た映画で、ほとんど自暴自棄になっていたのではないかと思えるほどメチャクチャな出来だ。

『ソナチネ』で北野武という男を殺し、『みんな〜やってるか』では芸人ビートたけしを葬りたいという無意識の願望が表現されたのではなかろうか。

ちょっと評価しようがない作品だった。

『キッズ・リターン』は、バイク事故から復帰した監督第1作で、ここには「死への志向性」から転換した北野の「生への志向性」が表現されている、とも評されているようだ。

確かにそういう見方はできると思う。

何よりも、これは青春映画だ。青春映画に付きものの恋愛は(少なくとも前面には)出てこないにしても。

そして、ボクシング映画でもある。

このままいくとチンピラにでもなるしかないような、うだつの上がらない高校生2人が、それぞれに夢を追いかけようとして、挫折する。その過程が、リアルに描かれている。

映画の冒頭と最後のシーンはつながっていて、その間に、2人がそれぞれに過ごした密度の濃い日々の様子が挟まれている。

先にこれは青春映画だと言ったが、ちっとも甘酸っぱくはない。見方によってはひたすら苦々しいだけだ。北野はこれらの若者たちの姿を、これまでの映画と変わらないハードボイルドなタッチで描写している。

しかし、ここに描かれているのが人生の黄昏を迎えた男ではなく若者たちであるという事実と、彼らが最後に交わす印象的なセリフによって、この映画は、これまでの作品とは違って、「生きることへの志向」を感じさせるものになっている。

彼らに輝かしい未来が待っているかどうかは分からない(だぶんそうではないだろう)が、少なくとも彼らは「まだ終わってはいない」からだ。

通常なら「俺たちはまだ終わっちゃいない」というセリフで締めてもいい映画を、北野武はもっと印象的なセリフで締めた。

僕はこれまで順番に見て来た北野映画から「虚無」というメッセージを受取り続けて来た。

しかし、この映画で初めて提示されたのは、「虚無」ではなく、あらゆる可能性をその中に内包した「実存のゼロ地点」だと思った。

だから、彼らの人生は「まだ終わってはいない」のではなく、「まだ始まってもいない」のだ。

この「キッズ・リターン」によって、北野武の映画が新しい地点に立ったということは確かだと思う。

これからどうなるか楽しみだ。

次は「HANA-BI」だ。

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タグ: 北野武

2013/5/27 | 投稿者: pdo

笑う奴ほどよく眠る 吉本興業社長・大崎洋物語 [単行本]
常松 裕明 (著)

を読んだ。

吉本興業の現社長で、吉本の東京進出、メディア進出を推し進め、伝説の「2丁目劇場」を立ち上げ、ダウンタウンのマネージャーとしても知られるやり手のお笑い業界カリスマ的人物の自伝(の形式をとった一代記)だ。

出てくる超有名な吉本芸人たちとのエピソードが興味深い上、社内での人事抗争を含んだ赤裸々な苦労話がリアルで、面白く一気に読めた。

バリバリの辣腕業界人、というイメージとはまったく違った、むしろ不器用で訥々とした側面が強調されているのは意図的なものという気がするが、それにしても、世間で色々と噂されているよりは、この本に書かれていることの方が真実に近いんだろうな、という気がした。

自分はダウンタウンの「4時ですよーだ」を見ながら高校時代を過ごし、彼らの東京進出とほぼ同じ時期に大学に入って上京したので、あの時代の空気感はリアルに知っている。

吉本芸人がお笑い界のみならず芸能界全体を席巻している状況を作りだしたのは大崎氏の手腕によるところ大きく、いろんな点で功罪相半ばといった評価もあるだろう。

それでもこの本を読んで自分は大崎氏個人には好感を持った。

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2013/5/23 | 投稿者: pdo

5月21日と22日に行われた名人戦第4局は、先手番の森内名人が3手目に従来よくないとされていた2五歩という珍しい手を指し、結果的にはこの手を生かした形で羽生挑戦者を隙のない将棋で一気に押し切った。

羽生三冠は1日目の時点ですでに悪いと感じていたという。封じ手では歩を取るしかないという場面で異例の長考を見せた。

森内名人の会心譜として記憶される一番になるだろう。

この将棋に関しては、新趣向を見せた森内名人を称賛するしかないが、どうも羽生さんが本調子には見えなかったのは負けたという結果から見た気のせいか。

これで森内名人の3勝1敗となり、羽生挑戦者は名人位奪取のためには残り3連勝するしかなくなった。
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2013/5/13 | 投稿者: pdo



前回の中島みゆき「ファイト!」に続く、満島ひかりカヴァー第2弾は、米米クラブ「浪漫飛行」。

これもすごくいい。満島ひかりによるJ-POPカヴァーアルバムが出たら買う。

思わず収録曲を妄想してしまった。


満島ひかりによるカヴァーアルバム収録曲

1.ひこうき雲(荒井由美)
2.浪漫飛行(米米CLUB)
3.ロックンロールは鳴りやまない(神聖かまってちゃん)
4.FOREVER FRIENDS(REMEDIOS(麗美))
5.どんなときも(槙原敬之)
6.A Song For You(Leon Russell) duet with ステファニー
7.悲しみの果て(エレファントカシマシ)
8.ひとつだけ(矢野顕子)
9.アメイジング・グレイス 
10.ファイト! 中島みゆき
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2013/5/10 | 投稿者: pdo

昨日と今日にわたって行われた名人戦第3局は、羽生挑戦者の快勝だった。

仕掛けから駒損しつつ一気に攻め潰す本局の将棋は、先日のGPSと三浦八段の将棋を思い出させた。実力差がなくてもこれほど大差になることもあるのだから、そんなに悲観することもないのかもしれない。いつまで引きずってるんだという気もするが。

本局のニコニコ生放送の解説は渡辺竜王という豪華布陣であった。

さすがに竜王の解説は明快で分かりやすく、かつ面白い。手の見え方が半端ないだけではなく、「この将棋はこういうもの」という見切りが実にクリアーで目から鱗が落ちる。

コンピューターには膨大なデータ解析能力はあっても、素人にもわかりやすいこういう解説はできない。

渡辺氏は今日の放送で、コンピューターとやるのは大変だから見る側に徹したいと冗談交じりに語っていたそうだが、今の竜王とCOMの勝負はぜひ見てみたいと思う。

それにしても羽生さんは復調したと見てよいのか。名人戦もさることながら、渡辺竜王を挑戦者に迎える棋聖戦での勝負が楽しみである。

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