2013/3/28 | 投稿者: pdo

北野武監督の第二作『3-4×10月』を見た。

初脚本作品であり、『その男、凶暴につき』とどのような違いがあるのかを興味を持って見た。

結論から言うと、面白かった。

若干ネタバレになるが、脇役で登場するビートたけし演じるヤクザがいい味を出していた。

たけし軍団が草野球に興じるという冒頭のシーンからして、身内の映画ごっこに見られかねないリスクを冒している。

しかし、この作品には芸人ビートたけしによる芸能界的慣れ合い(例えばとんねるずの映画作品のような)はまったく無い。ひとつひとつの画像が美学に貫かれており、巨匠と言われる監督作品に共通する、映像の官能とでもいうべきものを味わうことができる。

ここでも「死に急ぐ男」というモチーフが底流にある。この作品で、映画という表現形式が彼の思想及び思考法に合っているということに彼自身本格的に気づいたのだろうと思う。

監督としての地位が確立した今となっては当然のことのように思われるが、当時はバブル景気の真っただ中でもあり、彼のクールな、再び言えば虚無的とも言える姿勢は、異常とも言えるほど際立っている。

つづく


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2013/3/19 | 投稿者: pdo


録画したビートたけしの初監督作品『その男、凶暴につき』を見る。北野武の監督作品はまだ1本も見たことがなかったので、勉強のつもりで見た。時間がなかったので早送りにした部分もある。陰惨で見たくないシーンも早送りにした。

たけしがこの映画を撮り、主演したのは、今の自分と同じくらいの年齢だ。当時の彼の佇まいは、この世の絶望と陰惨さと滑稽さと可笑しみ、そして哀しさを知っていると感じさせる。それは虚無的ですらある。破壊衝動のようなものも感じる。

お笑い芸人としてトップに立っていた彼だが、その眼差しは虚無的である。冷酷、というのとは違う。狂気でもない。狂気に憧れるが、狂気にすらなれない男の乾いた絶望だ。


以下ネタバレあり











最後に主人公が妹を撃ち殺したことについて、解釈が分かれているようだが、別にどう解釈しても構わないのだろう。

自分は、このまま彼女を生かしておいても不幸になるだけだし、自分(主人公)も早晩死ぬ運命にあることは明らかだから、これ以上の地獄を生みださないためにしたことだろうと思った。

いずれにしても、ハムレットの最後と同じで、悲劇は悲劇らしく終わるより仕方ないのだ。

ラストの菊池のエピソードは蛇足だという話もあるようだが、チープではあるが皮肉が効いている。仏教的世界観(諸行無常因果応報)などといえば大袈裟に過ぎるにしても。

バイオレンス映画は苦手だが、この作品に流れる「静けさの感覚」みたいなものにある種の魅力を感じた。

他の作品を見るのが楽しみだ。


追伸

後日たけしの本を読んでいたら、刑事が妹を撃ち殺したのは、自分も妹のように気違いになるのを恐れたからだとたけし自身が語っていた。

しかし、あの時点で、あの主人公に「何かを恐れる」という感情が宿っているとは考えにくいから、自分の解釈の方が正しいのではないかと思っている。
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2013/3/18 | 投稿者: pdo

昨日、NHK杯将棋トーナメントの決勝戦がテレビ中継された。

対決したのは、いわばディフェンディング・チャンピオンである、五連覇を目指す無敵の強さを誇る羽生善治NHK杯(NHKでは、他のタイトル保持者であっても、優勝者がNHKに出演する際には必ずこう呼ばれる。名人ですらその例外ではない)。

対する、いわば挑戦者は、先日竜王に続く王将位を手にし、棋王奪取も視野に入れている、いまや棋界最強の声も高い渡辺明竜王。

この現将棋界最高のカードを見逃すことはできない。

しかし、結論からいうと、大差での渡辺竜王の完勝に終わった。

この将棋を見た将棋ファンの感想は以下のとおり(2ch調べ)。


・NHK杯史上最もつまんない決勝戦だった(´・ω・`)

・渡辺の自然な指し回しと圧巻の構想力でいつの間にか羽生陣が圧迫され結局は手も足も出せず投了に追い込まれた

・特筆すべきは渡辺の6五歩
 あの手に渡辺の天才を見た
 渡辺以外には誰も指せない妙手
 おかげで羽生は手も足も出せず敗れた

・羽生さんはハードスケジュールだから負けたんだよ!

・羽生さんが必死に紛れを求めようと不思議な手を連発させても
 渡辺さんがそんな悪あがき認めませんよと全て咎めてしまって
 双方の年齢が逆転したかのような大人と子供の将棋だったな

・渡辺明は羽生の幻術(羽生マジック)にかからないよね。
 大抵の棋士は羽生の実績や雰囲気に気圧されて及び腰になってしまったり、
 自分を信用できずに羽生を信用してしまって、結果逆転を許してしまうけど、渡辺明は「なにこれ?」と咎める感じ。
 もちろん羽生は実力も相当なものだけど、すでに衰退期に入っていて、渡辺明には棋力を 抜かれている気がする。


いやはや、何とも手厳しい声ばかりである。

自分は羽生世代として、史上最高の棋士である羽生氏には、非常に思い入れがある。

誰が何と言おうと、全盛期の羽生の強さに敵う棋士は存在しないし、彼の存在が現代将棋全体のレベルアップに貢献した功績も計り知れない。

何より、自分は勝負師でありながら勝負を超越した求道的かつ清澄とした彼の人格に深い感銘を受け続けている。

以下にそれを示すわずかな例を挙げる。


深浦九段(以下、深浦):僕、アイスクリーム頼みたいんですよ。メニューにも当然あるんでそれを頼みたいんです。それ夢なんですよ。やっぱりいいじゃないですか。冷たくて。もう最終盤とか火照った体をちょっと冷ますって感じで理想的に思うんです。ただ冷たいもの急に入れるとおなか壊しちゃうかなーって、ちょっと競った局面でリスクは負いたくないって。

インタビュアー(以下、イ):でもアイス来たらすぐに食べなきゃだめですよね。

深浦:そうそうそう。僕はずっと思ってて、羽生さんとタイトル戦の時に羽生さんが頼まれてて、僕はシュークリーム頼んでて「あー僕のシュークリームちょっと貧相だな」っと思っちゃったんですけど(笑)
将棋もすごい佳境で、でもアイス運ばれてて羽生さん手つけないんですよ。
途中から羽生さんのアイスクリームが気になってですね、いつ食べるんだろうって盤面みながら、おやつの方みたりして、こっちにちょっと動揺が出てきたんですね。

イ:アイスで動揺(笑)

深浦:10分15分経つごとにアイスクリームが溶け始めてるんですね、対局室も結構暑いですから。
んでドンドンドンドン溶けだして、僕はもう気が気じゃなくて、「アイスクリーム溶けてますよ」って言いたくなるくらいだったんですけど。

そのうち完全に溶けちゃって、もう液状化されてバニラジュースみたいになってんですよ。

でも羽生さんは全然意に介さなくて、「ああこれはもう将棋に没頭してるんだな」と僕も考えるの諦めて将棋のこと考え始めたんですけど、3時30分くらいですかね?やおらに羽生がその器を持って、バニラジュースをズズズッと飲み始めましたね。

あれを見て「今日の将棋はダメだな、負けそうだな」と思いましたね。



過去に、渡辺明との対局においても、同様のエピソードがある。

おやつの時間に、羽生さんはアイスクリームを注文したと。それが700円もするアイスクリームで、
それにも渡辺竜王はびっくり。さらにびっくりは、羽生王座は、そんな高価なアイスクリームを注文しておきながら、一切、手をつけず、一心不乱に指し手を読み続けていること。 渡辺竜王は、アイスクリームが溶けていくのが気になって気になってしょうがない。

渡辺「羽生さんは最後までアイスには手をつけなかったので、あれで、この将棋は負けたと思いました」


自分は渡辺明竜王にも非常に好感を持っている。

彼は、トッププロになってからずっと、自身のブログをほとんど毎日のように更新していて、自分の生活を公私ともにオープンにしている。それだけでなく、タイトル戦の対局予定や、将棋界の動きなど、ファンに対しての情報提供というサービスを忘れない。

間近に迫り大きな話題となっているコンピューターとプロ棋士の本格的な将棋対決も、何年も前に最初に受けて立ったのは渡辺竜王だ。

勝って当たり前、負ければ大ニュースになり、どう考えてもメリットのない、誰もがやりたがらない役目を自ら引受け、結果として見事に勝利した。

羽生さんとは違った意味で、渡辺さんも若くして人格者の貫禄がある。間違いなくこれから数十年間の棋界を背負って立つ人物である。

自分としては、現時点で羽生さんが渡辺さんに完全に追い抜かれたとは思いたくない。

自分が望んでいるのは、今期の名人戦で羽生挑戦者が森内名人から名人位を奪取し、翌年の名人戦に渡辺竜王が挑むという展開である。

森内名人が嫌いなわけではない。むしろ森内さんの誠実な人柄は大好きだが、将棋界のてっぺんをかけた、天下分け目の名人戦をそろそろ見てみたい。

それが実現しなければ、羽生・渡辺の最高の闘いは、あの永世竜王と永世七冠をかけた、2008年の第21期竜王戦ということになるだろう。






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2013/3/12 | 投稿者: pdo

元AKB48、そして元SDN48のメンバーである大堀恵の『最下層アイドル』をブックオフで買った。

これはすごい本だ。

先日卒業した仲谷明香の『非選抜アイドル』を読んだ時にも感心したが、これはもっとリアルで生々しい。

アイドルの枠をはみ出した過激路線により家族との関係が壊れていくくだり、そしてその後について書いた部分は、志賀直哉の『和解』を読んだときのように涙が出た。

これからはめーたんを応援せずにはいられない。

しかし、AKBには、これ以上にとても本にできないドラマがいくらでもあるんだろうな、と考えると、この世界(芸能界)の業の深さというものをしみじみと感じる。

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2013/3/8 | 投稿者: pdo

夏菜、朝ドラ脚本家に怒鳴られトイレ籠城 

2月22日、NHKの朝ドラ『純と愛』が無事にクランクアップ。その過酷な撮影について、ヒロイン・待田純を演じた夏菜(23才)はブログに「私は崩壊寸前でした。いや、崩壊してました」と綴った。

撮影現場で、誰よりも夏菜を苦しめたのが、『家政婦のミタ』(日本テレビ系)も書いた脚本家・遊川和彦氏(57才)だったという。

「撮影は大阪で行われていたんですが、遊川さんは週1で現場に顔を出しては、夏菜さんに説教していました。“お前は技術ゼロだ!”などと容赦なく罵声を浴びせていましたね…。

夏菜さんも負けん気が強くて“文句ばかり言うなら具体的に教えてくださいよ”と言い返すもんだから、怒鳴り合いになることもありました。今思えば、女優さんが脚本家に“逆ギレ”なんてありえませんから、夏菜さんはたしかに“崩壊”していたんでしょうね…」(NHK関係者)

そして、こんな事件が起こったこともあったという。

「遊川さんに怒鳴られまくった夏菜さんがトイレに逃げ込み、中から出てこなくなってしまったんです。泣いていたみたいで…。スタッフが説得して、ようやく“すみませんでした”と出てきたんです。この事件はスタッフの間では、“トイレ籠城事件”として語り草となっていますよ(苦笑)」(前出・NHK関係者)

※女性セブン2013年3月21日号



この脚本家の「家政婦のミタ」はほとんど見たことがないが、「純と愛」を見る限り、次々に刺激を与えるばかりで、人物描写はありきたり、構成は凡庸で、まったく才能を感じない。

会社で、こんな上司に苛められる部下は可哀そうだ。パワハラじゃないか。

登場人物のキャラクターが酷過ぎてとても見ていられないが、それは脚本のせいであって、演技のせいではない。夏菜の演技は、個人的にはよくやっていたと思う。

NHKのドラマは、単発ものにはいい作品がけっこうあるが、最近の連続ドラマは質のいいものがほとんどない。

子供には、もっといい作品を見せてやりたいものだと思う。わざわざDVDを借りて来て見せるよりも、こういうドラマや映画で見たものこそ記憶に残ると思う。

最近のテレビの洋画劇場も、昔のいい作品をやらなくなった。

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