近松秋江

2021/6/15 | 投稿者: pdo

小島信夫の『私の作家評伝』で近松秋江が読みたくなり、青空文庫で読める『別れたる妻に送る手紙』、『うつり香』、『黒髪』、『狂乱』、『霜凍る宵』を読む。

秋江のこれらのシリーズ物は、俗に「ストーカー小説」とも呼ばれるが、何か江戸以前の古典文学を読んでいるような独特の情緒もあって、単にスキャンダラスな効果のみを狙ったような小説とは明らかに違う趣きがある。

特に『黒髪』、『狂乱』、『霜凍る宵』の京都の芸者を追いかける話は、全編に遍満する京都弁からそのうち薄ら寒い空気が立ち込めてきて、過激な描写など一切ないにもかかわらず、終いにかけてこの世の冷ややかな一種の地獄のようなもの(kind of hell)を体験できる。

小島信夫が秋江の小説を好んだのはよく分かる気がする。
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