2018/10/2  15:23 | 投稿者: 江夏亜希子

子宮頸がんの原因はHPV(ヒト・パピローマ・ウイルス)であることがわかり、
子宮頸がんは定期的な検診で早期発見できるばかりか、
HPVワクチンで「ある程度」予防できるようになってきました。

2013年4月にこのHPVワクチンが定期接種化され、
小学6年から高校1年生の女子に公費(自己負担0円)で接種できるようになり、
「さあ、これからの女性は子宮頸がんで命を失うリスクが下がるぞ!」
「子宮頸がん検診を受ける間隔も安心して広げることができるかも?」
と期待してきたことは、このブログにもこれまで書いてきました。

例)2013年5月22日のブログ 


ところが、定期接種されると同時期に、
HPVワクチン接種後に体調不良を起こした方のことがテレビ等で報道され、
「副反応ではないか」という懸念が持たれたことから、
たった2ヶ月後、2013年6月に厚生労働省から「積極的な接種勧奨を差し控える」という通知が出ました。

あれから、もう5年以上の年月が過ぎました。

この5年の間に、様々な検証がなされ、
「副反応」とされる様々な症状は、思春期女子に起こりやすい症状で、
ワクチン接種を受けていてもいなくても、
同程度に起こっているという研究成果が複数発表されています。

また、副反応に対する懸念のために「接種勧奨を差し控える」という対応を取っている国は日本のみ。

本当に異常な状態が続いています。

日本で使われているHPVワクチンは、
HPVのうち特にリスクの高い16,18型の感染を抑えるもので、
16,18型だけを予防する「サーバリックス」と、
16,18型に加え、尖圭コンジローマの原因になる6,11型も予防できる「ガーダシル」の
2種類のみ。

海外では既に「ガーダシル9」と言って、上記のガーダシルが予防する4種に加え、
31、33、45、52、58型の計9種を予防できるものも発売され、
主流になっているのですが、厚生労働省はそれさえも認可を見送っています。
(日本での認可申請は2015年7月に行われていますが、既に3年塩漬け)

また、HPVは子宮頸がんのみならず、肛門癌や中咽頭癌など
他部位のがんの原因にもなることから、男子にも公費で接種する国が増えてきています。

そんな中、いつ大手を振ってワクチン接種をお勧めするか、
国(厚生労働省)の動きをずっと見守ってきましたが、
なかなか再開される気配がないのが非常に残念です。

ただ、「積極的な勧奨はしない」とされていても、
「定期接種から外された」わけではなく、
ご本人と保護者でよく考えて、納得して打ってくださいね、というもので、
各自治体に申請すれば、今でも無料で接種を受けることができます。

当院の所在する東京都中央区のHPVワクチンについての案内HPをご覧ください。

【必要部分を抜粋】
対象者;区内在住の小学校6年生から高校1年生相当の年齢までの女性
    (高校1年生の年度末まで、6か月以内に3回接種してください。)
接種費用;無料
対象ワクチン;子宮頸がん予防ワクチン(国内承認ワクチンに限る)

現在、接種の積極的な勧奨を差し控えているため、予診票等の送付は行っておりません。
接種を希望される方は、中央区保健所・日本橋保健センター月島保健センターで予診票等を交付しますので、母子健康手帳をご持参のうえご来所ください。
(抜粋ここまで)

高校1年の年度末までに3回接種を完了、ということは、
1回目を10月中に打たなければ完了できません。



「どうしたらいいのか、専門家と相談して決めたい」

という中央区民の方がいらっしゃいましたら、
まずは上記の区の窓口で申請をお済ませのうえ、受診予約をお取りください。


接種すべきか、見送るか、ご自身で(親御さんも含めて)判断していただけるよう、
できるだけわかりやすく説明させていただきます。


2013年当時、小学6年、中学1年だった女子たちの中では、
「ある程度、見解がまとまって積極的な勧奨が再開されるのを待つ」
と決断した人も多かったのですが、
彼女たちももう高校2,3年になり、定期接種の対象年齢を外れてしまいました。

将来積極的な接種勧奨が再開されたときに、この方々にも公費で保証がされるかどうかは
今のところ不明確です。
また、その間に性交経験があれば、ワクチンの効果が薄れてしまいます。

このワクチンは、半年の間に3回の接種が標準とされ、
自費で接種すると、合計5万円くらいかかってしまうものです。

せっかくなので、公費負担の間に考えたい、という方。
是非、ご検討ください。

※東京都中央区以外にお住まいの方は、
 「〇〇市・町・区、子宮頸がんワクチン」
 で検索を書けると、各自治体のHPはヒットし、要項が載っていると思われます。
 そこに載っているワクチン実施医療機関に問い合わせされることをお勧めします。


【追記】
半年間に3回接種が必要、と書きましたが、
米国疾病予防管理センター(CDC)のガーダシル®9接種に関する現行の推奨は以下の通りです。
・11〜12歳の小児は、HPVワクチン接種を6〜12カ月間隔で、2回受けるべきです。
 (この2回接種の間隔が5カ月未満の場合、3回目の接種が必要)
・HPVワクチン接種に対する推奨事項については、将来変更される可能性があります。
・HPVワクチンは26歳までの女性と21歳までの男性に対して推奨されます。
・15歳以上で初回接種を受ける場合は、6カ月の間に3回接種を受ける必要があります。
・HPVワクチンの有効な一連の接種を終えた人は追加接種を受ける必要はありません。
※参考サイト https://www.cancerit.jp/38616.html
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2014/9/7  21:20 | 投稿者: 江夏 亜希子

これまで避妊リングとして使われてきた「レボノルゲストレル放出避妊システム(LNG−IUS)『ミレーナ52r』」が、ついに、過多月経の治療薬として、保険承認されました!!
(2014年9月2日より)

それに伴い、挿入費用は保険3割負担で1万円前後になります。
(保険診療は、初・再診料、併用したエコーや挿入手技・処置料、指導・管理料、夜間診療加算などが個々に加わってきますので、正確な金額はここに書けませんが、目安としてこのくらいになります。)

これまで、当院では挿入時68000円(診察料、エコーなどの検査料、手技料など込)でしたので、これは助かりますね〜。

過多月経があり、OC(低用量ピル)/LEP(低用量エストロゲン・プロゲスチン配合剤)を使ってきたアラフォーの方、また副作用が出た、前兆のある片頭痛や喫煙などのリスクがあってOC/LEPが使いづらかった方には大きな福音になりますね。

実は、今年の初めころから「保険が通るらしい」という話で、時期を待っている状態でしたので、当院に通院されている方にはずいぶんお待たせしてしまいました!


例の血栓騒ぎ(詳細はこちらこちらをお読みくださいね)以来、特にアラフォー前後の低用量ピルユーザーの方に対して、
積極的に黄体ホルモン療法への切替をお勧めしております。

OC/LEPの成分は、エストロゲン(エチニルエストラジオール)+プロゲスチンで、
血栓を起こしやすくする原因はこのエストロゲンにあります。
(上記ブログに記載がありますが、エストロゲンは女性のからだを守る一環として、月経や妊娠出産時の血液を止血させやすくする、という役割を持ちます。)

エストロゲンは子宮内膜を厚くする、いわば「アクセル」のようなもの、
プロゲステロンは、その子宮内膜をキープする、いわば「ブレーキ」のようなものなので、
「それならブレーキだけ踏んどけば?」
というのが、黄体ホルモン療法の考え方。

OC/LEPに含まれるエストロゲンは、脳からの卵胞発育(排卵の準備)を抑制するため、自身の卵巣からの排卵やエストロゲン分泌を止めてしまいますが、
黄体ホルモン療法は、子宮内膜をキープするブレーキを踏んでいる状態なので、自身の卵巣からの卵胞発育とエストロゲン分泌は起こりますが、内膜が厚くならず、いわば「煎餅布団」のような状態+おりものが黄体期状になるので、高い避妊効果を得られます。
そのかわり、卵胞発育が止まらないため、まれに卵巣機能性嚢胞(卵胞が破裂せずに残って腫れてしまう)が起こったり、内膜が薄い分不正出血を起こしやすい、というのが問題点になります。

ミレーナは、子宮内に、5年間かけて黄体ホルモン(レボノルゲストレル)を放出させる小さな装具(従来、避妊リングと呼ばれていたもの)を置いておくというものです。
5年間入れっぱなし(毎日内服しなくていい)でよく、子宮周りにしかホルモンの影響はないと考えられるので、嘔気などの全身的な副作用はほとんどありません。
問題があるとすると、挿入時の痛み(子宮体がん検診程度で、痛みの強い人でも10分ほど鎮痛剤を飲んで横になれば収まります)、卵巣の腫れ、不正出血といったところでしょうか?
よほど問題がない場合、不正出血は最初の数ヶ月はダラダラ少量の出血が続く人が多いですが、半年も経つと月に2〜3日少量の出血があるのみ、2割程度は無月経になる、と言われています。

月経痛(月経困難症)に対しては、今のところ保険適応がありませんが、現在審議中とのこと。
認められたらまたお知らせしますね。

今回、保険適応になったことに伴いミレーナの仕入れ値が大幅に低下したことを受け、
避妊目的などで自費で挿入する場合の金額も改訂いたします。
(診察料、指導料、超音波検査、器具料、処方等込)
  初回挿入時                旧¥68000 → 新¥50000
  入替え(当院で挿入した方のみ)      旧¥65000 → 新¥45000
  再挿入(当院で挿入し、自然脱落した場合) 旧¥40000 → 新¥30000


なお、子宮内膜近くに筋腫がある方、子宮腺筋症で子宮が大きく腫大している方(目安としては前後径7p以上)には、自費でも保険でも挿入できません。
その場合は、他の治療法を提案いたします。

黄体ホルモン療法としては、
子宮内膜症と診断されている方には、内服薬のジエノゲスト(ディナゲスト)、
内膜症の診断はされていない、または高価なので使いづらい、という方にはノルエチステロン(ノアルテン)をお勧めすることが多いです。
そのほか、偽閉経療法(GnRHアゴニスト)や止血剤など、また手術など、
その方に合った方法をご提案します。

ご興味のある方はお気軽にご相談くださいね!

※ミレーナをすでに挿入中の方のための情報サイト https://www.mirena.jp/index.html




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2013/5/22  23:14 | 投稿者: 江夏 亜希子

本日、5月22日は急遽、17時までで診療を終了させていただき、
私も委員をさせていただいている、子宮頸がん征圧をめざす専門家会議が主催するセミナー「ワクチンについてよく知ろう」に、クリニックのスタッフと一緒に勉強しに行ってきました。
http://www.cczeropro.jp/assets/files/ibent/2013.5.22.pdf

人類の歴史は、感染症との闘いの歴史です。
そして、その中で人類が手にした大きな光明の一つがワクチンであることに異論がある人は少ないでしょう。

ただ、ある感染症がワクチンで征圧されると、人々はその感染症の怖さを忘れ、
ワクチンの副反応(デメリット)ばかりが目につくようになり、接種を避ける。
そうすると、忘れたころに大流行してその感染症の恐ろしさを再認識し、
あわててワクチンを求めて走り回る。
そんな愚かな歴史を繰り返しているのも、また人類です。
(今回の風疹騒動が象徴的ですよね。)

特に日本人は、ワクチンに対する不安、懐疑心が強いようで、
ワクチンの副反応を恐れ(副反応への責任逃れ?)るばかりに「ワクチン行政」が立ち遅れ、
日本は悪名高き「ワクチン後進国」(感染症輸出国)と世界各国から恐れらているのは、残念な事実です。

さて、その日本でも、予防接種法改正により、
この4月から子宮頸がん予防(HPV)ワクチンが「定期接種」になりました。
「定期接種」というのは、厚生労働省のHPにも書かれている通りですが、接種は「努力義務」(※絶対に打たなければならない訳ではない)となり、公費(自己負担ゼロ)で接種が行われ、副反応の報告も義務となり、副反応への補償も充実したものとなりました。

その矢先、先週、テレビでHPVワクチンを接種後に重篤な副反応が起こった方の映像がテレビで報道され、一気にHPVワクチン接種への不安や、定期接種の見合わせを求める声が噴出しております。
それを受けて今回の勉強会が開催され、HPVワクチンに限らず、さまざまなワクチンを取り巻く考え方と現状について講義がありました。

まず、どんなワクチンでも、異物を体内に入れるわけですから、「副反応」は避けられません。
接種後は、因果関係の有無がわからなくてもすべての「有害事象」が報告され、検証される仕組みがあります。
ただし、その仕組みは「因果関係があるかもしれない重大な副反応があるから、接種をただちに中止する」というためのものではありません。
そもそも、HPVワクチンが認可されたのは、十分な科学的検証、臨床治験が行われた結果です。
(ワクチン反対派の人は、そのデータさえも「捏造?」との疑義の目を向けるようですが。)

「因果関係が検証されるまで、念のために一時中止する」というのは、その間に起こる感染をストップできないので、ワクチン行政としては最も行ってはいけないことなのだそうです。

今回報道された、杉並区の女子中学生の例は、CRPS(複合性局所疼痛症候群)と診断されて、下記の声明にも書かれているように、これはHPVワクチン特有のものではなく、採血や外傷の後にも起こり得る、また緊張や不安でも症状が増幅しやすいものだそうです。
http://www.cczeropro.jp/assets/files/report/fukuhannnou418.pdf
ご本人、ご家族の苦悩はいかばかりか、と想像するに余りあります。
一日も早いご平癒を心からお祈りしております。

しかし、このために接種を見合わせ、その間にHPVに感染して将来子宮頸がんが起こるリスクを抱える人が出るのは避けなければいけません。
もちろん、安心できるまで接種を控えるという判断をされるのは自由です。
その場合、その間にsexual debut(初体験)をしないよう十分教育し、性交を経験したら(ワクチンの有無にかかわらず)頸がん検診を受ける必要がある、ということをご本人にお知らせいただきたいと思います。

ただ、その間にも接種するメリットのほうが大きい(たとえばsexual debutまで猶予がなさそうとか)と判断された場合には、接種を受けたい人の権利を奪うことがあってはならない、
というのが「公衆衛生」の考え方なのです。

私たちは医療現場で働く者として、みなさんが冷静にワクチン接種のメリットとデメリットを判断し、接種するかどうかを判断できるようにお手伝いするのが責務なのだと再認識できたセミナーでした。

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2013/4/18  6:42 | 投稿者: 江夏 亜希子

3月14日。東御市の外来が午後からだったので、軽井沢で前泊して、お昼前にレンタカーで東御に向かっていました。長野ではレンタカーでドライブするのがとても楽しみで、いつも車内ではFM長野を聞いています。

ちょうどそのとき流れていたのが、坂本美雨さんの「ディア・フレンズ」
その日のゲストが大宮エリーさん。
(あ、この日のon airレポートも出てますね!)

「大宮さんにとって、個展とは?」と尋ねられて、
「テレビや本やCMを作っている時の一方通行と違って、
 個展では一人一人とふれあえる貴重な場所」
みたいなことを答えていらっしゃって、なんか電気が走ったのです。
(運転中でメモできなかったので、正確な言葉じゃなくてすみません。)

私たち医者にとっては、まさに外来がそれだよな〜って。
なのに、それを私たち医者自ら、ないがしろにしていないか?って。

子宮頸がん検診をうけましょうとか、月経痛は放置しないで、とか。
どんなにブログや本に書いても、講演活動をしても、
それは「一般論」でしかないですよね?

外来って、患者さん(または受診者さん)と医師・医療関係者が、
まさにマンツーマンで、その人のお話を伺ったうえで、
必要な知識を説明し、その人に合った形で様々な改善策を提案できる、
双方向コミュニケーションをとれる唯一といってもいい場所であるはず。

なのに、そんな診察をしている医者も、
そんな気持ちで受診されている患者さんも、ほとんどいないんじゃないのかな?
本当はそうしたいけど、時間的な制約などから実現できないんでしょうけど。
残念なことですよね。

先日いらっしゃった患者さんは、とある有名企業が開催した「妊活セミナー」に出て、
「自分が産めるかどうか不安。卵巣寿命を知るためにAMH検査を受けほうがいいと聞いたから」、
といって受診されました。
お話を伺うと、AMHよりももっと大切なこと(検診や子宮・卵巣の疾患)が放置されていたりするのです。このブログに書いた通り。

結局、一般論で語られたセミナーや講演会、書籍では、かえって不安を煽られてしまう人がいるのだなあ、と痛感させられ、講演や執筆を依頼される立場として非常に身の引き締まる思いがしました。

やっぱり、外来って大切。
どんなに医学が発展して、いい治療法ができても、
どんなにこうしてインターネットなどの情報ツールが発達して、情報を得られるようになっても、
「その人に合ったオーダーメイド」というのは、
実際に人と人がコミュニケーションをとってこそ成り立つもののはず。

実は。驚かれるかもしれませんが。
私たちの受けてきた医学教育では(今の若い研修医はどうか知りませんが)
「外来診療の進め方」って、きちんと系統だてて学んでいないんですよね。
そんな教育カリキュラム、ないんです。
先輩の外来を横から眺めながら、説明の仕方など「盗んで」、
試行錯誤しながら自分のスタイルを作っていくようなもの。
手術などは、手取り足取り教えてもらうのに。
そりゃあ、個人のセンスによってかなりの差があるはずなのですが、
私たち医者同士は、他の医者の外来の進め方を知らないものだったりします。
複数の医師が在籍する医療機関の看護師さんなんかは、医師の「外来スキル」の違いをよく知っていますね、口にはされませんが。
で、「外来スキル」がどんなに高くても、なぜか医者同士での評価はそれほど・・・。
(手術がうまい、不妊治療で妊娠率が高い、研究して論文をたくさん書いている、などは評価と尊敬の対象になりますが。)
でも、それって、患者さんが望んでいるものとかけ離れていないかしら?と思うのです。

もっと、外来の重要性を認識する必要があるんじゃないのかな?と思うのですが、いかがでしょう?

東京に出てきて、クリニック勤務になるときに、
「手術をしない、外来だけの診療はつまらないし、大変じゃないのか?」
と何人かの先生に聞かれました。
自分も、手術は嫌いではなかったですが、外来だけになっても意外と未練はなかったというか。
外来だけをしている毎日の中で、外来の奥深さを実感し続ける毎日。
「婦人科外来学」ってきっとあるんだろうなあ、と思うようになりました。

私は、「外来のプロ」として誇りを持って仕事をしたいと思っています。
受診してくださる方には、「プロの仕事」をお見せできるよう、努力していきたいと思います。
ただ、そのためには、患者さんにも、「患者のプロ」になっていただく必要が出てくるのですけどね。

久しぶりに、最近考えていることが少しまとまってきたので、書いてみました。

2013年4月18日23時追記
少し言葉足らずだったかもしれないので、少し追記します。
ほとんどの医療機関で、多くの先生が、一生懸命外来をされています。
でも、外来もして、手術もして、お産もとってという八面六臂で大活躍されている先生方が、患者さんが望んでいるような十分な説明をする時間が確保できるとは、とても思えません。
一方、患者さん側の多くが、私たち医師が「当然これくらいは知っているだろう」と端折ってしまうような基本的な医学的・体についての知識を知らないという現状があります。
(特に、女性のからだについての知識は「性教育」にくくられてしまって、それだけで教えること、知ることを拒絶する風潮もあったりするので余計。)
その大きな溝を埋めていくのが「婦人科外来学」ではないのかな?と思っているのです。
だって、私も医師になって、いや、産婦人科医になってしかも大学院生になって排卵機構やホルモン分泌を深く勉強してからやっと、月経周期のことを深く理解できましたから。
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2011/9/16  8:14 | 投稿者: 江夏亜希子

東京都中央区では、従来のサーバリックス(2価)に加え、
2011年9月15日より、ガーダシル(4価)の公費助成が始まりました。
公費助成対象は、中央区に住民票がある中学1年生〜高校3年生(相当年齢)で、
接種期限(3回接種終了)は、
中学1年生が平成27年3月末、
中学2年生が平成26年3月末、
中学3年生〜高校3年生が平成25年3月末
となります。

公費助成対象外の方は、自費で接種をお受けいただけます。
料金は、サーバリックス(2価)もガーダシル(4価)も同じで、
1回接種毎支払いされる場合 18,000円(税込;18,900円)
3回分一括支払いされる場合 48,000円(税込;50,400円)  です。

なお、当院では原則、ガーダシル(4価)をお勧めしています。理由は、「こちら」をご覧ください。

サーバリックス(2価)をご希望の方は、薬剤を取り寄せる必要があるため、
ご来院当日に接種できない場合がありますことをご了承ください。
ご来院当日に接種を希望される場合は、必ずご予約の際に「サーバリックス希望」とお申し付けください。

なお、これまでにサーバリックスを受けた方が、再度ガーダシルを受けることはできません。
(安全性が確認されていないため)
また、3回の接種の途中で違う種類に変えることもできませんので、ご注意ください。
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2011/9/4  23:40 | 投稿者: 江夏亜希子

四季レディースクリニックを初めて受診された方は、
まず「問診の長さ」にびっくりされる方が多いです。

私は、初診は「お見合い」のようなものだと考えています。
それなら問診票は「釣書」(就職時の面接なら「履歴書」かな?)。
問診票って、けっこう「その人」が出るんですよ。

これまでどんな症状があって、どんな治療を受けてきたのか、はもちろん、
月経について、どの程度の知識があるのか?
自分が受けてきた医療についてきちんと理解して説明できる方なのか?
自分の体や症状ときちんと向き合って治したいという姿勢がある方なのか?
・・・などなど。

だから、その問診票を元に、私は年齢を追っていろいろ質問を進めていきます。
既婚か、未婚か。未婚や独身なら、現在パートナーがいるか?
パートナーがいれば、すぐの妊娠を希望するのか、今はむしろ避妊したいのか?
初潮は何歳で、月経周期は順調か?不順なら、どの程度の幅があるのか?
初潮からずっと不順なのか、ある年齢から急に不順になったのか?
不順になった頃、生活環境や、体型に変化がなかったか?
月経痛はあるか?あるなら、何歳くらいからあるか?ひどくなる傾向があるのか?
月経血量は?(自分で普通と思っていても、よく聞くと多めだったりする・・・)
これまでに何かの症状で婦人科を受診したことがあるか?
あれば、何歳頃、どんな症状で受診し、どう診断され、どんな治療を受けたのか?

・・・結構、覚えていなくて答えられない人も多いものですが、
もし、そうなら、こちらは今日これから説明するときにいかにきちんと説明して理解していただくか、気をつけなければいけないわけで。
(だから、答えられないことを責めている訳じゃないんですよ。
 ただ、「自分の体に興味はないんだな〜」って、残念になり、
 いかに理解してもらうか、かえって燃えるくらいで・・・(笑)。)

最近、気になっているのは、以前症状があって、どこかの医療機関を受診し、
「大丈夫と言われたから・・・」って、その後、全く受診していない人が多いこと。

典型的な例を挙げてみましょう。
10代から月経痛が強く、高校生の時に電車で倒れて救急車で婦人科に運ばれた。
そのときの診察では「問題ない」といわれ、鎮痛剤を処方された。
そのまま、同じ鎮痛剤を内科で処方してもらい、内服しているが、
婦人科にはそれきり、行っていなかった。
月経痛はあるけれど、鎮痛剤を飲めば仕事には行け、高校の時のように倒れることはない。
婦人科検診は自治体(市区町村)の検診や会社の検診で受けており、異常なし。
昨年結婚したが、なかなか妊娠しないので、相談のために受診した。

結構、よくあるケースですが、こういう場合に診察で見つかるのが「子宮内膜症」。
10代の時から月経痛が強いが、そのまま我慢している人。
20代とかある年齢くらいから急に、または産後に月経痛が強くなった人は要注意!

子宮内膜症という病気は、排卵・月経の回数が多いほど起こり、進行する病気です。
もともと月経痛の強い人にはその素因があるのでは?ともいわれており、
そういう人が妊娠せずに毎月排卵・月経を繰り返せば・・・?
そりゃ、20歳で診察(内診・エコー)を受けても何も所見がなくても、
5年、10年と時間が経つにつれ、卵巣が腫れ(チョコレートのう胞)たり、
子宮が腫大(子宮腺筋症)したり、はっきりとした所見が徐々に現れるものなのです。

数ヶ月前から月経痛が急に強くなった」と初診された方。
初診時には内診・エコーでは何の所見もなかったのに、
2〜3ヵ月後の再診を指示してもういちどエコーをすると、
子宮内膜症(卵巣チョコレートのう胞)ができていた!ということもよくあるのです。

内膜症も筋腫も、卵巣などの腫瘍も、もちろんガンだって、
「今日なかったから、1年後大丈夫!」
という保証は全くないのです。

年一回の子宮ガン検診を受けるのは、まず「当然」ですが、
実は、市区町村の検診や人間ドックで行われているのは
「子宮頸ガン検診だけ」がほとんど。
また、そのような検診でされる内診(医師が膣に指を入れ、反対の手はお腹の上から子宮を挟むようにする診察)では、正直なところ、「筋腫や卵巣腫瘍や癒着など、ある程度大きくなった進行した状態」でしかわかりません。

超音波検査(エコー)を一緒に受けられるかどうか、確認しましょう。
もし、追加で受けられない場合は、お近くの婦人科を受診すれば受けられます。

超音波検査も、お腹の上から当てる「経腹エコー」ではあまり意味がありません。
内診台に上がり、親指大の細いエコーの器械(プローべ)を膣から入れてみる「経膣エコー」か、性交経験のない方には肛門から入れる「経直腸エコー」を受けましょう。
経腹で見えない細かな異常がみつかることが多いものです。

特に子宮内膜症の場合は、エコーでも写らないような初期病変があります。
これは、低用量ピルを使うことにより、
排卵を抑え、女性ホルモン(エストラジオール)が低く保たれるために、
内膜症の悪化・進行を防げる可能性が高いと考えています。
だからこそ、今すぐの妊娠希望がない月経痛の方には、積極的にピルをお勧めするのです。

なんだか熱弁!になってしまいましたが、
・初診の時には問診票を丁寧に書き、これまでの症状や受けてきた治療を整理しましょう。
・受診したら、医師の指示通りに定期的な診察をうけましょう!
・次回の受診指示がなくても、少なくとも年一回はエコー(経膣・直腸)を受けましょう!
・市区町村や人間ドックで受けられる婦人科検診は、基本「子宮頸ガン検診のみ」。 
 月経痛などの症状がある人は、かかりつけ医を見つけ、定期的にエコーを受け、
 必要なときに早めに治療を受け始めましょう!

これが、今日、私が言いたかったことです。

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2011/8/21  23:46 | 投稿者: 江夏亜希子

もうこのブログをお読みの方はご存知かと思いますが(ご存知であって欲しい!)
子宮頸ガンの原因はHPV(ヒト・パピローマウイルス)であり、
特に性経験をする前にワクチンを受けておけば、
子宮頸ガンになるリスクを下げる効果があります。

HPVには全部で100以上の型(ジェノタイプ)があり、
その中で女性の性器に感染するのは35〜40タイプ。
うち、子宮頸ガンに関与するいわゆる「高リスク群」が13〜15タイプ、
その他の約20タイプは「低リスク群」と呼ばれています。

低リスク群は子宮頸ガンの原因にはならないものの、
性器にイボ状の腫瘤をつくる「尖圭コンジローマ」や、
尖圭コンジローマの母体から出生した子供の気管などにイボを作る
「再発性呼吸器乳頭腫症」などの原因になり、結構あなどれません。

高リスク型のうち、特に子宮頸ガンを引き起こすリスクの高い「16型・18型」
「very highrisk」と呼ばれ、現在、日本で子宮頸ガンと診断された患者さんの
約65%からこの2型が検出されることがわかっています。
すなわち、この「16型・18型」の2つの型に感染しなければ、
子宮頸ガンになるリスクを35%程度に減らせるということになります


現在、日本で発売されているワクチンは、
GSK(グラクソ・スミスクライン)社の「サーバリックス
サーバリックスは、この16型・18型の2つのタイプに対する効果を持つため、
「2価」のワクチンとも呼ばれ、
昨年来、当院でもこのサーバリックスの接種を行ってきました。

実は、世界で発売されているHPVワクチンには、もう1種類あります。
(どちらかといえばこのもう1種のほうがシェアが大きかったりもするのですが、)
ようやく、この度、日本でも発売が認可され、8月26日から発売になります。

これが、MSD社の「ガーダシル」。子宮頸ガン「高リスク群」の16・18型だけでなく、
「低リスク群」である(コンジローマなどの原因になる)「6型・11型」にも有効で、
「4価」のワクチンと呼ばれています。
MSDの子宮頸ガン予防啓発サイト「子宮頸がん予防4U」も参考にしてください。

実は、当院でも2価のサーバリックスを昨年から接種しており、
中央区の中学生〜高校1年生対象の公費接種事業にも参加してきたのですが、
昨年度末(今年3月)に、全国で公費負担されることが決定して以降、
サーバリックスの製造が追いつかず、供給停止となってしまっていました。
実はその供給停止は既に解除されているのですが、
近日中にガーダシルが発売されるという情報があったため、
双方を提案し、接種を受ける方(保護者の方も含め)に
メリット・デメリットを判断した上で選択いただきたいと思い、
これまで積極的に接種再開の情報を出さずにおりました。
発売日が決定し、ようやく情報をオープンにできるようになった次第です。

・サーバリックス(2価)は既に接種可能で、
 中央区の公費負担はこれまで通り受けられます。
 接種は3回必要で、1回目の投与後、2回目は1ヵ月後、3回目は6ヵ月後です。

・ガーダシル(4価)は、8月26日発売ですので、現実の薬の流通を考慮すると、
 8月29日以降は接種可能になろうかと思います。
 接種は3回必要で、1回目の投与後、2回目は2ヵ月後、3回目は6ヵ月後です。
 ※中央区の公費負担の対象となるかは、現時点(8月21日)では未決定ですので、
  公費負担での接種対象となる中学生〜高校1年生はもうしばらくお待ちください。
  決定し次第、このブログで再度お知らせします。

料金は、サーバリックス(2価)もガーダシル(4価)も同じで、
1回接種毎支払いされる場合 18,000円(税込;18,900円)
3回分一括支払いされる場合 48,000円(税込;50,400円)  です。
(中央区公費負担事業の対象者は、窓口支払いは不要です。)

接種ご希望の方は、ご予約の際にお知らせください。
もちろん、受診時に相談してどちらを接種するか決定することもできますので、
ご遠慮なくお問い合わせくださいね。

※ 同一人物に両方のワクチンを打つことは避けるよう、添付文書に明記されています。
※ ワクチンを受けても、「16・18型以外」のHPVに感染する可能性はあり、
  性交経験があれば、子宮頸ガンになる可能性があります。
  性交経験のある人や、経験した後は、年に1回の子宮頸ガン検診を必ずうけましょう。
※ 性経験のある人もワクチン接種を受けることができますが、
  まず定期的な子宮頸がん検診を受けた上で、検討することをお勧めします。
  
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