子宮頸がん検診開始のタイミングは、「性交を経験したら」です。

2011/9/19  13:13 | 投稿者: 江夏亜希子

先日、クリニックに問い合わせの電話がありました。
「20歳の娘に区から子宮ガン検診の受診券が届いたのですが、
 検診を受けて性器に傷がつくようなことはないのですか?」

「子宮頸がん検診は、膣を膣鏡(クスコ)という器械で少し開き、
子宮頸部を直視して、適切な部位から細胞を採取する必要があるので、
性交経験のない方の場合、処女膜に傷がついたり、出血や痛みがあったりすることは否定できません。
しかし根本的に、子宮頸がんの原因はHPVという性交によりうつるウイルスなので、
性交経験の無い方の場合は積極的にはお勧めしていません。」
とお答えしました。
その方は、月経痛や月経不順についても相談したいことがあるとのことだったので、
それについては保険診療で受診いただくことをお勧めしました。

9月15日から中央区の公費助成にガーダシルが加わることになったのを受け、
区と医師会が主催する説明会に出席した際、
HPVワクチン接種対象者に発送する書類のコピーが資料として添付されていました。
それを見て絶句。
ワクチン接種の説明や問診票の最後に、
「20歳になったら子宮がん検診」というプリント。

そこで、保健所の担当の先生に質問というかお願いをしました。

先日、受診者のお母さんと言う人から電話が来て、
『バージンなのに性器に傷がつかないか?』という質問を受けた。
実際、これまでにも数人、20歳で性経験が無い人が母親に伴われて
区検診目的に来院され、事情を説明して受けるか受けないか確認したところ、
受けないと選択されて帰宅された方もいる。
子宮がん検診受診券に、
【子宮頸がんは性交によって感染するHPVが原因】と明記すれば防げる事態では?
一方、10代のワクチン接種対象者には「20歳になったら子宮頸がん検診!」
という紙が入っている。
10代中盤で性交を経験した場合、特にワクチン接種前に既に性交があった場合、
20歳になって検診を受けていたのでは遅い可能性もある。
実際私の担当した患者さんで、一番若い子宮頸がんの方は17歳でした。
区として何か、小さく※印で記載するだけでもいいので、対応できないものか?
もう一歩、区として先進的な取り組みをするとすれば、
20歳を超えて、性経験のない人に、子宮頸がん検診の助成金をそのままワクチン費用に回すことができないものか?検討していただきたい。

担当の方からの回答は、以下の通り。
「性経験があるかないかなんて、誰が確認するのですか?
 自己申告でしかありえないので、現実的には難しいと思います」
「確かにおっしゃるとおりですが、本来は学校教育の性教育の一環として教えるべきところなので、区としてはこれ以上踏み込めないところがあるので・・・」

税金を払って健康サービスを受けようとしているのです。
同じ金額の助成金をもらうなら、自分にとって有益な方を選ぶ権利も本人にあるでしょうに。
たとえ、処女でない人がワクチンを希望し、検診相当分の補助金をワクチンに回して、
検診は会社の検診や、個人で自費で受けるとかしても、それは本人次第では?

自治体職員(地方公務員)として、担当者の職務は、
受診率を上昇させるだけではなく、住民の健康を守るために、
正しい知識を啓発し、いかに予算を適正に分配するか?
を考えることではないのでしょうか?

学校教育がどうあれ、区から配布する資料に、

「子宮頸がんの99.7%が性交によって感染するHPVウイルスによるものであること」
「HPVは非常にありふれたウィルスで、性経験のある人の8割は無症状で感染し、
 そのうちほとんどの人は自然にHPVを排除でき、子宮ガンにはならないこと」
「100タイプ以上あるHPVの中でも、16型・18型が特にタチが悪く、
 現在、日本で子宮頸がんと診断されている人の約65%がこの2型によるため、
 性交を経験する前にワクチンを接種しておけば、
 子宮頸ガンになるリスクを35%程度に減らせること。」
「ワクチンを接種しても、100%子宮頸がんにならない訳ではないので、
 性交を経験したら、子宮頸ガン検診を定期的に受ける必要があること」
「性経験のない人が子宮頸がんになる可能性はかなり低いが全くゼロではないこと。
 検診は、性経験のない人には処女膜を傷つけたり痛みを伴う可能性が高いので、
 検診を受けるメリット・デメリットをよく考慮して受けることを勧める」
「区の検診は、【20歳以上で2年に1回】が対象になっているが、
 これはあくまでも「公共事業」としての予算の関係で決まっているものなので、
 10代でも性交を経験したら子宮がん検診を開始し、
 検診頻度も年1回のほうが安心であること」


以上を明記してほしいのですが・・・無理なのでしょうか?

結局は、住民自身がよく勉強して、自分に必要な情報を取捨選択していくしかないのでしょうか?

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