2013/7/20  6:57

シンポジウム「人工妊娠中絶を取り巻く現状」レポート その2  講演会

さて、ようやく「続き」を書く余裕ができました。
6月9日(日)に行われた、性と健康を考える女性専門家の会主催の総会シンポジウム「人工妊娠中絶を取り巻く現状」レポートその2!
実は、会の公式レポートを書かねばならず、テープ起こしをしたりしてじっくり書いておりました。昨日ようやく公式レポート(「性と健康を考える女性専門家の会」会員向けニュースレターに掲載)の校正が終わり、ようやくこっちに書き込めます。

今回のシンポジウムのプログラム
今回のプログラムのうち、
2.女性の人権と選択−中絶技術の観点から
    金沢大学 非常勤講師 塚原久美先生
3.避妊・人工妊娠中絶の最新情報
  ・経口妊娠中絶薬の動向  
     米国アクアイナス大学 松本佳代子先生
は内容がかなり重なるので、まとめてレポートします。

2011年の日本での人工妊娠中絶件数は20万2106件。
そのうち妊娠7週以前が55%、8〜11週が39%と、94%が初期(12週未満)に行われています。
12週以上になると子宮口を開き陣痛を付けて出産させるの方法を取り、「火葬届」が必要になります。ちなみに12週の胎児頭殿長は5pくらいになっています。
(イラストは、「日本産婦人科医会 性教育指導用スライド」より)

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塚原先生の調査(2010年)によると、
日本で行われた早期中絶325例のうち
 掻把のみ(D&C;子宮頸管開大+掻把);36.9%
 掻把+吸引;50.8%
 吸引のみ(VA);11.1%
と、掻把(D&C)が9割近くでおこなわれています。
私自身も中絶の方法としては、D&Cしか教えてもらっていません。
(現在は中絶手術をおこなっていませんが。)

実は、WHOが推奨する中絶方法は、この日本の現状と全く違う、ということをご存じでしょうか?
WHOが2003年に発行し「Safe abortion」の初版では、12週までの妊娠中絶の方法として、
VA(吸引法)とMA(ミフェプリストン(RU486;抗黄体ホルモン薬)+ミソプロストール(子宮収縮薬);いわゆる経口妊娠中絶薬)を推奨しており、
D&Cのことを「他の安全な方法を使えない場合の代替策」としているのです。
さらに、2012年の第2版では、D&Cのことを「obsolete(時代遅れの)外科的手法であり、VAまたはMAに置き換えるべき」としているんですよ!
恥ずかしながら、昨年塚原先生たちの論文が報道されるまで私も知らなかったし、他の多くの産婦人科医も知らない人が多いのでは?

実際、日本産婦人科学会誌の「医療安全対策シリーズ 術中合併症への対応 中絶によるトラブル(2009年9月)」の記載によると、
産婦人科医療事故(1983年〜2002年)の7.9%がD&C(子宮頸管拡張・内膜掻把)によるもので、
そのうち40.6%が子宮穿孔、10.5%が麻酔によるものと報告されています。

経口妊娠中絶薬で中絶が無事に終了できれば、麻酔の必要はないし、もちろん、子宮の中に器具をいれて「掻き出したり、吸引したり」という処置が必要ありませんので、上記の子宮穿孔と麻酔事故は避けられることになりますね。

いったんここで。また続きます。
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