ワクチンセミナーに参加してきました。

2013/5/22  23:14 | 投稿者: 江夏 亜希子

本日、5月22日は急遽、17時までで診療を終了させていただき、
私も委員をさせていただいている、子宮頸がん征圧をめざす専門家会議が主催するセミナー「ワクチンについてよく知ろう」に、クリニックのスタッフと一緒に勉強しに行ってきました。
http://www.cczeropro.jp/assets/files/ibent/2013.5.22.pdf

人類の歴史は、感染症との闘いの歴史です。
そして、その中で人類が手にした大きな光明の一つがワクチンであることに異論がある人は少ないでしょう。

ただ、ある感染症がワクチンで征圧されると、人々はその感染症の怖さを忘れ、
ワクチンの副反応(デメリット)ばかりが目につくようになり、接種を避ける。
そうすると、忘れたころに大流行してその感染症の恐ろしさを再認識し、
あわててワクチンを求めて走り回る。
そんな愚かな歴史を繰り返しているのも、また人類です。
(今回の風疹騒動が象徴的ですよね。)

特に日本人は、ワクチンに対する不安、懐疑心が強いようで、
ワクチンの副反応を恐れ(副反応への責任逃れ?)るばかりに「ワクチン行政」が立ち遅れ、
日本は悪名高き「ワクチン後進国」(感染症輸出国)と世界各国から恐れらているのは、残念な事実です。

さて、その日本でも、予防接種法改正により、
この4月から子宮頸がん予防(HPV)ワクチンが「定期接種」になりました。
「定期接種」というのは、厚生労働省のHPにも書かれている通りですが、接種は「努力義務」(※絶対に打たなければならない訳ではない)となり、公費(自己負担ゼロ)で接種が行われ、副反応の報告も義務となり、副反応への補償も充実したものとなりました。

その矢先、先週、テレビでHPVワクチンを接種後に重篤な副反応が起こった方の映像がテレビで報道され、一気にHPVワクチン接種への不安や、定期接種の見合わせを求める声が噴出しております。
それを受けて今回の勉強会が開催され、HPVワクチンに限らず、さまざまなワクチンを取り巻く考え方と現状について講義がありました。

まず、どんなワクチンでも、異物を体内に入れるわけですから、「副反応」は避けられません。
接種後は、因果関係の有無がわからなくてもすべての「有害事象」が報告され、検証される仕組みがあります。
ただし、その仕組みは「因果関係があるかもしれない重大な副反応があるから、接種をただちに中止する」というためのものではありません。
そもそも、HPVワクチンが認可されたのは、十分な科学的検証、臨床治験が行われた結果です。
(ワクチン反対派の人は、そのデータさえも「捏造?」との疑義の目を向けるようですが。)

「因果関係が検証されるまで、念のために一時中止する」というのは、その間に起こる感染をストップできないので、ワクチン行政としては最も行ってはいけないことなのだそうです。

今回報道された、杉並区の女子中学生の例は、CRPS(複合性局所疼痛症候群)と診断されて、下記の声明にも書かれているように、これはHPVワクチン特有のものではなく、採血や外傷の後にも起こり得る、また緊張や不安でも症状が増幅しやすいものだそうです。
http://www.cczeropro.jp/assets/files/report/fukuhannnou418.pdf
ご本人、ご家族の苦悩はいかばかりか、と想像するに余りあります。
一日も早いご平癒を心からお祈りしております。

しかし、このために接種を見合わせ、その間にHPVに感染して将来子宮頸がんが起こるリスクを抱える人が出るのは避けなければいけません。
もちろん、安心できるまで接種を控えるという判断をされるのは自由です。
その場合、その間にsexual debut(初体験)をしないよう十分教育し、性交を経験したら(ワクチンの有無にかかわらず)頸がん検診を受ける必要がある、ということをご本人にお知らせいただきたいと思います。

ただ、その間にも接種するメリットのほうが大きい(たとえばsexual debutまで猶予がなさそうとか)と判断された場合には、接種を受けたい人の権利を奪うことがあってはならない、
というのが「公衆衛生」の考え方なのです。

私たちは医療現場で働く者として、みなさんが冷静にワクチン接種のメリットとデメリットを判断し、接種するかどうかを判断できるようにお手伝いするのが責務なのだと再認識できたセミナーでした。

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