外来って、貴重な場所。

2013/4/18  6:42 | 投稿者: 江夏 亜希子

3月14日。東御市の外来が午後からだったので、軽井沢で前泊して、お昼前にレンタカーで東御に向かっていました。長野ではレンタカーでドライブするのがとても楽しみで、いつも車内ではFM長野を聞いています。

ちょうどそのとき流れていたのが、坂本美雨さんの「ディア・フレンズ」
その日のゲストが大宮エリーさん。
(あ、この日のon airレポートも出てますね!)

「大宮さんにとって、個展とは?」と尋ねられて、
「テレビや本やCMを作っている時の一方通行と違って、
 個展では一人一人とふれあえる貴重な場所」
みたいなことを答えていらっしゃって、なんか電気が走ったのです。
(運転中でメモできなかったので、正確な言葉じゃなくてすみません。)

私たち医者にとっては、まさに外来がそれだよな〜って。
なのに、それを私たち医者自ら、ないがしろにしていないか?って。

子宮頸がん検診をうけましょうとか、月経痛は放置しないで、とか。
どんなにブログや本に書いても、講演活動をしても、
それは「一般論」でしかないですよね?

外来って、患者さん(または受診者さん)と医師・医療関係者が、
まさにマンツーマンで、その人のお話を伺ったうえで、
必要な知識を説明し、その人に合った形で様々な改善策を提案できる、
双方向コミュニケーションをとれる唯一といってもいい場所であるはず。

なのに、そんな診察をしている医者も、
そんな気持ちで受診されている患者さんも、ほとんどいないんじゃないのかな?
本当はそうしたいけど、時間的な制約などから実現できないんでしょうけど。
残念なことですよね。

先日いらっしゃった患者さんは、とある有名企業が開催した「妊活セミナー」に出て、
「自分が産めるかどうか不安。卵巣寿命を知るためにAMH検査を受けほうがいいと聞いたから」、
といって受診されました。
お話を伺うと、AMHよりももっと大切なこと(検診や子宮・卵巣の疾患)が放置されていたりするのです。このブログに書いた通り。

結局、一般論で語られたセミナーや講演会、書籍では、かえって不安を煽られてしまう人がいるのだなあ、と痛感させられ、講演や執筆を依頼される立場として非常に身の引き締まる思いがしました。

やっぱり、外来って大切。
どんなに医学が発展して、いい治療法ができても、
どんなにこうしてインターネットなどの情報ツールが発達して、情報を得られるようになっても、
「その人に合ったオーダーメイド」というのは、
実際に人と人がコミュニケーションをとってこそ成り立つもののはず。

実は。驚かれるかもしれませんが。
私たちの受けてきた医学教育では(今の若い研修医はどうか知りませんが)
「外来診療の進め方」って、きちんと系統だてて学んでいないんですよね。
そんな教育カリキュラム、ないんです。
先輩の外来を横から眺めながら、説明の仕方など「盗んで」、
試行錯誤しながら自分のスタイルを作っていくようなもの。
手術などは、手取り足取り教えてもらうのに。
そりゃあ、個人のセンスによってかなりの差があるはずなのですが、
私たち医者同士は、他の医者の外来の進め方を知らないものだったりします。
複数の医師が在籍する医療機関の看護師さんなんかは、医師の「外来スキル」の違いをよく知っていますね、口にはされませんが。
で、「外来スキル」がどんなに高くても、なぜか医者同士での評価はそれほど・・・。
(手術がうまい、不妊治療で妊娠率が高い、研究して論文をたくさん書いている、などは評価と尊敬の対象になりますが。)
でも、それって、患者さんが望んでいるものとかけ離れていないかしら?と思うのです。

もっと、外来の重要性を認識する必要があるんじゃないのかな?と思うのですが、いかがでしょう?

東京に出てきて、クリニック勤務になるときに、
「手術をしない、外来だけの診療はつまらないし、大変じゃないのか?」
と何人かの先生に聞かれました。
自分も、手術は嫌いではなかったですが、外来だけになっても意外と未練はなかったというか。
外来だけをしている毎日の中で、外来の奥深さを実感し続ける毎日。
「婦人科外来学」ってきっとあるんだろうなあ、と思うようになりました。

私は、「外来のプロ」として誇りを持って仕事をしたいと思っています。
受診してくださる方には、「プロの仕事」をお見せできるよう、努力していきたいと思います。
ただ、そのためには、患者さんにも、「患者のプロ」になっていただく必要が出てくるのですけどね。

久しぶりに、最近考えていることが少しまとまってきたので、書いてみました。

2013年4月18日23時追記
少し言葉足らずだったかもしれないので、少し追記します。
ほとんどの医療機関で、多くの先生が、一生懸命外来をされています。
でも、外来もして、手術もして、お産もとってという八面六臂で大活躍されている先生方が、患者さんが望んでいるような十分な説明をする時間が確保できるとは、とても思えません。
一方、患者さん側の多くが、私たち医師が「当然これくらいは知っているだろう」と端折ってしまうような基本的な医学的・体についての知識を知らないという現状があります。
(特に、女性のからだについての知識は「性教育」にくくられてしまって、それだけで教えること、知ることを拒絶する風潮もあったりするので余計。)
その大きな溝を埋めていくのが「婦人科外来学」ではないのかな?と思っているのです。
だって、私も医師になって、いや、産婦人科医になってしかも大学院生になって排卵機構やホルモン分泌を深く勉強してからやっと、月経周期のことを深く理解できましたから。
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