古い絵本『ツバメの歌』(文とえ レオ・ポリティ 岩波書店)を読んだ。
教会の庭番をするジュリアンおじいさんと、近くに住むジュアンという子どものやりとりで、お話は進む。
以下、抜粋。
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「もう何十年というもの、ツバメたちは」
と、おじいさんは、いいました。
「いつも、春のセント・ジョセフのおまつりの日にやってきて、夏の終わりに帰ってゆくのだ」
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おじいさんは、いいました。
「さよなら、つばめ、 またきておくれ
どうぞ、かみさまが、 おまもりくださるように」
おじいさんは、いつも、ツバメがかえっていくとき、こういうのでした。
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「でも、ツバメたちは、どこへいくんでしょう?」
と、ジュアンは、ききました。
「とおい南の国だという人もあれば、太平洋のみどりの島へいくのだという人もある」と、おじいさんは、いいました。
「ほんとのことは、だれにもわからない。けれども、花ときれいな水のある、そして、よろこんでむかえてくれる人のいるところへいくことだけは、たしかさ」
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そのばん、ジュアンがまどからのぞくと、ツバメが二羽、バラのつるにとまってねむっていました。
あまりちかくなので、ツバメの小さな胸のドキドキしている音が、きこえるくらいでした。
そとは、しずかな月夜でした。とおくのほうで、だれかがうたっています。それはジュリアンおじいさんが、「ツバメの歌」をうたっているのでした。
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初版は昭和二十九年、訳者は、過日お亡くなりになった石井桃子さんである。
美しい言葉、詩的な表現。それでいて、ツバメの生態は少しも歪曲されていない。
この絵本が出されてから、じつに五十四年が経とうとしているが、これを超えるツバメの本はありそうにもない。
今もなお、ツバメがどうやって海を渡る……数羽のグループで? それともたった一羽で? ……かは、はっきりとは分かっていないそうである。