この2,3日、テレビや新聞紙を賑わしているのは、結婚詐欺容疑で逮捕された東京都豊島区の女(34)である。揶揄的に「週刊誌に最適の主人公登場」と言われ、例のタレント達の「覚醒剤騒ぎ」は吹き飛んだ格好だ。報道によれば、この女と接点のある男性が相次いで不審死している、と言う。容疑の女は、独身男性に次々と結婚話を持ちかけ、多額の現金を受け取っていたことも、捜査の取材で分かった。1人で数千万円を女に渡していた男性もいたと言う。
女は既に「結婚詐欺容疑」で逮捕されていたのだが、その後の調べで、単に詐欺だけでなく、殺人の容疑が浮かび上がったわけだ。新聞にも、テレビにも容疑者の顔写真が出ない。「毒カレー事件」でもそうだった。誰でも、この「魔性の女」は、どんな顔をした女か興味がある。何しろ、口先と顔貌で、6人もの男性に貢がせ、大金を手にした女だ。定めし、美人で魅惑的な若い女性だろうと想像する。
ところが、ぼかした顔付きや、体型は必ずしもそうではなさそうだ。では、何故、こうも簡単に、高齢者から分別のある中年男性、更に30歳代の働き盛りの男まで手玉に取ることが出来たのか。それは、この稀有な犯罪者の「手法」にある。交際の端緒はどれも、インターネットの交際サイトなのだ。美味しそうな話を並べ、出会いに持ち込む。そして、これまた嘘で固めた話で、上手にお金を引き出していく。お金がなければ、「バイバイ」だったそうな。
独身男性の多くが、女性との交際の機会が、極端に少ない、と言う現実がそこにある。大学のサークル活動とか、企業のクラブ活動などで知り合える人は、幸運である。以前なら、親類縁者とか上司とかが、結婚相手を紹介してくれた。今や、そういう機会に恵まれない「孤独な男達」は、パソコンの世界に光明を見出そうとしているのだ。性悪女は、その孤独な男の心に潜入し、結婚話や同情を引く話で、お金を引き出していく。結果としてこの女は、約1億近いお金を手にし、豪勢な外車に乗り、高級料理屋で豪華な食事をし、ブランド品で身を纏っていたと言う。しかし、そうした虚飾の生活はいつか破綻する。
お金を引き出し、用がなくなった男達の処理は、「睡眠導入剤」で眠らせ、締め切った空間で、練炭の不完全燃焼による一酸化酸素を吸わせ、且つ「自殺」を装わせるのである。誠に安っぽい「サスペンス小説」を思わせる筋書きだが、ネタが直ぐばれるインターネットでの買い物など、知恵の足りないところが、愚かである。実際に容疑が固まって、顔写真が出たら、一度じっくり眺めてみたいものだ。

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