「わたしを束ねないで」・・・新川和江
「わたしを束ねないで
あらせいとうの花のように
白い葱(ネギ)のように
束ねないでください 私は稲穂
わたしを名付けないで
娘という名 妻という名
重々しい母という名でしつらえた座に
座りきりにさせないでください わたしは風
りんごの木と
泉のありかを知っている風
わたしを区切らないで
,(コンマ)や.(ピリオド)いくつかの段落
そしておしまいに「さようなら」があったりする手紙のようには
こまめにけりをつけないでください
わたしは終わりのない文章
川と同じに
はてしなく流れていく 拡がっていく 一行の詩 」

0