2029/10/10

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2009/10/10

サンタが家にやって来た15  

サンタが家にやって来た 前十五話ようやく終わりです
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2009/10/10

サンタが家にやって来た14  

【 第十四話 】



「えぇと、型抜きする野菜は失敗も考えて多めに買っておくか」
雲水が、クリスマスイブの日の食材を物色しだした。

「じゃ今日はママのご飯はお休み。外食にしようぜ。良いだろ?スーちゃんゴン」
「うん、良いよお父さん」
「仕方ねぇな。何か喰って帰るか」
予定変更、今晩は外食になった。
クリスマスの親子クッキングに心弾む子供たちからも、文句は出ない。
が、
しこたま買い込んだ食材をカゴから棚に戻す気配も無いから、購入はするのだろう。
またリビングにある奥様専用キッチンに、無駄な食材が増えるだけだ。


「お母さんケーキも作ろうよ」
「あっちに売ってたぜ」
またクリスマス商戦のこの時期、
人目を引く場所に、ケーキの材料の特設コーナーも設けられている。
子供たちに手を引っ張られて、両親は誘導される。
「でもお母さん、スポンジケーキは焼いた事ないからなぁ」
「ほぅらケーキは止めとけ。パパが今年もパテシェに、特注で頼んでやってる…」
「手作りキットがあるぜママ」
だが、阿含の前線空しくゴンが話を遮った。
ゴンから渡された箱の裏の説明書を見ている雲水に、スイも必死で加勢する。

「サンタさんも葉っぱも雪だるまもあるよ」
ケーキをデコレーションする、プラスチックの人形も充実していて、
サンタや雪だるまや柊の葉が、しっかり小さなスイの手に握られていた。
「これケーキの上に乗せれば良いよね?お父さん」
「ぁっ…そうだなスーちゃん……」
可愛いスイが目をキラキラさせて、阿含に見せる。
モミジのような小さな手にギッチリ握られているそれを見て、
この期に及んでワゴンに戻せとは言えまい。阿含は惨敗続きだ。


「わぁ小さくて可愛いツリーだなぁ」
催事場の横の方には、しっかり売り物の食材には関係ない商品も売られていて、
子供たちはあっちこっちに目移りして忙しい。
「ミニチュアみてぇだな。ねぇママこれ畳に飾らない?」
スイもゴンも興味津々で、吸い寄せられるようにツリーに向かう。
家にあるのは、二メートルを超える巨木のクリスマスツリーだ。
「スイカちゃん、俺とツリーどっちが大きい?」
「ゴンの方がちょっと大きいよ」
全長五十センチ位の高さのツリーは、逆に新鮮だったのだろう。


「親父このツリー欲しい」
「お父さんこれ買って」
「へ…っ?電球まで付いてこんな安いのかよ?」
それは飾りや電球付きのセットでお値段は千九百八十円なり。
子供たちに強請られた阿含は、ツリーのセットの箱をカートの下の台に乗せた。



こうして、
本日も金剛さん家のカートは、要る物要らない物が混在して、
山のようになっていくのだ。


レジでの清算が終わり、
阿含が子供たちの相手をしつつ見ていて、
雲水が買物カゴから買った品物をバックに詰めていると、
向かい側でポリ袋に豆腐を入れていた主婦の目が、一瞬ギョッとなった。
エコ化が推奨され、
金剛さん家でもバック持参だが、そのバックがヴィトンだったからだ。
雲水としては、
子供たちが赤ちゃんの時、使っていたマザーズバックの再利用の感覚のようだが、
いくら大きくて使い勝手が良いからとは云え、お値段は二十万を超える高級品だ。
そんなバックに無造作に肉や野菜を入れてたら、そりゃあ庶民は驚くと云うものだ。
何かに付けてお騒がせな一家であるのは間違いないだろう。


「家で作るのは二十年ぶりだ。ワイン忘れないようにしないとな」
「っ…そりゃあそうだな雲子ちゃん」
雲水がチラッと横目で阿含を見て悪戯っぽく笑うと、
阿含は見惚れて一瞬呆けて、それから盛大に笑った。




********




「これはスイとゴンのツリーだよ」
リビングの畳コーナーの上に飾られた庶民的なツリーを
スイが楽しそうに見ては触っている。


ツリーセットを買って貰ったスイはとても喜んで、
買って来たその日の内に、阿含や雲水に手伝って貰いながら、
ゴンと一緒に飾り付けをした。
「でっかいツリーもスーちゃんとゴンのだぞ」
「それはお父さんとお母さんの。スイとゴンのはこっちのツリーだよ。ねっゴン」
馬鹿でかいツリーは、子供での飾りつけなど無理で、
毎年庭師のオジさんがハシゴに登って、オーナメントや電球の飾り付けをしていた。
ところが、
今年我が家に新しくお目見えしたツリーは、スイの背丈より少し低く、
自分でサンタさんやお星さま等のオーナメントを飾れて、親近感が沸いたようだ。
触りに触り飛び跳ねては倒したりと、ちゃちなツリーはプラスチックの枝が、
少し曲がってしまったのもある。


「いよっロックスターっスーちゃん」
振り返った瞬間のスイをツリーをバックにすかさず阿含がカメラに写す。
トンガリ帽子に紙のお靴にキラキラモールを首に巻きと、
今年もロックスタースイは健在だ。

今年はスイが早い内からスーパーでサンタの靴をねだり、
ゴンの分もと初めから四本も買った。
そんで、スイは履き潰しまた二本買って貰って、お菓子の靴だけで六本も買った。
侮るなかれ大きな靴は一本約二千円。お菓子の靴ごときで結構な購入金額である。


「ゴンもカッコ良いぞ」
良く似合っていると雲水に言われたゴンは、少し照れ臭そうに苦笑気味だ。
スイの要望でトンガリ帽子に首からキラキラモールも提げたゴンは、
内面はさておき容姿はホッペも丸いお子様なので、不自然なく似合い愛らしく映る。

「また親父写真撮ってんのかよ」
「いいじゃねぇかゴン。もっと笑えって」
ウンザリ顔のゴンにレンズの焦点を合わせて、阿含は悪びれずにシャッターを押す。

「お母さん、ベルのヒモ取れちゃった」
「違う糸でくっつけるか」
ツリーの飾りを引っ張るからだぞと、笑いながら雲水が受け取る。
またフラッシュが光った。阿含がシャッターッチャンスを逃す筈が無い。



まるで隠しカメラのように、
棚に置かれた数台のビデオカメラは全てオンになっており、
阿含が映像を録るのに余念が無いのも毎年恒例になっていた。



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2009/10/10

サンタが家にやって来た13  

【 第十三話 】




翌年の十二月。
子供たちも来春から幼稚園に通う四才児になっていた。




クリスマスまであと数日に迫った日曜日。
金剛さん一家は、大型スーパーに買い物に来ていた。


「あっプーさんの風船だ」
「あっ待てスイ転ぶぞ!ゴン人にぶつかるぞ走るな!」
阿含がカートを押し雲水がチョロチョロ動き回る子供たちを追い駆けている。
スーパーではよく見られる親子の光景だが、金剛さん家では話が違う。
結婚以来、
夫の阿含が一貫して妻の雲水に家事をさせていなかった金剛さん家では、
日々の食料調達はお手伝いさん任せだから、スーパーに買い物に行く事は無い。
当然、金剛家に生まれ育った子供たちも、スーパーに行った事は無かった。


ところが今年、それが崩れた。
阿含が出張中に、お手伝いさんたちの急用が重なるハプニングがあり、
雲水が初めて台所に立ったのだ。
ママの手料理が新鮮で子供たちは大喜びで、すっかり味を占めてしまい、
事有るごとに雲水に料理をせがむのだ。
そこで、
ママの手料理は週一回までなら赦すと、譲歩した阿含だったが、
それすらもなし崩しになりつつある今日この頃だった。


日頃金剛家の食卓を預かるお手伝いさんたちの邪魔をしないようにと、
雲水は台所を分けている。
原則として、自分が作る食材は自分で買い求める事に決めているので、
こうして週に一回、スーパーに買い物に行くようになったのだ。
雲水がスーパーに買い物に来るのは、実に二十年振りだ。
四才にしてスーパーマーケットデビューを果たした子供たちに至っては、
遊園地よりも喜んではしゃぎ、毎回出掛けるのを楽しみにしているのだった。


それで、
本日がそのママの手料理の日で、一家でお買物に来たのである。


「お母さんこれポッチャマのパンだよ」
「ナエトルのもあるぜママ」
「ホントだ可愛いな。ポケモンのパン何て売ってるんだな」
明日の朝食に食べようかと、子供たちと雲水が話している。
子供たちの喜ぶ顔は見たいが、雲水に家事をさせたくは無い阿含の気分は複雑だ。
それでも、
楽しそうな子供たちと、柔らかく微笑む雲水の姿を見るのは悪くない。



「お父さん、これドラえもんのソーセージだよ」
「ハムスターのチーズもあるよ。スイカちゃん」
「それスーちゃん欲しいのか?ゴン、カゴに入れろ」
そして、
子供たちに物凄く甘い阿含は、毎回物凄い量の余計な物まで買っているのだった。
「あっまたソーセージもチーズも、まだ食べかけのお母さんの冷蔵庫に、
いっぱい入ってるんだぞ」
「ん?良いじゃねぇか雲子ちゃん、子供たち欲しいっつってんだからよ」
カゴの中を覗き呆れる雲水も、ワゴンには戻さないからいいだけ甘い。
因みに、
お母さんの冷蔵庫とは、雲水が台所デビューした時に購入した奥様専用の冷蔵庫だ。
それはキッチンではなくリビングにあるのだが、
何とその為に阿含は、リビングに対面キッチンまで新たに増設してしまったのだ。


「面白れぇ何だコレ?」
「あっゴン、ダメだぞ!穴が開いちゃうだろう」
精肉コーナーでは、この時期になると、丸焼き用の鶏肉が棚に並ぶ。
すかさずそれを見つけたゴンが、ラップ越しにグリグリ指で突っ付く。
慌てて雲水がゴンの手を掴み阻止する。
「お母さんこれなぁに?」
スイが小首を傾げる。
何にでも興味を示す四才児だ。
ローストチキンは食べた事はあっても、生の鶏肉は見た事が無い。


「クリスマスに食べるチキンだよ。これを焼いて食べるんだ。
お母さんも一度だけ作った事あったな」
子供たちに説明しながら、懐かしそうな眼差しで雲水が阿含に微笑む。
「あんな本格的なの雲子ちゃん作ってて、ビックリしたぜ」
自然と阿含の頬も弛む。
入籍前の一年間住んでいたアパート時代の懐かしい思い出だ。
ただでさえ慌しい年末のスーパーで、人々がチラシや財布と相談しながら、
一円でも安くと買い物する中、なんとも優雅な夫婦である。

しかし、その優雅さも、次の子供たちの台詞で破られた。

「ふぅんママ作った事あんだ?なら、クリスマスにチキン作って。
俺ママの料理が良い」
「スイもクリスマスお母さんのご飯が食べたい」
子供の耳はダンボで、聞き逃さない。
「ダメだっ!クリスマスにはもうシェフのディナー予約入れてんだからよ」
焦ってダメだしをする阿含の声も大きくなる。
「えぇシェフのデリバリー何かより、ママの料理のが全然旨いじゃんか」
「ガキが贅沢言ってんじゃねぇぞゴン、出張デリバリー幾らすると思ってんだ?」
「贅沢ならそっちじゃねぇか!十万も二十万も払ってあんな飯より、
ママのご飯の方がずっと旨いし安上がりだぜ」
声を荒げてこんな会話を交わす親子に、周りの注目も集まる。


ここは新興住宅地にある、郊外型の大型量販店のスーパーである。
客層の中心は、当然一般家庭だ。


そんなスーパーにやって来る金剛さん一家は、ハッキリ言って身なりだけでも、
かなり浮いている。
阿含の皮のコートも雲水のオーバーも子供たちのムートンのコートに至るまで、
上着だけでも全て六桁の高級ブランド品だ。
スイの頭を撫でる阿含の袖口から覗く時計は、ダイヤがびっしり埋め込まれ、
ゴンの手を引く雲水の腕に嵌めてる時計も七桁だ。
これで浮かない筈が無い。


「おいお前たち、ケンカは止めろ」
雲水がゴンの手を繋いで阿含から遠ざける。
で、子供たちも負けてない。
「お母さん今年スイとゴンと一緒にお料理作ろう」
「ママと子供の親子でクリスマスクッキングって、雑誌に特集も載ってたんだ」
スイが雲水の袖を掴み、ゴンがべったり雲水に抱き付いて甘えて強請る。
「そうか。じゃあ、二十五日はホームパーティだから、
二十四日のクリスマスイブは、お母さんとお家で料理を作るか?」
「ちょっ待て、雲子ちゃ…」
「わぁーい賛成!」
「お母さんありがとう」
母子と父、三対一で阿含は大変分が悪い。
「スイ、一生懸命美味しいご馳走作って、お父さんにあげるからね」
「ぇ…あっ…ありがとスーちゃん……」
つぶらな瞳で顔を見上げられ、阿含撃沈。





********





「ママこの雑誌だよ」
「お母さんこれこれ」
突然クリスマスディナーを作る事になって、メニューを思案する雲水を子供たちが、
テナントに入っている本屋に連れて行き、毎月購入している幼児雑誌を見せる。
『ママと子供の親子でクリスマスクッキング』のページには、
子供たちとママが作ってる様子の写真が載っている。
テーブルの上に並べられた料理は、チキンやパスタ、シチューやサラダなど、
特別珍しいメニューでもないが、カラフルな紙皿や紙コップが並べられており、
いちいちリボンを巻いたり野菜をハートや星型にくり抜いてあったりと、
いかにも子供の目を惹きそうな楽しい演出満載だ。
「このリボンや紙コップもいるな」
一緒に覗いていた阿含も、結局は何だかんだと協力的だ。
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2009/10/10

サンタが家にやって来た12  

【 第十二話 】





「んっスイ…?」
枕元でスイが一声上げると、雲水が目を覚ましてしまった。
「ゴンおしっこか?」
「うんママ便所」
続けてムクッと起き上がったゴンも、目を擦りながらトイレに立つ。
トイレは隣の部屋に増設して造ったのだが、仕切り壁も開けっ放しなので、
多少美観は損なわれるものの、小さな子供が一人で用を足すにも心配が無い。


「また阿含起きてたのか?スイ汗かいてるな」
スイの頭を撫でた雲水が、傍らのボックスからタオルや着替えを取り出しに立つ。
「えっ?あっスーちゃん大丈夫か?」
熱でも出たんじゃないのかと慌てて阿含が、手の掌をスイの額に当てみるが、
特に熱くはない。
汗をかくのは当前であろう。
新陳代謝の激しい幼児が、暖房のきいた暖かい部屋の中で、
一晩中父親の腕の中でビッチリ抱っこされているのだから。
雲水は阿含の腕からスイを受け取ると、テキパキ汗を拭き着替えさせている。

「おれ喉渇いた」
「パパが持って来てやるぜゴン」
所在無げにウロウロするだけの阿含だったが、
トイレから戻ったゴンが何か飲むと言うと、
途端にお役目を得たりとばかりに張り切って、リビングのミニ冷蔵庫から、
幼児用イオン飲料を持って来て、蓋を開けて渡してやったりしている。

「はい雲子ちゃん、これスーちゃんの飲み物」
「あぁスイにも水分補給させないとな」
気が利くなと雲水に言われた阿含は、得意げにニマニマしているが、
今までスイを抱っこしていたクセして汗にも気付かず、病気かと怯えるだけで、
着替えさせているのは雲水なのだ。
「親父アホくさ。おやすみママ」
白い目で父親に一瞥をくれたゴンが、大きなアクビを一つすると、
すぐ布団に横になってスースー寝息をたて始めた。
ここ数日クリスマスのイベント続きで流石に疲れたのだろう。
「おやすみゴン。今日は疲れたな」
スイにパジャマのズボンを履かせながら、直ぐ眠ってしまったゴンの寝顔に、
雲水が柔らかく微笑む。


「ほらスイ、お父さんが持って来てくれたぞ。冷たくて美味しいな」
仕上げに雲水は横抱きにしてスイにも、幼児用飲料水を飲ませて水分を補給させる。
夢うつつの中で半分ほどゴクゴク飲んだスイは、雲水の腕の中で、
コテッとまた寝てしまった。
「よし、お休みスイ」
眠っているゴンの横に、スイを降ろして寝かせた。

「スイは大丈夫だから、お前ももう休め。阿含」
「でも雲子ちゃん、スーちゃん心配で…」
寝ろと言う雲水に阿含が渋る。

「んぅ…」
気配を感じたのか、ゴンがスイの方にゴロンと横向きになり、スイの腕を掴むと、
スイが少し笑った顔になって、スピスピ寝息をたて始めた。
「ほら阿含、ゴンも居るしスイも安心した顔して寝てるじゃないか」
雲水が子供たちのオデコにキスをして、そっと布団を被せる。


「じゃ雲子ちゃん、ちょこっと呑み直ししねぇ?」
「そうだな。少し呑むとするか」
子供たちが産まれてから、家でゆっくり呑む機会は滅多にないし、
夫婦二人だけでの外出をした事も無い。
お手伝いさんも何人も雇っているのだから、機会を作れない訳ではないのだが、
夫婦は二人とも子供たちと離れて家に置いてまでそうしたいとも思わないから、
今の状況に不満は無い。


「雲子ちゃんシャンパンとワインどっちが良い?」
「お前の飲みたい方で構わないぞ阿含」
いそいそと阿含がピンクのドンペリとグラスや簡単なつまみを用意しに、
キッチンに向かう。
その間に雲水は、呑みかけの缶ビールや玩具を片付けて、台布巾で拭いたりして、
ソファテーブルの上を整えていた。

明かりは、
子供たちも寝ているので、間接照明もグッと落としており、
やけにクリスマスツリーの電球が交互に点滅しているのが目立つ。
綺麗だから点けていようと言うスイの要望で、ツリーを出してからここ一ヶ月余り、
昼夜問わずほとんど電球はつけっ放し状態だった。

子供の嗜好に合わせて、可愛らしさ重視の金剛さん家のツリーの電球は、
赤や青や黄色や緑など色付きがピカピカ点滅して光り、
大人の落ち着いたムードには今一歩乏しいものがある。

「これも今日までだな。明日には片付けないと」
「スーちゃん気に入ってんだから、ずっと出しっ放しでも良いじゃねぇか」
冷蔵庫の残りのパテやチーズを皿に盛り合わせて阿含がリビングに戻って来た。
そうもいかないだろうと、子供に甘い阿含に微笑む雲水の顔も、
ツリーのライトに照らされて、ブルーやピンクにチカチカ変わっている。

子供たちのクリスマスプレゼントの玩具のカラフルな楽器類が、
ソファの横に置かれてあり、
重厚で立派な大邸宅だが、どうしても所帯染みた感は否めない。
が、
阿含は大層満足だから良いのだ。
子供たちの存在は、自分と雲水ふたりの間に出来た愛の結晶で、
自分たちの関係がより強固になったようで、安心するのだ。
雲水にしても、すぐ目線は畳コーナーに寝ている子供たちの様子を伺っては、
柔らかく注がれているのだから、そんなこと気にも留めていないのだろう。




「雲子ちゃんメリークリスマス乾杯」
「メリークリスマス阿含」
二人でジャンパングラスを傾けて乾杯する。



阿含も雲水も二人とも、幸せに満ち足りた顔で寄り添い合って、
聖夜のひとときを過ごしていた。





********





翌日、金剛さん一家は、海外へと旅立って行った。
行き先はオーストラリアのゴールドコースト。
「スーちゃんもゴンも寝ちまったな」
「イベント続きの強行軍で出発したからな」
客室乗務員が運んで来た機内サービスのワインを阿含が雲水に渡す。
行きの飛行機のファーストクラスの大きめな座席で、スイもゴンもずっと寝ている。
「向こうに着いたら何の用事もねぇから、ゆっくり休めんぜ」
「あっちに着いて海を見たら、子供たち直ぐ泳ぎたがるだろうけどな」
日本人観光客が密集するこの時期の旅行で、旅慣れたセレブな金剛さん家では、
特別観光地を回る予定も立てて無い。
ずっと同じホテルの高級コンドミニアムに宿泊して、
部屋専用のプライベートビーチで、子供たちと泳いだりする位で、
のんびりする予定だ。
お帰りは来月の十日過ぎと、混雑も避ける日程も内容も超リッチな旅だった。
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