メルマガ「カウンセリングと東洋思想」では能をネタにカウンセリングの話を展開しようとしているので、それに関連したトピックでいこう。
3月17日(土)にNHKで「第21回 能楽鑑賞会」を放送していた。能は喜多流の「
隅田川」をやっていた。内容を知らない人は、
能「隅田川」を見る も参考になろう。
これは観世元雅の作であり、世阿弥の
夢幻能とは違って現実に軸足をおいた話の展開だが、それでも死んだわが子の幻覚をみるという意味で半分は
夢 幻 (が入っていると言ってよいかもしれない。また、元雅の作品は当時の社会に実際に見られたリアリズムを追求しているので、常識的にも内容が理解しやすい。
能は、その場で謡の内容を理解して感動することは難しいから、あらかじめ話の筋を知っておいてから見るとよいのではないかと思う。今何をしているところかをよく理解したうえで感情移入して観賞するといい。
今このシテの演ずる人物はどのような気持ちでいるのだろうかと思いつつ能面を見ていると、表面がこわばったような顔の皮膚の奥に感情が見えてくる。それは、表情筋の動きが想像できると言い換えるべきかもしれない。「息子を失った悲しみはどのような表情になるのだろうか」と想像しながら、変化しない能面を見ていると、人間ならばこんなふうに表情に現われるんだろうなあと想像することができる。これはなかなか感情移入の訓練になるのではなかろうか。
マンガやアニメもじつは感情移入によって表情が見えてしまっていたりする。興味のないマンガは絵の上手下手くらいしか気づかないが、好きなマンガは登場人物の表情も周りの描写もやたらと活き活きしているものである。
NHKでは能の入門的な番組もやっているし、能楽鑑賞会のような実際の能番組でも謡の字幕が出たり副音声で解説がついたりするので、ビデオなどにとって、わかりにくいところを巻き戻したりしながら見ると深く観賞できるのではないかと思う。
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