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〔Part 3 についてメモ〕
Part 3
ガフの部屋:ユダヤの伝承にある、生まれてくる子供の魂が集まっている部屋。
2000年の南極地下基地「UN UNDERGROUND NASE 02」(DEATH編冒頭)。これはUN(国連)管轄下の地底基地が南極にあったことを示している。もう一つは日本のジオフロントだろう。
南極基地にもセントラルドグマあり。さらに地下にターミナルドグマ(?)があり、巨人(アダム)がいて、葛城調査隊によるロンギヌスの槍で刺された。(これがセカンドインパクト)
日本のターミナルドグマには、リリスが十字架にはりつけになっており、ロンギヌスの槍で刺された。
「人類の生命の源たるリリスの卵、黒き月、今さらその殻の中へと還ることは望まぬ」(冬月?)
「ガフの部屋が開く。世界の、始まりと終極の扉が、ついに開いてしまうか。」(冬月?)
南極のジオフロントでDEATH科学者「ガフの扉が開くと同時に熱滅却処理を開始」
セカンドインパクト同日生まれの渚カヲルを最後にして、アダム系のシトは誕生できなくなる。
ガフの部屋は二つ存在した。南極のものはシトの魂が生まれ、還る場所、日本のものは「人類の生命の源たるリリスの卵」と呼ばれ、ヒトの魂が生まれ、還る場所。
ゼーレは、全生命がLCLに還元されることを望んでいたのではない。肉体がLCLに還元されるのはかまわないが、魂は生命の源たるリリスの卵に還る必要があった。
贖罪の儀式を終えていないためヒトの魂はリリスの卵に戻ることはできない。
生命体は、原始地球の生命のスープから進化論的に発展しますが、ヒトとシトの魂は、それぞれのガフの部屋から来たものなのです。(もちろんエヴァ上において)
アンチATフィールドにより、LCLとの分離をおこなったものだけが黒き月に帰れる。(贖罪による始源への回帰)。つまり、生まれる前にかえる必要がある。
「私たち、人間はね、アダムと同じリリスと呼ばれる生命体の源から生まれた、18番目の使徒なのよ。他の使徒達は、別の可能性だったの。ヒトの形を捨てた人類のね。ただお互いを拒絶するしかなかった悲しい存在だったけどね。同じ人間も・・・」(葛城ミサト)
「本来、魂のないエヴァにはヒトの魂が宿らせてあるもの。みんなサルベージされたものなの。魂の入った入れ物はレイひとりだけなの。あの娘にしか魂は生まれなかったの。ガフの部屋は空っぽになってたのよ。ここに並ぶレイと同じものには魂がない。ただの入れ物なの。」(赤木リツコ)……このガフの部屋はシト(アダム)のほうである。
1.エヴァを作ろうとしたが、シトのガフの部屋が空っぽであったことから、ヒトの魂を宿らせることになった(人格移植OSおよび、魂の座=エントリープラグ)
2.レイも、ヒトの魂を宿らせるつもりは全くなく(ヒトのガフの部屋はからではない)、最初からシトの魂を(エヴァ同様に)宿らせるつもりであった。しかしシトのガフの部屋(南極)は空であったため、一人を除いて、魂のない、ただの入れ物だけできてしまった。
〔心理学的解釈〕
アダムとその子孫は正統な継承者であり、リリスとその子孫(人類)は偽りの継承者であるとされる。「白き月」であるアダムと「黒き月」であるリリスとは、人間の光と影のようである。心理学的には月は感情的な側面の無意識を表わす。ということは、エヴァンゲリオンにおいては、人類は悪い感情的存在から生まれたものと見なされているのだろう。
しかしながら、感情には白黒はつけ難い。むしろ、いつも満足できない自我意識が、他者の楽しそうな様子を見て、そこに自らの明るい感情を投影しているのではなかろうか。アダム系の使徒はおそらく神のお気に入りであり真の継承者であり、リリス系の人類はそこから疎外された存在である。だが、それは人類の羨望を象徴している。第二のアダムたるイエス・キリストは神の権威の継承者と言えるが、ユダヤ人によって十字架上で滅ぼされた存在でもある。“白き存在”が幸せとはかぎらない。羨ましさがそれを“白く”見させているだけなのかもしれない。
知恵の実を食べた人間は、自己を意識する。アダムがそれを食べた後すぐにイチジクの葉で自分の腰を覆ったのが、その何よりの証拠である。すると、人間という形の肉体をもったもの以外の自分の生命的な働きを非自己と見なすようになるだろう。生きている“自己”と我々が思っているのは、自分の表面の姿にすぎなのである。しかしながら人間の生命活動は、もっと原始的な生物と同じような働きもしている。たとえば小腸はミミズのような生命活動をしているのではなかろうか。胃から送られてくる泥状のものを受け取って吸収し、そのカスを大腸へと排出するだけの働きしかしないのだから。しかし我々は自己がミミズと同じ働きもしているという意識はもたない。そんな自己は“気持ち悪い”からである。かくして、人間の自己の生命活動の一部は、心理的には外界に投影される。
ところが、人間はそれも含めて人間としてまともに活動できる。仮にそれらを意識せずに使えても、意識的な自我は行動に成功もすれば失敗もする。かくして自己が思い通りに動かないと判断して、自分を嫌うこともある。自分の肉体は悪と認定されることがあるのだ。そうすると、光に象徴される原初的な善の感覚は外界に投影される。エデンの園がそれだが、上述のミミズの喩えからも想像されるように、それは人間とはかけ離れた形の生命活動の世界なのかもしれない。新世紀エヴァンゲリオンの使徒とはそういうものだろう。
別の生命体として存在する可能性もあったのに、なぜ人間は人間として生じなければならなかったのか。この問いに対する安易な答えは、「人間の魂が自分にふさわしい人間の肉体を選んだのだ。」というものである。だが、肉体をもつ前の完全な魂という仮定を使わずに心理学的に考えるならば、以下のようになろう。
人間の意識は刹那的に生じては滅していく。そして、快と不快が交互に生じてくるので、その全体を見通して自らを一つの存在として自覚することはできない。だが、快の体験とともに常に存在するものは自覚できる。それは母であり自分の肉体である。「よい対象」と「よい自己」である。かくして人間は人間の形をした生命体とそれをサポートするものに愛着を感じるようになる。ところがそこには不快もやって来る。その不快が嫌で「よい対象」と「よい自己」までも粉みじんに破壊してしまう場合には、意識は一貫した自我を喪失してしまうだろう。
その破壊の直前で、母と自分の肉体は破壊してはならないと思うことで、対象と自己の恒常性を保てるようになる。しかしその代償として、「よくも悪くもある対象」と「よくも悪くもある自己」の存在を認めなければならない。ところが、完全によいもの以外は決して認めようとしない理想主義的な破壊衝動は、そのアンビバレントな対象と自己を「悪い対象」と「悪い自己」と見なしてしまうだろう。このとき人間は影としての存在、アダム系に対するリリス系の存在になる。
「よい対象」としてのアダムは物事の半面でしかなく、幻想にすぎない。この幻想に囚われているかぎり、おそらくリリスも「よい対象」なのだろう。なにしろ人類の母なるものなのだから。しかし、その幻想が壊れると――というより元々その幻想によって隠されているのだが――リリスは影をもった対象になる。だが、影から生まれたにもかかわらず、ナルシシズムによって人間は「よい自己」を保とうとするだろう。そして、自己全体のうちそれ以外の部分(悪い自己・悪い対象)は「悪い対象」として外界に投影されて使徒として現われるだろう。使徒は徹底抗戦されるべき敵であると同時に碇シンジの影、そして、場合によっては彼の母ユイの影の側面なのである。
このあたりの心理を考察したい人は、メラニー・クラインの精神分析を参照するとよいだろう。
では、影は常に不快なのか。何者かから悪と認定されたとしても、人間は影に隠れて快楽を貪ることもありうる。むしろ光の存在のほうが刺激の少ない安楽であってつまらない生存である。したがって、影への回帰、リリスの卵ないし黒き月への回帰は、刺激的な本能的快楽な世界への回帰でもある。精神分析的には、自己愛から自体愛への退行である。
このような意識の発達を振り返って見た場合、人間は最初から人間の自己意識をもっていたのではなく、自己意識が発生した時点で、その起源を生まれる前まで過去に遡らせてしまったのだと考えられる。ひょっとしたらミミズはミミズの自己意識をもっているのかもしれないし、他の生物は他の生物の自己意識をもっているのかもしれない――そんなふうに思って、それらの自己意識が誕生前から完成された形で存在すると考えるのが「魂」という考え方なのだろう。ガフの部屋というのは、そういう発想に裏付けられていると思われる。
「肉体がLCLに還元される」とは、肉体が死んで土に帰るようなイメージだと思われる。そして、それ以外に魂が存在し、それは別のところ(白き月や黒き月;神のみもと?)に帰るのである。つまり、肉体を排除した意識が死後もずっと存在すると考えるのである。しかしながら、肉体と分離できない意識は、肉体の死とともにばらばらになってしまうのであろうか? 新世紀エヴァンゲリオンでいう贖罪の儀式とは、この分離を意味するのであろうか?
人類の魂が還るべきリリスの卵は、生命の源と呼ばれている。これを神と見なせば解りやすいのだが、その生命たるや人間としての肉体の裏づけをもたないようである。個人の肉体を離れて、ただ生命活動の上を永遠に浮遊する意識。これはまるで幼児の意識のようでもある。少なくともゼーレのもくろんでいる人類補完計画は、退行的な幻想であると思われる。
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