「【中国と私 その100(2003年)】ヘヨンと語り合った夜」
中国と私
昆明留学中のとある夜。夜と言っても、深夜とかじゃなく、夜ごはんを食べ終わった7時とかそのくらいの時間なんだけど(中国人は夕食をとる時間が早いので、5時半とか6時とかには夜ごはんを食べる)。
隣の部屋の韓国人留学生ヘヨンが私の部屋にやってきた。
「ねぇ、話そう〜」って。暇だったのか、ホームシック的な気持ちだったのか、何か語りたいような出来事があったのかはわからないんだけど、突然やってきて。
私たちは隣どうしの部屋だったし、ドアも開けっ放しで生活していたから、お互いの部屋を行き来することは特に珍しいことでもなかったんだけど、意外と真面目な私たちは、夜は勉強をしていることが多かったので、ちょっとだけ「アレ?」と思った。私は短期留学生だったから、短い時間で詰め込まんといかんかったし、まったくの初心者で単身韓国から中国にやってきたヘヨンは、まもなく始まる新学期に向けて、基礎を自習していることが多かったからね。
簡単な挨拶程度の中国語しか話せないヘヨンとの会話はほぼ英語。私は、中国語を勉強すればするほど英語を忘れていったから、コミュニケーションは大変だったけど、なぜかヘヨンとは意思の疎通ができたんだよね。
この夜の会話は、私にとって、本当に実りのあるものだった。
ヘヨンは大学卒業後、韓国の大手企業サムソンで働いていたのを、すっぱりと退職して中国にやって来た。大学3年生の私にとって、今まで自分の身の回りで社会人の親しい友達はいなかったから、そういう社会経験のある人の話ってあまり聞いたことがなかったから、国は違えど、すごく刺激になった。また、韓国らしいお国事情も聞けて、例えば韓国人はキリスト教徒が多くて、ヘヨンも小さい頃は親に連れられて教会とか行ってたんだって。でも、大人になって、そうやって親から言われて信じていたような気がしていた信仰に疑いを持って、きっぱり教会通いをやめた話(キリスト教を否定しているわけではなくて、自分の主体性を持って信じていないことに疑問を感じたらしい)。付き合っていた彼氏が兵役に行った際別れて、兵役終了後また付き合うことになったけれど、その彼と結婚を考えられない話。そして、仕事を辞めてこれから中国留学をしてどうやって生きていこうかと悩んでいる話。
学生生活真っ只中の私には何もアドバイスができなくて、もっぱら聞き役だったけれど、今までの私の人生の中にはなかった話をたくさん聞けて、実に実りある夜だった。
中国語も使ってないし、中国の話でもなかったけれど、こんな人生経験も留学生活の重要な時間かもね✩

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