桜薫る 3.生徒会役員選挙

2010/8/8  11:17 | 投稿者: おるん

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注)本文中にある名称は実在の物・人・団体とはなんら関係ありません。
 ウェブカレはリンクシンク社のSNSサービス名です。
 小説内には一部ウェブカレのイベントに近い箇所があります。
 小説内には一部ウェブカレのイベントの内容を引用した箇所があります。(ネタバレ注意)
 小説内の設定は必ずしもウェブカレ公式設定と同じではありません。
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◇◆◇3.生徒会役員選挙


翌朝、雨の中うろうろしたせいか、少し体がだるくて、寝坊してしまった。
お陰でなんだか頭がはっきりしない。
三時限目が終わって廊下に出たところで、草間君とすれ違った。
お昼まであと一時間なんだけど、お腹空いたなぁ、購買で何か買ってこようか…。
フラフラと歩き始めたところで後から声が掛かる。
「おい、谷本。」
「え?」
振り返ると、声の主は草間君だった。
「どうした?顔色が優れないな?」
「え?大したことないんだけど、朝寝坊して、ご飯食べれなかったから…。」
「うむ。朝食を食べないのは体に悪い。まず朝食を食べないと太る。糖分がないと頭も回らないから集中力も落ちるな。」
「太るって都市伝説じゃなかったの?」
「科学的根拠はあるぞ。それはだな…。」
「うん…。わかったから、もうお腹空いて限界。購買に…。」
「じゃあ、これを君にやろう。」
「??」
「今朝、近所のおばさんがくれたんだ。大した物じゃないが、昼まではなんとか保つだろう?」
ポケットから取り出した飴玉を三つほど私に手渡した。
「ありがとう。」
「ふふ、君は飴玉だけでそんなに嬉しそうな顔をするんだな。」
彼が穏やかに笑っている。いつも無愛想なしかめっ面のイメージだったから意外。
「だってホントに嬉しいんだもん。ホントお腹ペコペコで限界だったから。助かった〜。」
「ま、女性は笑顔の方がかわ…、ゴホン。いや、なんでもない。じゃあな。」
あれ?またいつもの仏頂面だ。
「うん。ありがと。」
??笑顔の方がかわ??なんて言おうとしたの?もしかして、『かわいい』かな??
きゃー、会長ってそんなこと言う風には見えない。まさかね、まさかね。
彼とはまだ数回しか話していないのに。彼が気になって目が離せなくなってきた。


◇◆◇


廊下を歩いていると、生徒会役員選挙の告知が掲示されていた。
立候補者の名前が書いてある。
「草間薫…。なになに?前回の選挙では上級生を上回る得票数で当選してるんだ、へぇ…。今期は草間君だけなのね、会長立候補者は。」
「呼んだか?」
「わっ。…びっくりしたー。」
背後から聞こえた声の主は草間薫…その人だった。
「ふむ。君、俺の応援演説をやらないか?」
ちょっと考え込んだ彼が、急にそんなことを言った。
「えぇ!?そんなのムリだよっ!私、転校してきたばかりで草間君のコト、あまり知らないし。」
突然のことにドギマギする私を尻目に、またちょっと考え込んでいる。
「…それもそうだな。何より、君の応援演説のせいで落選してしまっては困る。」
顔を上げたかと思えば、こんな憎まれ口を叩いた。
「なにそれ!?大体、立候補者が一人なんだから、当選確実でしょ?」
「まぁ、おそらく当選するが、過半数を割る可能性もあるのでな。」
何?この自信に満ちた微笑は。
「むぅ。そんなこと分かってるなら最初から言わなければ良いのに。からかってるの?」
「ふふ、当然だ。今頃気付いたのか?」
いつもあまり表情を表に出さない彼が、思いっきり意地悪な顔で笑っている。
「なんか腹立つなぁ…。票入れてやらないぞ!」
「ご自由に。」
またこの余裕!!そう言い残して彼は去っていった。腹立つなー!

翌週に行われた生徒会役員選挙。
彼の応援演説は彼のクラスの図書委員が行い、彼の人となり、本が好きで勉強家であることなどを説いていた。
彼自身の演説も、より良い高校生活を送る上での学校の役割について、彼の考えを説いていて好感が持てた。
即日開票集計の結果、私も投票した彼が生徒会長に二選した。

放課後、廊下ですれ違った彼にお祝いを言う。
「草間君、おめでとう。」
「あぁ、ありがとう。」
「私の応援演説じゃなくて良かったね。」
「…君の応援演説も聞いてみたかったんだがな。」
「え?」
「君が俺の事をどういう風に思っているのか聞きたかったのだが。案外、他の人間では思いつかない、心に残る名文句を言いそうだしな。」
「…。」
「でも、君が転校してきたばかりということを考えると、説得力に欠けると思ったのでな。」
「…。」
そんな風に言われてちょっと照れた。顔が少し熱い。
「ばっ、バカ!深い意味はないからな!」
私につられて彼は顔を赤くした。
会長って、会長って…。いつもクールなのに、よく見ると結構感情が表に出てるのかもしれない。


◇◆◇


朝、普段どおりに登校する。今日はアリサが居ない。出遅れたようで、駅で会わなかった。
学校の少し手前で自転車がやってくる。
「…おはよう。」
珍しく彼が声を掛けてきた。いつもは素通りなのだが、多分今日は私一人だからだろう。
「あ、草間君。おはよう。」
彼が自転車を降りて、私の横を自転車を押して歩いている。
「珍しいね、いつも素通りなのに。」
「君こそ、一人で珍しいじゃないか。」
「うん。アリサが電車に乗り遅れたみたいで。」
「そうか。…あの…、…いや、なんでもない…。」
「なによ?言いかけて止めないでよ。」
バツ悪そうにした彼がぼそぼそ言う。
「うん…。あの、君さえ良ければ、生徒会の作業、手伝ってくれないか?」
「え?いいけど、私なんかで良いのかな?」
「あぁ。これから体育祭もあるし、文化祭もあるし、忙しくなるから。人手が多いと助かるんだが。」
「わかった。いつ、何をしたら良いのかな?」
「忙しいときは大体毎日、放課後に色々作業する。ホント雑用なんだが。」
「毎日?毎日はちょっと無理だと思うけど…。」
「いや、来れるときだけでいいんだ。」
「じゃあ、できる範囲で。」
「ありがとう。早速、今日の放課後。」
そう言って彼は自転車置き場の方へ去っていった。


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1.出会い
<2.夕立 4.生徒会のお手伝い>
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2010/8/18  1:54

投稿者:おるん

>紫さん

毎度ありがとうございます。^^

元々は瀬川君のお話を書きたくて書き始めたのですが、
彼とヒロイン(ある意味自分)のイメージが付き合い始めるところまでしか思い浮かばなくて。
これはピュアなまま置いておこうと。www

もうちょっと人間関係や感情を掘り下げた話が書きたいなと思い立って、
登場人物を増やしたり、エピソードや設定を色々練ってから書き出したのが今回の「桜薫る」なのです。

後5話分のエピソードを書けば全50話でこの「桜薫る」も完結します。
その後は…単発でエピソードが浮かべば書くかもしれませんし、
別の人物(今度は先生や竜士がいいなぁ)で書くかもしれません。

つたない小説ですが、お付き合いいただければと思います。^^

2010/8/17  23:12

投稿者:紫

かおるさんのお話は、一連の続きものではなくて、短編集なんですね。
出会いだけでもいろんなパターンがあるので楽しめます。
あと、各キャラの設定を見て、すごく細かく設定してあって驚きました。
わたしなんて、もともと何も設定がなくて、書いてるうちに作り上げていくので、かなり行き当たりバッタリです。(笑)
また、お邪魔しま〜す。

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