桜薫る 41.星に願いを

2010/10/7  13:17 | 投稿者: おるん

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注)本文中にある名称は実在の物・人・団体とはなんら関係ありません。
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 小説内には一部ウェブカレのイベントの内容を引用した箇所があります。(ネタバレ注意)
 小説内の設定は必ずしもウェブカレ公式設定と同じではありません。
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◇◆◇41.星に願いを


今日は七夕。朝礼で先生から短冊が配られた。
彦星と織姫が一年に一度の逢瀬を重ねる日…。
なんで他人のお願い事まで叶えることになったのか分からないけど、叶えてくれるなら、何か願い事をしよう。

…。ダメだ、思いつかないよ…。

薫君はなんて書くのかな?
「草間君、短冊に書くこと、決めた?」
「ん?まだ決めていないが?」
「そっか…。」
「そもそも、七夕で短冊に願い事を書くのは、字の上達を願って、と言うことだったらしい。
あとは織姫が器用だったからそれにあやかろうとしたなんて話もあるな。」
「うーん、じゃあ、願い事って何でも良いわけじゃないの?」
「そうだな、一般的には芸事についての願い事にご利益があるとか。」
「ふぅん。じゃあ、料理か勉強のお願い事にするかなぁ…。」
「勉強は…神頼みするものじゃないな。」
「あはは、そうだよね…。」

自分の席に戻って、ボールペンを握って、短冊とにらめっこしていると、相葉君がやってきた。
「桜ちゃん、願い事決まった?」
「ううん。まだ…。相葉君は決まった?」
「悩んでるんだよね。バスケの願い事か、恋の願い事か。」
「恋!?」
「だって、七夕だよ?ロマンチックじゃん?」
「確かに、ロマンチックだよね…。うーん…。」

アリサとアキとリカコに聞いてみると、もちろん恋の願い事にすると言う。
恋。恋かぁ…。
薫君と私…。うーん…。

結局放課後もしばらく悩んで、それでも書けなかった。
「どうしよう…。」
玄関付近の渡り廊下の両脇に笹が十本ほど立ててあり、それにみんなの短冊がつるしてあった。
「みんな、何のお願いしたのかなぁ…?」
いくつかをそっと覗いてみる。
やっぱり、勉強のお願いと恋愛のお願いがほとんどだ。

はぁっとため息をついたところに綾川先生がやってきた。
「おやおや、どうしたんですか?」
「あ、先生…。願い事が決められなくて…。」
「そうですか…。余り難しく考えなくて良いと思いますよ?」
「せ、先生は…、どんなお願い事をしたんですか?」
「私ですか?私は…『うたたねに 恋しきひとを 見てしより 夢てふものは たのみそめてき』…なんてね。」
「?和歌?恋の歌ですか?」
「小野小町ですよ。意味は…自分で調べてきなさい。」
にこやかにそう言って去っていった。
小野小町…。夢でも会いたい、自分の事を想ってくれていると夢枕に立つと言われているから…ってヤツだったっけ?
先生は、一体誰の夢を見たんだろう…。

廊下の隅で短冊を書く。困った挙句、
『彼においしいクッキーを焼いてあげられますように。S.T』
と書いた。
短冊を笹に吊るそうとしたところで、綾川君がやってきた。
「よう。」
「あ、綾川君。」
「それ、吊るすのか?貸してみ?」
「あっ、見ないで…。」
「あ、悪りぃ…。でも、高いとこのほうがご利益あるぜ、きっと。」
背の高い彼が、ヒョイと笹の上のほうに掛けてくれた。
そのとき、その近くに掛かっていた短冊が一つ落ちてきた。
「綾川君、一枚落ちてきたよ…?」
拾ってみると、『来春、二人揃って満開の桜が見れますように。K.S』とあった。
几帳面な字…、K.S…、カオル・ソウマ??…だったら嬉しいな…。
「この字…。…受験生らしい願い事…か?…ちっ、しゃーねぇな、元の場所に掛けてやるか。」
その短冊も彼が掛けた私の短冊の横に掛けてくれた。
「綾川君、ありがとう。綾川君はどんな願い事…、あ、ごめん、やっぱりいい。」
興味本位でつい聞いてしまった。自分のを見ないでって言ったのに、自分勝手だ、私。
「んー、大した願い事じゃねーよ。じゃあな。」
彼は自分の短冊らしき紙切れをクシャっと丸めて、窓から校舎の間の庭に捨ててしまった。
彼の姿が見えなくなってから、庭に出てその短冊を拾う。
広げてみると『彼女が幸せで居られますように。』とだけあった。
綾川君…。これって私のことなのかな…。
廊下の壁で短冊の皺を伸ばし、ボールペンで書き足した。
『彼にも幸せが訪れますように。』
そして、自分で精一杯背伸びして、できるだけ高い場所にその短冊を掛けた。


◇◆◇


放課後すぐに笹の下にやってきた。
休み時間のうちに掛けた生徒も居るようで、既に多くの短冊が掛かっている。
終礼直後でまだ人がまばら。今のうちにこの短冊を掛けてしまおう。
「ん…。」
できるだけ高い場所に掛けたくて、背伸びする。
もう少し背が高ければな…。少しずつ伸びてやっと172センチ。もう少し伸びてくれると思いたい。
窓の桟に手を掛けて笹の高いところに短冊を掛けた。
「ふぅ。」
そこに相葉がやってきた。
相葉も俺と同じように、短冊を高いところに掛けたいらしく苦労している。
「ね。会長、これ、上のほうに掛けてくれない?」
「…自分で頑張るんだな。自分で頑張ってこそのご利益だと思うぞ。」
「ちぇーっ、それもそうか…。どっか椅子とかないかなー。」
「…一年の教室から借りてきたらどうだ?」
「それそれ!会長ありがとう、行ってくる!」

チラッと他の人の短冊を覗いてみる。
『うたたねに 恋しきひとを 見てしより 夢てふものは たのみそめてき』
小野小町か…。しなやかな流れるような文字。
この学校の女子でこんな短冊を書くヤツが居るのだろうか?
切ない恋の和歌。誰か書いたのか、少し気になった。
桜の夢枕にも俺は立っているだろうか?俺は…彼女の夢をよく見るが。
俺の願い事…『来春、二人揃って満開の桜が見れますように。』
意味が三つ掛かっている…大学合格と彼女の笑顔と花見。
欲張り過ぎかもしれない。でも全部叶えて欲しい。もちろん努力はする。
桜はどんな願い事をするのだろうか?
彼女にも俺との未来を願っていて欲しい。

相葉が椅子を持って戻ってきた。
嬉しそうに笹の上のほうに短冊を掛けた。
『彼女に振り向いてもらえますように。相葉駿』
見えた短冊にはそう書いてあった。
椅子から降りた相葉が俺に向かって言う。
「…会長。油断しないほうが良いよ。」
「え?…あぁ、そうだな…。」
そのまま椅子を持って去っていったが、どういう意味だ?
『彼女』って誰のことだ?もしかして、宣戦布告ということなんだろうか?
今更、そう易々と渡しはしないが。

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1.出会い
<40.穂の素朴な疑問 42.夏の風物詩>
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2010/10/9  15:14

投稿者:おるん

>紫さん
ありがとうございます。
竜士君、男前過ぎるでしょ!!!
こんな男子がいたら、そりゃもう放っておかない。w
…あぁ、でも、竜士君は追いかけると逃げそうだなぁ。
あくまでも竜士君の片思いから始まるんだろうな。

2010/10/9  13:23

投稿者:紫

うぅぅーーっ、これは・・・やっぱり竜士に惚れる!
桜ちゃん、竜士の方が絶対いいよ!乗り換えなよ!・・・と、悪魔が囁く声がする〜〜。www


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