桜薫る 23.クリスマス

2010/9/1  16:02 | 投稿者: おるん

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注)本文中にある名称は実在の物・人・団体とはなんら関係ありません。
 ウェブカレはリンクシンク社のSNSサービス名です。
 小説内には一部ウェブカレのイベントに近い箇所があります。
 小説内には一部ウェブカレのイベントの内容を引用した箇所があります。(ネタバレ注意)
 小説内の設定は必ずしもウェブカレ公式設定と同じではありません。
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◇◆◇23.クリスマス


いよいよ年に一度の大イベント。
期末考査が終わってから、クリスマスパーティの準備をしてきた。
この学園でも一番人気の最大イベント。

もちろん生徒会主催の学校イベントなので、大したことはできないが、生徒達も先生までもが楽しみにしている。
体育館近くの植え込みにイルミネーションを灯したり、ツリー飾りをして、クリスマス気分を盛り上げ、体育館でダンスパーティを催すのだ。
放課後、生徒会で少しずつ飾り付けをした。告知ポスターも掲示済みだ。照明器具や音響の準備も万端。飲み物の手配もした。後は前日と当日で最後の仕上げだ。

ダンスパーティ。去年は裏方に徹したので一人だったが、今年は桜と一緒に過ごそう。もちろん裏方の仕事もあるが、みんなに少しずつ協力してもらえば何とかなるだろう。

「桜、クリスマスパーティ、もちろん行くだろう?」
「うん。どんなカンジなのか楽しみなんだ。」
「学校のイベントにしてはなかなかのものだと思うぞ。」
「自画自賛?」
「まぁ、そうだが…、我が校の伝統になっているからな。」
「へぇ…。」
「もう十年以上はやってるんじゃないか?綾川先生が在学中にもやっていたようだし。」
「綾川先生って、ここの卒業生なんだ?」
「あぁ、知らなかったのか?生徒会資料室に卒業アルバムがあるから見てみると良い。」
「なんで生徒会資料室に?」
「名簿が載っているから同窓会などで必要なときに出せるように保管しているんだ。一時、それが一般生徒に知れて、女子生徒がたくさん、綾川先生の写真を見せろと来たことがあって困った。」
「へぇ。先生、薫君みたいな優等生だったのかな?」
「さぁ…。写真で見る限りは綾川みたいなカンジだったな。」
「不良なんだ!それは見るのが楽しみ!」
「おい、他には言うなよ。」
「はーい。」
桜は興味津々。釘を刺しておかないと、周りの友達を連れてアルバムを見に来そうな勢いだ。
話が脱線してしまった。肝心のパーティをどうするか。
「で、パーティ、どうするんだ?」
「もちろん行くよ?」
「…ダンスパーティなんだが…。」
「そうなの!?すごいね!」
俺の言わんとしていることがイマイチ理解できていないらしい。
「あぁ、だから…。」
「?」
「俺のパートナーとして…。」
「!!」
やっと気付いた。
桜は顔を赤らめながら、少しうつむいて「うん。喜んで。」と言った。
「パーティは私服で良いから、ドレスアップしてこいよ。」
「うん。楽しみにしててね。」


◇◆◇


いよいよ当日だ。
午前中から生徒会役員と文化委員、生演奏の有志が体育館に集まっていた。
舞台を組み上げ、照明機器や音響機器をセッティングし、マイクテストやプレーヤーのテストを行う。
入り口近くには衝立を立て、机とハンガーを用意して、クロークにする。
脇に休憩用の椅子と長机を並べ、搬入された飲み物と紙コップを設置する。
外のイルミネーションも灯し、いい雰囲気だ。

一段落着いた榎本さんと、体育館の出口に腰掛けて話す。
「日が暮れてきて、寒くなってきましたね。」
「そうだな。こりゃ、雪が降り出すんじゃないか?」
「積もればホワイトクリスマスか…。」
「今年は谷本と?」
「えっ!?」
突然で驚いた。
「バレバレだよ。」
そりゃそうか。でもこうやって他の人に面と向かって言われるのは初めてかもしれない。
「はい。そのつもりで…。なのでちょっと外す時間がありますが。」
「まぁ、俺も結城を誘ったし、交代で何とかなるだろ。」
「お願いします。」
榎本さんが綾乃と、というのはちょっと意外というか、でも想定内というか。
「さて、雪が降るなら、入り口が滑りやすくなるからマット出しとくかな。」
榎本さんが立ち上がって、ズボンの尻をはたく。
「あぁ、手伝います。」
彼に着いて倉庫に向かった。

マットを敷いて、間もなく開場時間だ。
ドレスアップした生徒達が続々とやってくる。
カップルのものも居れば、友達同士だったり、一人だったりするものも居る。
それでもみんなクリスマスということで浮かれているようだった。

照明をすこし暗くする。BGMの音量が控えめになる。
「皆さん、白薔薇学園クリスマスパーティにようこそ。心行くまでお楽しみください。」
俺がマイクで挨拶すると、わーっと歓声と拍手が上がった。
BGMの音量を上げる。パーティライトを回し始めた。

さて、しばらく俺の出番はない。裏方として色々気を配る必要はあるが、進行は有志に任せてある。
桜はもうそろそろ来る頃だろうか?
舞台袖に置いた鞄を肩に掛け、体育館の外に出た。
かなり寒い。吐息で空気が白くなる。眼鏡が曇る。これは本当に雪が降りそうだ。


◇◆◇


中庭で空を見上げていた。
「薫君!」
向こうから桜が走ってくる。
「桜。」
「ちょっと遅れちゃった。ごめんね。」
息を切らせてやってきた。ファーのコートを着て、白いタイツに白いローヒールを履いていた。
髪はハーフアップにしていて、少し化粧もしているようだ。
「構わない。…綺麗だ。」
「あ、ありがと。薫君もかっこいいよ。髪、決まってる。」
「そうか?とりあえず、中に入ろうか?」
「うん。」
彼女の冷たい手を取り、中に入る。

入り口で綾乃がクロークの番をしていた。
「こんばんは。荷物、貴重品以外はここに置いていってね。」
「はーい。」
二人で奥に入り、コートと荷物をハンガーに掛けた。
コートを脱いだ桜は、薄いピンクの花柄のワンピースを着ていて、オフホワイトのレース編みのボレロを羽織っていた。普段と違う装いにドキドキしてしまう。
「二人とも楽しんできてね。」
「ありがとう。」

光と音で賑やかな体育館。いつもの体育館と違う様子に、ここが学校であることを忘れそうになる。
ひとまず様子見で端の椅子に腰掛ける。
「桜、何か飲む?」
「うん。オレンジジュースがいい。」
「ちょっと待ってろ。」
コップを二つ手に桜の元に戻ると早速、他の男子に誘われている。
「ねぇ、彼女、一人だったら一緒に踊らない?」
「あ、でも、私…。」
コホンと咳払いをしてソイツの後ろに立つ。
「あ。会長!?」
「失礼。彼女、今日は俺がエスコートしてるんで。」
ソイツはあははーとごまかし笑いをしながら去っていった。
桜の横に座ってジュースを飲む。これは油断できないなと思った。
少し会場の様子を眺めていたら、桜が言う。
「踊る?」
「…踊るのは得意じゃなくて。」
「あは、良かった、私も。どうやったら良いのかわかんない。」
「そうか。」
「外に行ってみる?」
「…そうだな。」

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