桜薫る 22.プレゼント

2010/9/1  15:58 | 投稿者: おるん

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注)本文中にある名称は実在の物・人・団体とはなんら関係ありません。
 ウェブカレはリンクシンク社のSNSサービス名です。
 小説内には一部ウェブカレのイベントに近い箇所があります。
 小説内には一部ウェブカレのイベントの内容を引用した箇所があります。(ネタバレ注意)
 小説内の設定は必ずしもウェブカレ公式設定と同じではありません。
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◇◆◇22.プレゼント


彼の告白から一ヶ月程が経った。
私達は少しずつ絆を深めていた。放課後は生徒会の仕事や勉強を一緒にしたり、休みの日は一緒に出掛けたり。後は寝る前のメール。
いよいよ冬も厳しくなって、もうすぐクリスマス。付き合い始めてから、最初のビッグイベント。

放課後、図書館の閲覧室の隅で勉強しながら、彼が言った。
「桜、何か欲しいものはあるか?」
「え?…うーん。欲しいものがいっぱいありすぎて難しいなぁ。」
「例えば?」
「鞄とか、ブーツとか、コートとか…。お小遣いじゃ間に合わなくて。」
「…。」
彼が黙り込んだ。
「でも急にどうしてそんなこと聞くの?」
「いや、その…。もうすぐ、…だから。」
??なんだろう?…あ!クリスマスか!
「あ、そっか…。薫君は何か欲しいもの、ある?」
「俺は特にないんだ…。」
「そうなんだ…。」
二人してしばらく沈黙した。
「…私、指輪が欲しい。」
「え?」
「オモチャでいいんだけど、左手の薬指に…。」
私が左手の薬指を摘まみながら言った。彼はそれを見て、少し照れたようだった。
「あぁ、分かった。指輪だな。」
「うん。」
「さて、続きを解こうか。」
そのまま、プレゼントの話はそこでお終いで、何事もなく勉強した。


◇◆◇


生徒会でクリスマスパーティを企画している。その準備をした帰り道。
今日は桜が居ない。
この前の日曜日にカフェに立ち寄ったとき、向かいにある雑貨屋の雑貨がかわいいんだと桜が言っていた。
恐る恐る、ショーウィンドウを覗き込む。
ディスプレイはクリスマス一色。部屋の飾りやプレゼントにピッタリの品物が並んでいた。
その片隅に、天使のリングスタンドがあり、それに花のモチーフがついた指輪が飾られていた。

カランカラン。

その雑貨屋のドアを開けて入る。
場違い過ぎて恥ずかしい。
店員が俺に声を掛けた。
「いらっしゃいませ。…どのようなものをお探しですか?」
「あの、あそこに飾られている指輪を見せて欲しいのですが…。」
「はい。ちょっと待ってくださいね。」
店員はショーウィンドウに行き、そこからいくつかの指輪を持ってきた。
レジ前のカウンターに並べて、俺に聞く。
「どちらがよろしいですか?」
「ええっと…。この、花のが…。」
「はい、こちらですね。これ、かわいいですよね。人気なんですよ。彼女にですか?」
彼女がにこやかに聞いてきたが、恥ずかしくてつい否定してしまう。
「あ、いや、彼女などでは…。」
「じゃあ、お母様かご姉妹に?」
「い、いえっ。その、あの、…彼女に…。」
「ふふっ。きっと喜んでくれると思いますよ。」
結局、彼女と認める形になってしまって、笑われてしまった。
物凄く恥ずかしい。やっぱり、こういうところは場違いだ。
「かわいくラッピングしますからね。」
と、指輪ケースをピンクの薄い不織布と大きめのリボンでラッピングしてくれた。
会計を済ませて、店を後にする。

ピンクゴールドの指輪にクリスタルの花のモチーフがついている。
指輪はメッキでクリスタルもプラスチックであろうオモチャだが、君は喜んでくれるだろうか?
きっと似合うと思うのだが。


◇◆◇


指輪…。やっぱり無茶なお願いをしちゃったかなぁ…。
イメージはあの雑貨屋さんのオモチャの指輪だったんだけど、困らせちゃってるかも。
薫君へのプレゼント、何が良いかな??
甘いものが好きだし、何か手作りのお菓子にしよう!
でも、また失敗作だと悪いから、他にも何か用意しよう。
手編みのマフラー…とか?でも、やっぱり器用じゃないから既製品を探して来た方がいいかな?

授業中に思い立って、放課後買出しに行く。
街中、デパートもすっかりクリスマスだ。
紳士物売り場に来て、あちこち見てみたものの、やっぱりお小遣いで買えるものは少ない。
「どうしよう…。困ったな。」
そうだ、あの雑貨屋さんで、男の子が使ってもおかしくない文房具とか、マフラーとか見てみよう。あそこなら多分手が届く金額のものがあると思う。

閉店間際の雑貨屋のショーウィンドウ。いつ見てもここのディスプレイはかわいい。私の部屋もこんな風に飾りたいと思うほど。
「あれ?」
前に見たときにはあった、指輪がなくなっていた。
あぁ、売れちゃったんだな。かわいかったもんな。…残念。

カランカラン。

ドアを開けて店内に入る。入ってすぐの棚に帽子やマフラー、ストールが置いてある。
色々広げてみて、彼に似合いそうな落ち着いた色のものを探す。
グレーのマフラーを手に取ってみた。あんまり地味すぎても…だし、難しいなぁ…。
悩んでいると、店員さんが声を掛けてきた。
「いらっしゃいませ。…プレゼントですか?」
「ええ。高校生の男の子になんですけど…。」
「案外、赤とかオレンジとか派手な色の方が人気ですよ?」
「うーん、普段から黒とか紺とかが好きみたいだから…。」
「そうですか。じゃぁ、これなんかは?」
店員さんが差し出してくれたのは、黒と白の大きめのチェック柄のマフラーだった。
「あ、良いかも。」
「きっとこれなら、色は控えめだけど、柄が大きいから地味にはならないし、学校にも着けて行きやすいと思いますよ。」
念のため、お値段チェック。これなら買える値段だ。
「じゃあ、これください。」
「ありがとうございます。」
店員さんがクリスマスカラーの包装紙でラッピングしてくれている。
「…あの、あそこに飾られてた指輪なんですけど…。」
「はい?」
「あの、キラキラしたお花が付いてる…。」
「あぁ、そういえば少し前に、最後の一個が売れたんです。」
「そうなんですか…。」
私のがっかりした顔を余所に、店員さんが続ける。
「高校生くらいの男の子が、顔を真っ赤にして買っていって…。初々しくて。」
店員さんがクスクス、思い出し笑いをしていた。
「それ、彼女へのプレゼントなんですかね?羨ましいなぁ…。」
「きっとそうだと思いますよ。彼女、喜ぶでしょうね。」
話しながら、テキパキとラッピングをする。
「はい、お待たせしました。」
「ありがとう。」
お金を払って、プレゼントを受け取った。
「またお越しくださいね。」
店員さんのにこやかな顔に送られて店を後にした。

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1.出会い
<21.文化祭パニック(後編) 23.クリスマス>
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2010/9/12  23:12

投稿者:おるん

>紫さん
ありがとうございます。
初めてのプレゼントって、ドキドキしますよね。
クリスマスは…クリスマスパーティに行くだけなんですけど、
大体オリジナルで、ちょっと本家と被るカンジです。
二人の初々しいカンジを感じ取っていただければ何よりです。^^

2010/9/12  11:21

投稿者:紫

プレゼントって贈るのも贈られるのもドキドキして楽しいですよね。
特に、付き合い始めは。
二人がどんなクリスマスを過ごすのか楽しみです。♪

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