桜薫る 16.ハロウィン(前編)

2010/8/23  21:33 | 投稿者: おるん

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注)本文中にある名称は実在の物・人・団体とはなんら関係ありません。
 ウェブカレはリンクシンク社のSNSサービス名です。
 小説内には一部ウェブカレのイベントに近い箇所があります。
 小説内には一部ウェブカレのイベントの内容を引用した箇所があります。(ネタバレ注意)
 小説内の設定は必ずしもウェブカレ公式設定と同じではありません。
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◇◆◇16.ハロウィン(前編)


少し前に生徒会がちょっとした仕事をした。
ハロウィンらしく、校舎の入り口や掲示板、ベンチなどにペーパークラフトやカボチャを飾ったのだ。
そして、とうとうハロウィン当日。ノリの良い先生は職員室を訪ねるとお菓子をくれたりするらしい。

「トリックオアトリート!」
そう言われて振り向くと、相葉君だった。
「あぁ!相葉君。」
「桜ちゃん、ハロウィンだよ。お菓子、欲しいな。」
「え、と。今日はこれしか持ってないや…。ちゃんと用意しとけばよかった。ゴメン。」
ポケットからガムを出した。
「うん、ありがとう。あ、ウチのクラスの人は綾川先生のところに行くとお菓子もらえるらしいよ。」
「へぇ、そうなんだ。」
「じゃぁ、これはボクから。」
そういってキャンディを一つくれた。
「ありがとう。いいね、学校でこういうの。」
「うん。前の学校ではなかったの?」
「うん…。普通ないと思うよ??」
「そっかぁ。良い学校に来たね。」
「ふふ、そだね。」
「じゃあ、ボク、クラブ行ってくるね。」
「頑張ってね。」
笑いながら彼は去っていった。いつも元気でカワイイ。


◇◆◇


最近、生徒会室に来るのが遅い時があると思っていたら、どうも時々、国語準備室に呼び出されているらしい。
国語といえば、綾川先生だ。涼しいルックスに甘い声、しなやかな振る舞いで女子生徒に絶大な人気。
表立ったことは今まで何もないが、噂が絶えない。気に入った女子生徒を連れ込むと。
噂なので、真偽のほどは定かではないが、桜もターゲットになっていると思うと気が気ではない。

意を決して国語準備室に乗り込む。
コンコン。ドアをノックした。
「はい、どうぞー。」
中から綾川先生の声がする。
「失礼します。」
ドアを開けて中に入る。
「おや、草間会長ですか、珍しいですね。」
「そうですね。…あの、谷本は来ていませんか?」
「あぁ、谷本さんですか?今日は『まだ』来ていませんよ。」
先生が俺の顔を見てニヤニヤする。
「な、なんですか?自分の顔、変ですか?」
「いいえ、やっぱりそうかーと思いましてね。彼女のこととなると必死ですね。」
「な、何のことです?」
「ふふ。いつも冷静な会長君が動揺しすぎですよ?コーヒーでもいかがですか?」
「…。」
確かに、俺は桜のこととなると見境がない。完全にウィークポイントだ。
前の資料室に閉じ込められた時といい、まんまと先生の思惑通りに動かされているのかもしれない。
「彼女、かわいいですからね。私もあなたたちと同い年だったらと思います。」
「!」
「安心なさい。あなたが思っているようなことは何もありませんよ。私が勝負できるのはあなたたちが卒業してからです。」
先生はそういうとニッコリ笑った。
「…。」
「卒業したら覚悟しておきなさい。…なんてね。冗談です。用事はそれだけですか?」
「え、あぁ、はい…。」
「ふふ、会長らしくないですね。私の所に乗り込むのなら、もう少し口実を作ってから来るべきですよ。」
「…そうですね。自分としたことが。」
「ま、いつでもいらっしゃい。今度は何か国語の質問でも用意しておくように。」
「…失礼します。」
部屋を出てドアをパタンと閉める。

ダメだ。先生には敵わない。こちらが聞きたいことの一つも聞けなかった。
完全に先生のペース。あの物腰、あの煙に巻く話し方。かと思えば核心を突いてくる。
先生が本気になったら、桜を取られてしまうかもしれない。
じわっと冷や汗が出た。


◇◆◇


綾川先生か…。中間テストの古典の出来が悪かったから、時々課題出されてるんだよね。
課題を持っていくついでに、お菓子、もらおうかな?
「綾川先生。」
国語準備室のドアをノックする。中から先生が返事をした。
「はい、どうぞ。」
「失礼します。」
ドアを開けて部屋に入る。奥に座っている先生に近づく。
「谷本さん。課題提出ですか?」
「はい。これ…、確認お願いします。」
「分かりました。ちょっとそこに掛けてなさい。」
「はい…。」
先生が問題集とノートを開いて中を確認している。
「うん。頑張りましたね。じゃあ、次はここからここまでやってきてくださいね。」
「はぁい…。先生、ご褒美欲しいな。」
「ん?」
「トリックオアトリート!」
「あぁ、ハロウィンの。クッキーをあげましょう。」
先生はクスクスと笑いながら、クッキーの缶を取り出し、コーヒーをカップに注いでくれた。
「お待ちどうさま。あなたは課題をやってきたから、コーヒーもあげましょう。さぁどうぞ。」
「ありがとうございます。」
もくもくとクッキーをほおばる。口の中でホロホロと砕け、香ばしい香りが広がる。
「そういえば、さっき、草間会長が来ましたよ。」
「そうなんですか?会長も課題をやってるんですか?」
「彼は課題なんか出さなくても、きっと自分でやっていますから。」
「そ、そうですよね…。じゃあ、ハロウィンだから??」
「いいえ。どうしてなんでしょうかね?」
「ふーん…。」
先生と話しながらコーヒーを飲む。コーヒーメーカーで作ってから少し時間が経っているのか、少し苦かったけど、インスタントよりはずっといい香りがして美味しかった。
「彼、誰かさんを探していたみたいですよ?」
「??」
「その誰かさんのことをすごーく心配していたようです。」
「心配?誰か行方不明なんですか?」
「おや、彼も報われませんね。ふふ。」
「???」
「さ、そろそろ片付けます。他の人が見たら、ひいきだと言われてしまいますから。」
「あ、はい。ご馳走様でした。」
「どういたしまして。次のテスト、頑張ったらまたご馳走しますよ。」
「はい、失礼します。」
国語準備室から出た。生徒会室に行って、飾りの片付けを手伝わなくちゃ。

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1.出会い
<15.初恋 17.ハロウィン(後編)>
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2010/9/5  22:23

投稿者:おるん

>紫さん
薫君タジタジです。w
先生の本気。。。えげつないんやろなぁ。。。^^;
勝てるとしたら、駿君のお姉さんくらいでしょうか?w

2010/9/5  10:56

投稿者:紫

会長が先生のペースに巻き込まれていく姿がかわゆい♪
そりゃ、先生が本気を出せばきっと誰もかなわないと思うな。

2010/8/23  22:34

投稿者:おるん

ハロウィンのイベントは本家踏襲してません。
一応、私のオリジナルです。あしからず。

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