アールグレイケーキ・エピソード2 夏祭

2010/8/1  2:48 | 投稿者: おるん

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注)本文中にある名称は実在の物・人・団体とはなんら関係ありません。
 ウェブカレはリンクシンク社のSNSサービス名です。
 小説内には一部ウェブカレのイベントに近い箇所があります。
 小説内には一部ウェブカレのイベントの内容を引用した箇所があります。(ネタバレ注意)
 小説内の設定は必ずしもウェブカレ公式設定と同じではありません。
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いよいよ初デート。
彼の実家の近くの神社の夏祭り。
結構大きなお祭りで縁日の出店がたくさんあるんだとか。

朝からバタバタで、お母さんに浴衣を着るのを手伝ってもらう。
彼の実家はここから電車で2時間弱の所にあるらしい。
彼は昨日から実家に帰っていて、向こうの駅で待ち合わせ。

「かおる、今日何時頃になるの?」
「えっと、多分10時過ぎには帰ってこれると思う。」
「ちょっと遅いわね、大丈夫なの?」
「明るいところを選んで帰ってくるよ。」
「駅に着いたら電話してね。」
「はーい。いってきまーす。」


初めて行く、彼の地元。
電車の2時間が物凄く長く感じる。
浴衣姿の人が他に居なくてちょっと恥ずかしい。
間に乗り換え3回して彼の地元の駅に着く。
約束の時間の30分前だ。
「ちょっと早く着きすぎちゃったかな。」
駅の柱についてる鏡で髪型をチェックした。
白地に薄いピンクの花柄の浴衣。
彼はなんて言うかな?誉めてくれると良いな。

しばらくすると、彼がやってきた。
「かおる!待たせた?ごめん。」
「ううん、遅刻しないようにと思ったら、思ったより早く着いちゃって。」
「さ、行こうか。」
彼が手を差し出してくれた。

彼も私が浴衣で来ることを見越したのか、浴衣姿だ。背中に団扇をさしていて色っぽい。
「かおる、よく似合ってる。ピンクが女の子らしくて良い。」
「ホント?ありがとう。あっちゃんも色っぽいよ。」
「そ、そうか?初めて自分で着たんで四苦八苦したが。」
「たはは。私、お母さんに手伝ってもらっちゃった。」
「祭りが始まるまで、少し時間がある。ウチに寄っていくか?」
「え!?いいの?」
「あぁ。今日は両親は出かけてるから。妹は居るかもしれないけど。」
「そうなんだ、梓ちゃん、中3だったっけ?」
「あぁ。あいつも夏祭りに行くはずだから、友達ん家に行ってるか、俺ん家に集まってるか、どっちかだと思うんだけど。」
「へぇ、どんな子なのかなぁ。」
「あいつはうるさいから、家に居てくれない方が助かる。」
「お兄ちゃんの彼女って、どうなんだろう?緊張する。」
「色々、根堀り葉堀り聞いてくると思うんだよな…。」

彼の実家に着いた。
で、でかい。なんなの?ちょっとした邸宅だよ。
「あっちゃん家って、お金持ちなんだね…。」
「ん?あぁ、この辺は田舎だからな。そうでもないよ。まぁ、どうぞ。」
「う、うん。お邪魔しまーす。」
キィとドアを開けて玄関に入る。
「良かった。梓、居ないみたい。俺の部屋、2階に上がって右の手前の部屋だから。先上がってて。」
「うん…。」
先に絨毯敷きの階段を上って、右の手前の部屋のドアをノックする。
返事があるはずがなく、そっとドアノブを回してドアを開ける。
「わぁ。」
部屋はキレイに整頓されている。
壁一面が書棚になっていて、色々な本がびっしり並んでいた。
並んでいる本のタイトルを見ていると、彼が上がってきた。
「かおる、喉が渇いただろう?麦茶とクッキーを持ってきた。」
「ありがとう。」
「あ、その椅子に座って良いよ。」
「うん。」
椅子に座ると、その前にある学習机の上に麦茶のコップとクッキーの皿を置いてくれた。
冷たい香ばしい香りの麦茶が美味しい。
「あっちゃん、中学までは実家に住んでたの?」
「あぁ、高1まで住んでたよ。生徒会の仕事をしていると、さすがに片道2時間が辛くなって、高2から下宿させてもらってるんだ。」
「へぇ。」
クッキーを一つ摘み口に入れる。チョコとココナッツのクッキーだ。ほろ苦くて甘い。
「あ、これ、美味しい…。」
「うん。昨日焼いたから。梓に全部食べられないようにするのが大変で。」
「あはは。」
「…そろそろ、始まるかなぁ…。」
彼が窓から外を覗いた。日が傾いてきて、下の道を通る人が増えてきたようだった。
「落ち着いたら、行こうか?…洗面所が廊下の突き当たりにあるから、気になるなら行っておいで。」
「うん。ありがとう。」
お手洗いの心配までしてくれるなんて、流石、妹が居るだけある。気遣いに抜かりなし。
無愛想だけど、差っ引いてもお釣りが来る。
私みたいなのが彼女で良かったのかな??

実家を出て、神社に向かう。人通りが多くなってきた。
神輿が出ているらしく、お囃子が聞こえる。
参道の両側に出店が並んでいる。
「わぁ。あっちゃん、すごいね!こんなにたくさんお店出てるよ!」
「ふふ。君は子供みたいにはしゃぐんだな。」
「だって、お祭りって久々だし!」
「よし、金魚すくいでもやるか!」
「うん。」
なんだかんだ言って、彼もすごく真剣な眼差しで金魚すくいをしている。
結局、二人合わせても5匹だったんだけど。
後はカキ氷を食べて、神社にお参りした。
「ねぇ、なんてお願いした?」
「内緒。かおるは?」
「うーん、まずは受験がうまく行きますようにってのと…。」
「と?」
彼はちょっと笑みを浮かべている。意地悪な質問だ。
「来年もお参りに来れますようにって!ばか!いじわる!」
「はは。悪かった。俺もかおると一緒だよ。」
「ふーん、どの部分が?」
「受験がうまく行きますようにってのと…。」
「と?」
「だー、もう!来年も君と一緒に来れますようにって!」
へへん、仕返ししてやった。あっちゃん、かわいい。

遠くで花火の音がする。河川敷で花火大会があるらしい。
神社の裏山から見えるということで、二人で山に登った。
「かおる、大丈夫か?」
「うん。」
薄暗い遊歩道。地元の人でもあまり来ないところのようで、人通りはなかった。
「ここら辺に、子供の頃、秘密基地作ってて。」
「へぇ。」
「結構、町がきれいに見渡せるんだ。」
「ふぅん。」
「ここ、座れる?」
「うん。」
二人で並んで石のベンチに座った。少し遠くに花火が見える。
「…あっちゃん、きれいだね。」
「あぁ。」
「・・・。」「・・・。」
しばらく沈黙が続く。そのうち、花火も終わってしまったようだった。
一体、今何時なんだろう?
「かおる…。」
「ん?」
「もうそろそろ帰らないと家の人が心配する。」
「うん…。」
「かおる…、俺…。」
そう言って、彼が私を抱きしめた。
あっちゃん…。声にならなかった。
「好きだ…。」
私も…。そう言いたかった。
声を出そうとした時、彼が私にキスをした。

時間が止まる。
瞳を閉じて、私も彼の背に両手を回した。
初めての柔らかい彼の感触。温かくもなく冷たくもなく、不思議な感じだった。

彼がそっと離れる。
「…そろそろ、帰ろうか。」
うん。声が出せないまま頷いた。

お祭りの出店の灯かりはまだ明るい。
でも私の家まで2時間掛かる。賑やかな神社を後にした。
「ちょっと家に寄って着替えて荷物取ってくる。ここで待ってて。」
彼の実家の前で少し待つ。
「待たせた。さ、行こうか。」
5分くらいだろうか、ポロシャツにジーンズ姿の彼がミニボストンを持って家から出てきた。
「…。」
私は何か話そうと思うんだけど、何も話せずにいた。
彼は私の手を握り一緒に歩いてくれている。
「そうそう、さっきの金魚、実家の池で飼ってもらうから。」
「…。」
「…かおる、怒ってる?」
ううん。そう言いたいのに、声が出ない。涙が出た。
「!!ご、ごめん!俺っ!」
「ち、ちがうの。」
うつむいたまま、やっと声を絞り出す。
「びっくりしただけ。イヤだったわけじゃなくて、嬉しかった…。」
「…そっか…。」
彼の方を見ると、彼も斜め上を向いて照れていた。

電車に乗っている間、特に何か会話するわけでなく、ずっと手を繋いで座っていた。
お互いの手の感触、温もりを確かめるように。
来た道を戻る。同じように3回乗り換えて、帰ってきた。
(彼の部屋の最寄り駅(学校の最寄り駅)とは違うのだが、)彼も私の家の最寄り駅で降りた。
「あっちゃん?」
「夜道の一人歩きは危ないから。家まで送るよ。」
「うん。」
手を繋いでしばらく歩いて、家に着いた。
お母さんには10時過ぎに帰ると言ったけれど、もう11時を過ぎていた。
「遅くなっちゃったな。家の人に謝ろうか?」
「大丈夫だよ。」
「本当に?」
「うん。今日は楽しかった。ホントにありがとう。」
「こちらこそ。ホントに楽しかった。ありがとう。また明日な。」
「うん。」

話し声に気付いて、家からお母さんが出てきた。
「かおるなの?」
「あ、お母さんっ。」
「かおる!そちらは!?」
お母さんが彼を見て驚いている。誰と出かけるとは言わなかったから、きっと女友達と居るんだと思ってたんだろう。
「クラスメイトの瀬川と言います。すみません。奥崎さんを遅くまで連れまわして。」
「お母さん、違うの、私がお祭りに夢中になっちゃって。遅くなってごめんなさい。で、瀬川君が送ってくれたの。」
「は、はぁ、ご丁寧に。」
二人にまくし立てられて、お母さんはちょっとしたパニックになっている。
「ホントにすみませんでした。」
ぺこりと頭を下げた彼を責めるわけもなく。
「いえ、わざわざありがとう…。」
「では、僕はこれで失礼します。じゃぁ、奥崎サン、また明日。おやすみ。」
「うん。瀬川君、おやすみ。」
「気をつけてね。」
お母さんはびっくりしたまま、二人で彼を見送った。

家に入ってから、ちょっと小言を言われたけど、彼の印象はかなり良かったようで。
「もしかして、彼氏なの!?」
「え、あぁ、まぁ…。」
「今度ウチにも遊びに来てもらいなさいよ。」
なんて言ってるし。
「かおる、早く風呂入って寝ろ!」
不機嫌なのは父ばかり、か。

兎にも角にも、初デート。
楽しかったなぁ。まだドキドキしてる。明日もあっちゃんに会いたい。
程よい疲労感の中、眠りに就いた。

−終−


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<エピソード1 エピソード0<完結>>
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2010/8/15  21:10

投稿者:おるん

>紫さん
ありがとうございます。
こっちの設定の「あっちゃん」は私の幼馴染のイメージなので
補正が掛かってすんごい育ちが良くて優しい人になってます。
またいつでも読みにきてください。^^

2010/8/15  10:48

投稿者:紫

初デートのドキドキや初々しさがすごく伝わってきて、自分の遠い遠い(笑)過去を思い出しながら読ませていただきました。www

わたし、本家では会長の好き順位がすごく低いんですけど、かおるさん宅の会長は、本家のイメージよりも素直だし、気がきくし、優しい男のコなので、こんな男の子ならいいよな〜、と思いました。

ウチの会長は、会長本命の方にとっては、ちょっと申し訳ないくらいへタレで情けない男の子になってしまっているので(笑)、先に謝っておきます。www

またお邪魔させていただきます〜。

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