IF 10.卒業

2015/10/12  5:26 | 投稿者: おるん

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#この物語はフィクションであり、
登場する人物・施設・団体は実在のものとは何ら関係ありません。
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◆◇◆10.卒業◆◇◆

いよいよ卒業式。
今まではみんな一緒に横並びで同じことをしていたけれど、これからはそれぞれの目標に向かって別々の道を歩き出す。
幼馴染みのあっちゃんとはずっと同じ幼稚園、小学校、中学校に通っていたけど、高校からは別の学校になる。
そんなこと初めてのことだからちょっと不安。

胸に赤いバラのバッチをつけてもらって卒業式に臨む。
卒業証書を受け取り、仰げば尊しを歌った。
学校は好きでもなくて、むしろ嫌いだったから、悲しくもなんともない。
それでもやはり、ずっとあっちゃんと一緒だった子供時代が終わるのだと思うと感慨深いものがあった。

この学年から桜泉には私だけが進学する。
上町へも多分、進学する人はあっちゃんだけだったと思う。
過去のしがらみなんか何もない新しい世界。
真っ白なキャンバスにいろんなことを描きたい。
その中にあっちゃんも居てくれるといいな。
あっちゃんも男子校だもん、今まで通りうまくやれるよね?

卒業式のあと、教室で先生から通知表やらゴム印やら記念品を受け取る。
そのあとは恒例の写真撮影会を兼ねた談笑時間だ。

色んな先生のところを回って、写真を撮ったりお礼を言ったり。
あとは後輩たちがやって来て花束やら何やらを色々くれたり。
所々で告白タイムになってたりする。

学ランの第2ボタンを受け渡ししてるところを見かける。
(あっちゃん…。第2ボタン、誰かにあげたりしたのかな?)
急に胸騒ぎがして、あっちゃんを探す。

友達との写真撮影や雑談も程々に、廊下を走り出す。

あっちゃん、どこにいるんだろう?
2組の男子、どこにいるの?

息を切らして体育館の前に着いた。
あっちゃんが他の友達たちと写真を撮っていた。
まだ第2ボタンは無事だ。

あっちゃんが私に気づいて手招きした。
近付いていくとこう言った。

「圭子、写真撮って貰おう。」
「え?私、写真写りよくないし、恥ずかしい。」
「そう言うなよ、中学の制服で写真撮れるの今日が最後やぞ。」

そう言ってカメラを友達に渡すと、私の手を引いて自分の隣に立たせた。
あっちゃんの友達は何枚か写真を取った後、カメラをあっちゃんに渡すと「ごゆっくり」と去っていった。

「あっちゃん、あの…。」
「ん?」
「あのさ…、よかったら、私に…、私に第2ボタン、下さい。」
「ああ、貰ってくれたら嬉しい。その代わりにさ、校章、交換せえへん?」
「校章?」
「女子、第2ボタンないし。ネクタイとか名札もらうのも違う気がするし。校章交換ってちょうど良くない?」
「うん!」

左胸につけている名札から校章を外す。
あっちゃんは詰襟についている校章を外した。
交換してそれぞれ名札に校章を付ける。

「あとこれな。」

学ランの第2ボタンを外して私の手を取り、それを握らせた。

クリックすると元のサイズで表示します

「ありがとう、あっちゃん。嬉しい、大事にするからね。」

ちっとも涙なんか出てこないと思ってたのに、嬉しくって涙が止まらない。寂しくって涙が止まらない。

「あっちゃん!離れたくないよ!!」

あっちゃんの胸にしがみついた。

「圭子、別に二度と会えへんわけじゃないし、学校違っても、家向かいやんか。」
「そおやけど…。」
「また一緒に勉強したりすればいいし、心配すんな。」
「うん…。」
「ほら、お前の友達が探しに来たぞ。また後で電話するし。」
「うん。」
「じゃあな。」

あっちゃんが私をそっと引き剥がして、頭を撫でた。

なによ、もう。
一人だけ大人になったみたいにかっこつけてさ。
なんか悔しい。でも、そんなあっちゃんが大好きだ。
これは惚れたモン負けだよなぁ。


-続く-

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1.序章
9.受験
11.デート
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