トリック・オア?

2015/8/9  22:42 | 投稿者: おるん

---------------------------------------------
注)本文中にある名称は実在の物・人・団体とはなんら関係ありません。
 ウェブカレはリンクシンク社のSNSサービス名です。
 小説内の設定は必ずしもウェブカレ公式設定と同じではありません。
---------------------------------------------

◇◆◇トリック・オア?

毎年恒例のハロウィンイベント。
午後から講堂で仮装大会を行い、優秀賞を決める。
放課後は仮装のまま校内を散策してよいことになっており、
お菓子の交換なども盛んに行われている。

「すまないな、手伝わせて。」
「ううん、構わないって。」

仮装大会が終わったあとの後片付け。
いつも生徒会役員総出で後片付けを行っているのだが、一人仮装大会中に足を捻挫してしまい、人手が足りなくなってしまった。
見かねた君がこうして俺の手伝いをしてくれている。

講堂裏の体育用具倉庫に立て看板や横断幕をしまう。
そこに向かう途中でも生徒たちがあちこちで写真を撮ったり、お菓子の交換をしていて、トリック・オア・トリートという声が聞こえてくる。

扉が開いている倉庫に二人で入る。
扉の脇に立て看板を置いた。横断幕を彼女の手から受け取り、奥に向かう。
照明がないから昼間でも隅の方は暗くてよく見えない。

「薫くん、せっかくの衣装が汚れちゃうんじゃない?」

君が俺のマントの端を引っ張って、手で払いながら言った。

「たかだかハロウィンの仮装だから構わないさ。」
「そうだけど…、ドラキュラ伯爵、似合っててかっこいいのにもったいないよ…。」
「君こそ、せっかくのアリスのドレス、破かないように気を付けるんだな。」
「うん。」

畳んだ横断幕を抱えながら壁際の棚まで歩く。
薄暗いせいでほんの数メートル先まで行くにも苦労する。

「うーん、よく見えないな…。」
「薫くん、大丈夫?私がしまってこようか?」
「あ、ああ。」

横断幕を抱えた君が俺の横をすり抜けて壁際を目指す。

「きゃっ!」

小さな悲鳴と共にぽふっと何か柔らかいものが落ちる音がした。

「大丈夫か?」

声の方に進んだ直後、何かにつまづいて転んでしまった。
ボール入れやら跳び箱やら、物が沢山ある所で転んだので、体をあちこちぶつけて痛い。

「痛っ…。」

つまづいた何かの正体がわかった。
足元のマットの段差につまづいて転んだ君。

「すまない!大丈夫か?」
「いたた…。大丈夫。横断幕のお陰でそんなに痛くなかったけど、薫くんの膝が一番痛かった…。」
「ごめん。」

君の声と感触から想像するに、俺達は今、とんでもない体勢になっていると思う。

マットの上に君と横断幕と俺。
ボール入れと跳び箱の合間にいる。
立ち上がろうとしたところで倉庫の外から誰かの声がする。

「会長ー!あれ?居ないのか?どこ行ったんだろうな?」

ここにいるぞ!と言おうとしたが、その瞬間にガラガラと扉を閉められてしまった。

「待て!!」

叫んだが俺の声は扉を動かす音に掻き消され、外からガチャンと鍵を閉められてしまった。
薄暗い倉庫は真っ暗になった。

ただでさえ見えにくかったのに、漆黒で何も見えない。
狭い空間で動くに動けない。

まだ外が騒々しいから近くに誰か居るはずだ。
叫べば誰か来てくれるかもしれない。

「かおるくん…。」

君が俺の名前を囁いた。
するするっと君の腕が俺の首筋に絡み付く。
ふわっと香る君のシャンプーの甘い匂い。

ああ!

プツッと音がして理性の糸が切れた。
君を抱き締めて、首筋にキスをする。

「吸血鬼さん、噛みついちゃ嫌よ?」

耳元で囁く君のかすれた声が益々俺を興奮させる。

「もう遅い。」

君の首筋に吸い付き、印をつける。

「いや…、見えるところにつけないで…。」

ハイソックスを履くふくらはぎから太股へ手を滑らせる。
君の吐息がどんどん熱を帯びてくる。

キスしたまま体を起こしてエプロンのリボンを解く。
スカートの裾から手を差し入れ、腰から胸に向かって撫で上げる。
君の肌は滑らかで手に吸い付くようだ。
ブラの上からでも突起がわかる。

もう堪えられなくて、自分のベルトを外そうと手をかけたその時、ガラガラと扉が開いた。

「会長ー!ごめん!気付かずに閉めちゃったよ!」

倉庫の中に微かに光が差す。

「会長!ここに居るって聞いたんだけど…?」

足音がこちらに近づいてくる。
彼女の下敷きになってる横断幕を引っ張り上げ、彼女の体に被せた。

俺の背後に立った役員。
上気した俺の顔とその下に居る彼女を見て全てを悟った。

「あー…、邪魔して悪い。」
「いや!ち、違うんだ!!(違わないけど)」
「会長も男だったんだなー…。」

役員が俺に背を向け、倉庫を後にしようとするのを追いかける。

「ご、誤解だ!」
「黙っててやるって。」
「な、なんだ、その手は?」
「トリック・オア・トリート?」
「くっ!貴様、調子に乗りおって…!」
「倉庫の鍵、まだ俺が持ってるんだけど?今締めといて、後でまた開けに来てやるよ?」
「うっ…。」

それはちょっと魅力的だな…。
いやいやいや!!!

「バカ!違うと言っているだろう!お前なんかにやる菓子はない!
なんならお前のこれまでの悪行、全て残らず公表してやろうか!!」
「うっ…!ちぇっ、わかったよ。」

ほらよと倉庫の鍵を受け取る。

「後で生徒会室なー。倉庫の鍵、掛けといてくれよー。」

役員が立ち去ったところで、君が服装を整えて出てくる。

「…薫くんったら、もう!これ、目立つんじゃない??」

君がさすっている首筋を見る。
見事に赤いキスマーク。

「す、すまない。虫刺されとでも言っておいてくれ。」
「ホントだよ、吸血鬼さんに吸われちゃったからね。」

俺をじっと見る君。

「なんだ?」
「トリック・オア・トリート?」
「…君の分は生徒会室に用意してある。」
「私からのトリートはどうする?」
「……。」

トリック・オア・トリート?
トリック・オア・トリック!


-終-
0
タグ: ウェブカレ



コメントを書く

名前
メールアドレス
コメント本文(1000文字まで)
URL





AutoPage最新お知らせ