事実婚カップルの遺産相続、遺言書を忘れずに
熟年再婚したり、夫婦別姓を通したいなど、
最近は、さまざまな理由で婚姻届を出さない
「事実婚」のカップルも多い。
どちらかが先立った場合、
もめごとを避け、
残された人の生活が成り立つようにしておくには、
どうしたらよいのだろうか。
◇夫名義では分割できず
事実婚の夫婦は、相手が死んでも法定相続人になれない。
弁護士の榊原富士子さんによると、
一緒に事業を営んだり共働きで2人で財産を築いた場合は、
財産は共用物とみなされ死後の財産分割が認められる。
しかし、妻が専業主婦で財産がすべて夫名義という場合、
妻が財産分割を受けることはできないという。
「事実婚の相手に財産を残したい人は、遺言をしなければなりません」
と言う。
全財産を事実婚の相手に譲るという遺言を書いても、
親や子がいる場合は、「遺留分」がある。
遺留分は
相続人が親や祖父母だけの場合は3分の1、
それ以外の場合は2分の1で、
請求されれば渡さなければならない。
遺言以外に榊原さんが勧めるのは、
(1)2人の財産がどちらかの名義に偏らないようにしておく。
(2)1年間に110万円までの贈与は無税なので、
生前にそれが分かるような方法で贈与しておく。
(3)命にかかわるような病気になった場合は婚姻届を出す。
(4)生命保険を掛けて、受取人を事実婚の妻にしておく。
など。
◇確実なのは公正証書
一般的な遺言には
「自筆証書遺言」
「公正証書遺言」
の二つの種類がある。
自筆証書遺言は、
死亡後、本当にその人によって書かれたものかどうか?
を調べる「検認」という手続きが必要だ。
法定相続人が家庭裁判所に集まって
遺言を開けることになる。
・紙はどんなものでも構わないが、
ペンを使い、書いた日付をきちんと入れる。
・「吉日」などは無効になる。
・すべて自筆で書き、署名、押印する。
公正証書遺言は、
公証役場に行き、公証人の名前で作成してもらう。
・法定相続人以外の2人の証人が必要。
・費用はかかるが、法律家である公証人に内容を見てもらえる。
手数料は、残す財産の額と相続人の数によって違ってくる。
たとえば、事実婚の妻に5000万円の家屋、
子ども1人に1000万円の貯金を残したい場合は
5万7000円。
これに紙代が数千円かかる。
原本は公証役場が保管するので、
万が一謄本や正本を紛失しても安心だ。
「自筆証書遺言は、検認を巡って裁判になることもあります」
と言う。
トラブルが心配であれば、
遺言に従って財産を集め分配する
遺言執行者を指定しておく方法もある。
NPO法人「遺言相続サポートセンター」副理事長で
行政書士、社会保険労務士、ファイナンシャルプランナーの
本田桂子さんは、実効性の面から公正証書遺言を勧める。
理由として自筆の場合、
(1)紛失があり得る
(2)日付がないなど不備があると、法的に無効になる
(3)第三者が偽造したり隠したりすることもあり得る
などを挙げる。
「事実婚の相手へは遺言をしなければ一銭も渡らない。
事実婚の相手を遺言執行者にして、
公正証書の正本を渡しておけば安心です」
と本田さんは言う。
◇相続税は……?
事実婚の場合、法律婚より高くなる。
法律婚している妻だと、
1億6000万円または全遺産の2分の1まで無税だが、
事実婚の妻は<下>のような方法で計算される
基礎控除の分までが無税で、
それを超えると相続税がかかる。
税率も法定相続人の2割増し程度になる。
◆基礎控除計算方法(事実婚の場合)
5000万円+1000万×法定相続人の数
例:法定相続人が「1人」の場合は「6000万円」、
「2人」の場合は「7000万円」までは
基礎控除として無税。
この金額を超えると相続税がかかる。
いかがでしょうか?
なかなか、相続って難しいよね。

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