2011/4/10
ボランティアごころの深まり 自主研修
自主研修<2011年4月9日>
ボランティアごころの深まり――その心理を追って
講師:野口桂子さん
(教育ジャーナリスト、星槎大学准教授=社会学)
3月11日に起きた東日本大震災は、わが国に未曾有の不幸をもたらした。
阪神淡路大震災ほかいくつかの自然災害の経験を経て、わたしたちにはボランティアごころ、互いに支え合うスタイルのようなものが芽生え、強く育ってきていることを知った。年末のタイガーマスク現象も加わって、市民同士、できる人ができる限りのお手伝いをして支える、という気運がみなぎっている。災禍の悲惨さとは別に、人びとが「つながってきている」姿が見られ、感動させられる。
子どもたちは子どもたちなりにその小さな手で、大人たちは、国内外を問わず、列挙にいとまないほど多様な支援の手を差し伸ばしている。被災現地に駆けつけて活動している人のみならず、誰もがほとんど例外なく、自分にできることは何か、を自らに問うている。これほどの広がりをもって人びとのこころを支援の糸で結んだことは、戦後以来、かつてないかも知れない。

今回、人びとのこころをつなぎ、行動に導いている力は何か。どこに源泉があるのか。
被災者への深い共感があり、その困苦をいっしょに分かち合いたい、つながりたい、というこころの動きはどこから来ているのだろうか。
スイスの精神医学者であり、分析心理学の創始者であるユングによれば、それは、人間の表層意識の裏にある「無意識」の根底にあるもので、世界の人びととつながっていたいという心理による、と解する。
また、アメリカの心理学者アブラハム・マズローの「欲求段階説」によると、まず人間には、根源的な欲求として生理的欲求がある。主として衣食住にかかわる欲求。つぎには、安全の欲求、所属欲求または集団帰属欲求があり、他者との親和感を求める。さらにはまわりから承認されたいとする自我の欲求。そして最終的には自己実現の欲求に至るとする説。この自己実現の欲求こそが、自分をもっと高めたい、成長させたい、だれかのために何かをしたいという欲求に結びつく。すなわち、ボランティアの心理の源泉はここにある、と見る。
そして、行動経済学者のダン・アリエリーは、人びとの行動と経済との関係をめぐる膨大な実験を通じて、人はお金のためではなく、何かのため、だれかのために動くことを立証している。みなさんがお金のためにボランティアをしていないことと同様に、あの被災地に集まって寝る間もなくがんばっているボランティアの人たちも、お金もうけのためにやっているとは思えない。すがすがしい印象、ホンモノを見ている印象だ。
さあ、いま、わたしたちがなすべきは何か?
共生の社会をつくること。
助け合いの絆を強く結びあうこと。
さかしらにゴタクを並べて何もしないことの弁解に走るのは、もういい。みっともない。
政治家や企業を批判ばかりして実行力をもたない評論家も要らない。
そこからは社会を変えていく力は生まれない。あたらしい日本の姿も見えてこない。
それよりも、無私でつながる市民同士の支え合いのなかに
ゆたかな共生社会のすがたが見えてくるではないか。
(部分/記・菅野)
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ボランティアごころの深まり――その心理を追って
講師:野口桂子さん
(教育ジャーナリスト、星槎大学准教授=社会学)
3月11日に起きた東日本大震災は、わが国に未曾有の不幸をもたらした。
阪神淡路大震災ほかいくつかの自然災害の経験を経て、わたしたちにはボランティアごころ、互いに支え合うスタイルのようなものが芽生え、強く育ってきていることを知った。年末のタイガーマスク現象も加わって、市民同士、できる人ができる限りのお手伝いをして支える、という気運がみなぎっている。災禍の悲惨さとは別に、人びとが「つながってきている」姿が見られ、感動させられる。
子どもたちは子どもたちなりにその小さな手で、大人たちは、国内外を問わず、列挙にいとまないほど多様な支援の手を差し伸ばしている。被災現地に駆けつけて活動している人のみならず、誰もがほとんど例外なく、自分にできることは何か、を自らに問うている。これほどの広がりをもって人びとのこころを支援の糸で結んだことは、戦後以来、かつてないかも知れない。

今回、人びとのこころをつなぎ、行動に導いている力は何か。どこに源泉があるのか。
被災者への深い共感があり、その困苦をいっしょに分かち合いたい、つながりたい、というこころの動きはどこから来ているのだろうか。
スイスの精神医学者であり、分析心理学の創始者であるユングによれば、それは、人間の表層意識の裏にある「無意識」の根底にあるもので、世界の人びととつながっていたいという心理による、と解する。
また、アメリカの心理学者アブラハム・マズローの「欲求段階説」によると、まず人間には、根源的な欲求として生理的欲求がある。主として衣食住にかかわる欲求。つぎには、安全の欲求、所属欲求または集団帰属欲求があり、他者との親和感を求める。さらにはまわりから承認されたいとする自我の欲求。そして最終的には自己実現の欲求に至るとする説。この自己実現の欲求こそが、自分をもっと高めたい、成長させたい、だれかのために何かをしたいという欲求に結びつく。すなわち、ボランティアの心理の源泉はここにある、と見る。
そして、行動経済学者のダン・アリエリーは、人びとの行動と経済との関係をめぐる膨大な実験を通じて、人はお金のためではなく、何かのため、だれかのために動くことを立証している。みなさんがお金のためにボランティアをしていないことと同様に、あの被災地に集まって寝る間もなくがんばっているボランティアの人たちも、お金もうけのためにやっているとは思えない。すがすがしい印象、ホンモノを見ている印象だ。
さあ、いま、わたしたちがなすべきは何か?
共生の社会をつくること。
助け合いの絆を強く結びあうこと。
さかしらにゴタクを並べて何もしないことの弁解に走るのは、もういい。みっともない。
政治家や企業を批判ばかりして実行力をもたない評論家も要らない。
そこからは社会を変えていく力は生まれない。あたらしい日本の姿も見えてこない。
それよりも、無私でつながる市民同士の支え合いのなかに
ゆたかな共生社会のすがたが見えてくるではないか。
(部分/記・菅野)
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2011/4/10 18:26
投稿者:野口桂子(とろりん)




キツネノカミソリ Bun meets man
今、菅野さんの記事を拝見して、自分の話をこんなにも 分かりやすくまとめてくださったことに驚きと感激をもちました。
チャリティーコンサート、頑張ります。そこで、皆様に また お目にかかるのを ほんとうに楽しみにしています。野口桂子(とろりん)