このタイトルで やっぱり書いておく方がいいなと思うことが
「鬱」 についてだろう。
今だから書けることだと思う。
2008年の後半から 手術に向けて婦人科で治療を受け、体を
閉経したオバサンと同じ状態にした。
医者が注射を打ちながら さりげなく
「これ続けて 鬱になる人いるんで 変だなと思ったら言ってくださいね〜」
と言った。
ひと月もしないうちに 「ああ、変だな」 と自覚した出来事が
睡眠障害だった。
もともと寝つきが悪いのに 朝になっても眠れなくなり
市販の睡眠導入剤を飲んだが
ウトウトするが 結局2時間もすれば 目が開いてしまう。
眠い、もちろん眠い、寝たい。しかし 眠れない。
カチカチという時計の音と 暗闇のなかで
自分ひとりだけが眠れずにいると
「いつになったら眠れるのか」「このまままた朝が来るのか」
と 焦るばかりで
そうして 明るくなってくると
「今日も眠れなかった」 という絶望的な気持ちになるんである。
「3日も寝なかったら 自然に眠くなるよ」
などと 笑顔でアドバイスしてくれる人など 本当に余計なお世話である。
あの苦しみを知っていたら そんなことは言えない。
ひと月ももがいた後 仕事にならぬので 病院で睡眠薬をもらった。
それは だんだん強くなり 脳がシャットダウンするかのように眠り、
眠りも持続する作用の御蔭で 機械的な眠りを得ることが出来た。
気がつくと 音楽を聴くのが嫌になり、メールの返事が億劫になり
電話に出るのも嫌になった。
時間があれば 床に転がっているか 布団の上に転がっているかで
眩しいのも嫌だった。
忙しいのが得意だったはずなのに
目を開けたまま いつまでも転がっている事が出来た。
これが鬱かと言われれば 精神科に行ったわけではないので
「鬱っぽい」体験だったと言う方がいいかもしれない。
高島忠雄さんが 鬱になった時 息子の 政宏さんが
「家に帰ったら ソファの上で 老人が横になっていた」
と、忠雄さんの様子を語っていたことがあったが
よくわかると思った。
人に合うのも嫌になってきて 集中力が続かず、気持ちが落ちるので
札幌の更年期治療を得意とする先生に相談したら 気持ちを上げる薬が出た。
飲むと確かに きゃっきゃと人と話せるまでになるが
午後からは どーんと落ちて、疲れてしまう。
客商売なので飲まずにはいられなかったが
これは 止めるのにもとても苦労した。
吐き気、のぼせ、動機 息切れ めまい
中でも えも言われぬ不安感に突然襲われるのが怖かった。
何が不安なのか自分でもわからぬが とにかく不安で気分が悪くなる。
「ああ、これが 更年期障害なのか、これが 更年期障害からくる鬱なのか」
と思った。
口が渇いて いつも水を持って歩くようになり、唾液が出ない。口臭も気になる。
どこにでも忘れ物をしてくるようになった。
傘、お土産、大事にしていた皮手袋もどこかに置いて忘れた。
鞄を二つ持って歩くと ひとつどこかに忘れてくるので 大きな鞄一つに
なんでも詰めた。注意力が無くなって視野が狭くなっていたんだと思う。
2009年の1月頃はもうやる気も出ない。(店も休んでいた)
どこにも行きたくない。家から出たくない。このままじゃ駄目だと
散歩に行って突然悲しくなって泣いて帰ってきたこともある。
椅子に座って 気がつくと4時間が過ぎていて ビックリした、などなど
もうこうなると お婆ちゃんの気持ちも理解できる気がした。
のち、
車も すごい音がして ぶつけたことに気が付いた。
2回目 ぶつけた時には もう車を運転することも危険だと思った。
年寄りになって ぼんやりしたり 忘れ物をしたり
車の運転が危なくなったりするのは
老いるからなるのだと思っていたけれど
ホルモンの変化で同じようになってしまうことを知った。
私は 常日頃から
「働かざるもの 喰うべからず」 と言っていたので
いざ 自分が体と心が ぱらんぱらん になってうまく仕事が出来なくなって
動けなくなった時 すごく困った。
どうしていいか わからなかった。
できれば そんな姿は家族にも見せたくなかった。
そんなこともあって
あんまり 深く考えずに カナダにやってきてしまったような気がする。
いや、今思うと
考えられなかったんだろう。
今現在は 体も元に戻って 一向に増えなかった体重も かなりの勢いで増量中。
健康の証。
思考力も回復して 今思うことは
病気なんぞしなかったら 私は店を続けていたんではないか、
ということだ。
ただ 眠ることに関しては 睡眠をサポートするサプリメントのようなものを
欠かさず飲んでいる。
眠れない時の苦しみは本当に辛くて あの気持ちになりたくないと強く思う。
なんとなくちょっと、
ちょっとだけだが 自殺する人の気持ちもわかる気がする。
さて
長々と書いたが これは 女性であれば 40歳も中を過ぎると
誰にでもなりうる可能性のある話だと言うこと知っていただきたい。
もちろん 更年期障害には個人差があって
何でもない人もいるし 更年期障害の鬱から自殺にまで及ぶ話もある。
特に 殿方には この女性特有の悩みは理解できないらしい。
しかし お宅の奥さんも、母さんも 皆 苦しむかも知れないんである。
私の場合 調子が悪くなってから 手術して体力もなくなった一番
辛い時をカナダで過ごしているが
その時 頼りにならぬ男 と思っていた連れが
「居てくれればいいから。ただそこに座っていてくれるだけでいいんだ」
と言ってくれた。
心身共に弱っていたときだったので
これには 素直にありがたいと思った。
(だからと言って ただ座っていただけの日は1日もなかったが)
決して
「働きもしないで 三食昼寝つきのぐうたら」
などと 言ってはいけない。
そして 女性の方には 調子が悪いと思ったら 我慢しないで
病院で相談をしたらよいと思う。
最近は 漢方を処方してくれるところも多い。
個人的には 病院は1つに絞らない方がいいと思っている。
医者によって 表現も違うし 説明も違う 薬の処方も違う。
長くなるので 病院に関しては また次回にしたいと思う。
人間の体と言うのは なんと上手に出来ていることか。
こうなると 健康で維持できていることのほうが驚きだ。
できれば こういう状況になった時 自分はどうすべきか
家族は何を言うべきか というマニュアルがあったら便利だと思うが
人それぞれ症状もちがうので 難しい問題だと思う。
私はこれから 更年期本番に入って行くのだろうが
ここ数年の経験から言うと
規則正しい生活と 持ち物の場所をはっきり決めて癖付けするようにしたいと
思っている。
プレ更年期体験をして
あちこち忘れ物をして歩くようになったのには 本当に参ったので
「出かけるときの持ち物」 とか
「この鞄のこのポケットにこれを入れる」
とか、意識的に癖にしておきたいと思う。
年をとってくると 環境の変化もストレスになる。
ストレス軽減のためにも
規則正しい生活は大事なことだと思う。
若い時はこの 規則正しい 毎日同じことの繰り返しが退屈に思えて
夜更かししたりしたが
最近は 規則正しく暮らせることを ありがたいとさえ思えるようになった。
私も年をとったもんだ。
いや、
なかなか深みが出て味わい深い。

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