あの方は大学の先生のようで
私たちは、大きな古い家に招かれた、
あるいは招かれざる客だった。
一階と二階が宴会場のようになっていて
お客は女性ばかり。
テーブルには料理が並べられているけれど
いただいて良いのかどうかはっきりしない。
先生は器が立派なことだけが自慢らしい。
確かに立派な器には茶色い煮物が乗っていて
それは食欲をそそるというわけでもなかった。
それでも、お箸を持った女たちは
先生のことを忘れてキャーキャーお喋りに夢中だ。
先生が、だんだん不愉快顔になってゆくのが分かる。
気が小さい私は「おいしいですね」
なんて先生に言っては、早く片付けなければ、と
器を洗ったりして、それがまたいけないことのようにも思えて
先生の顔色ばかり伺っている。
お料理は意外にも、本当においしかった。
そこに先生の息子らしい二十代位の二人がちらっと顔をだすが
先生は息子たちに「引っ込んでいろ!」と冷たく言う。
息子の一人が「電気が壊れているから直さないといけません」
と言うと
先生は息子にそれを直させて、またすぐ息子を追い払う。
ムードの悪い家だった。
その後、少し息子と話が出来たが
息子は父よりずっと大人で
父は自分が居ないと何もできない人だから
と、父をいたわりつつ
社会的地位の低い自分を軽蔑する父をどこか憎んでもいるようだった。
帰り際、先生がそっと
「あの料理は息子が作ったんだ。誰にも言うなよ」
と、ずるそうな顔で耳打ちした。
なんか私も先生が憎らしく
そして先生も息子も
カワイソウで・・。
なんか、さびしい夢だったなあ。
鯉はどんどん太り、終に鴨はここから帰ろうとはしなかった。
