「10/15 汗だくのサラリーマンが教えてくれたこと」
DIARY
いつもより少し早めの、7時前半の電車に乗り込む。
通勤ラッシュが始まるより少し早めなので、車内は楽かなと思っていたが、とんでもない。
スーツ姿のサラリーマンの間ですし詰め状態になりながら都心へと向かう。
いつもと違うのは、俺自身も、スーツ姿のサラリーマンの一員になっている、という事だ。
今、働いている職場は基本的に私服が許されている。
なので、『友人の結婚式』などの特殊な場合を除き、スーツを着る事などない。
今日は仕事の関係で、静岡まで行く。
新宿からはバスのため、今日一日はほとんど移動で終わりそうだ。
そう考えると、出発前からげんなりしてしまいそうなので、余計な事を考えるのはよそう。
都内を出るのは久しぶりなので、仕事と分かっていても少しワクワクしてしまう。
静岡へ行くのも初めての経験だ。
どんな景色が見られるだろうか?
それにしても、スーツは暑い。
暑いのが苦手な自分にとっては厄介な服である。
車内を見ると、近くでダラダラと汗をかいているサラリーマン達。
秋になって、気温もグッと下がったのに、何故そこまで汗をかくのかいつも疑問に思っていたが、満員電車の中、しきりに汗を拭いているサラリーマンの気持ちが分かった。
こんな昔話をすると年寄り臭いが、音楽をする為に上京してきた当初、
『サラリーマンにだけはなりたくない』
と思っていた。
サラリーマンは、平凡で“普通”だ。
毎日同じ事を繰り返し、妻からは給料が少ないと罵られ、朝からギャアギャア騒ぐ子供に睡眠を妨害される。
そんなつまらない人生なんて御免だ、と思っていた。
だがしかし、実際に自分がスーツ姿でその『サラリーマン』に紛れ込むと、見えてくるものがある。
満員電車の中、汗を流しながらうつらうつらしている人達は、俺が若い頃に忌み嫌っていた“平凡”を守る為に必死になっている。
そして、平凡でないと手に入れられないささやかな幸せの為に、暑苦しいスーツで武装して、毎日戦場へと出向いているのだ。
で。
俺はやっぱりスーツが嫌い。
出来れば二度と着たくない。
だけど。
今日、スーツを着て良かった。
今日、スーツを着て満員電車に乗って良かった。
サラリーマンを馬鹿にしていた自分が馬鹿だったと気づけたから。
これもまた良い経験。


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