夕方からの大移動だったにもかかわらず、みなが元気そうなのでホッとした。参加者22名の中には70歳代や80歳代の方もいたから、気になるのは健康面。だが心配は無用だったようだ。
勢山社舞子工房+納入社寺見学会を心待ちにしていた様子の参加者は、バスの中でもとても楽しそう。羨ましいくらいに話が弾んでいる。この日初めて顔を合わせた人もいるというのに、まるで旧知の友のようだ。
前日の夕方に藤沢を出発。高速道路をひた走り夜中に宿に到着し、見学会は翌日早朝からはじまった。
比良山を背にした舞子工房周辺は色濃い緑に覆われ快晴で無風。素晴らしい日和だ。
8時すぎ、工房内は見学者のための準備が整っていた。
「せっかく来てくれるのだから、色々見てもらいできるだけの説明をしたい」という勢山さんの姿勢にはいつも感心する。どんなに忙しくても手を抜くことがないのだなと、時々手伝いに加わりながら思う。
製作途中や修理中の像を見ながら説明を聞き、荒彫りや截金作業に勤しむお弟子さんたちの様子を見学していたら、あっという間に2時間が経ってしまった。
勢山さんたちも同乗し、バスは兵庫県三田市へ向かう。
「まるで勢山社の展示室のようですよ」とご住職様が冗談めかして言われるほど、永澤寺(ようたくじ)には勢山社の彫像仏が多い。
中でも、永澤寺様式と名付けられた仁王門の四体の仁王さんは、ご住職様が病床で感得され実現したとのこと。一般的な怖い形相の仁王さんの後ろのお部屋には、心の内を表したという優しいお姿の内心仏が見られた。
また本堂には、永澤寺を開山した通幻禅師のお祖母様を表した地蔵菩薩像が。観音堂にはお母様を表した大観音像が奉安されている。
誕生後すぐに母を失い、7歳の時に育ての親である祖母までも亡くしたという、通幻さんの心情を思い造顕を思い立ったとのこと。いずれの像も極彩色と截金が施され、そのお姿には荘厳さが漂っていた。
その他にもそれぞれの場所で、僧形文殊さんやおさすり布袋、毘沙門さんなどが大活躍の様子だ。
摂津と丹波の境、標高550mに位置する永澤寺は、花の寺というだけあり境内は緑と花々で彩られ、八重桜がまだ咲いていたのには驚かされた。
ボタン園や菖蒲園などが隣接しているから、憩いの場所にもなっているのだろう。五月晴れのもと、多くの人で賑わっていた。
本堂でご住職様自らのご挨拶を受け、お茶の接待までしていただき、その後もご案内いただくなど、もったいないほどのおもてなしに皆感激の様子だった。