「バイバイ」
「また明日ね!」
柚希は、いつも病室から下校する中高年を見ている。
柚希は、癌。
少し前から、この病院に入院している。
「…バカ」
柚希は、外に向かって囁いた。
「誰がバカだって?」
後ろから、声がした。柚希は、振り返った。
そこには、親友の舞湖が居た。
「舞っ!!」
柚希は、舞湖の事を舞と呼んでいる。
「せっかく、お見舞いに来たのに。」
舞湖は、少しすねた顔をした。
「違うっ!舞じゃないよっ!!」
「知ってるよ」
舞湖は、意地悪そうな顔をした。
「ひっどーい」
舞湖は、舌を出して、べぇーとした。
でも、舞湖がやると可愛い。
舞湖は、スタイルも顔も大人っぽいから
すごく素敵に見える。
「今日ね、亮平先輩とデートださ♪」
舞湖は、嬉しそうに言う。
「へー。凄いじゃん・・・」
舞湖もまた、亮平の事が好きだった。
(良いな・・・)
だが、柚希は亮平の事が好きだなんて、
親友の舞湖だからこそ言えなかった。
「って言っても、部活の物買いに行くだけだけど・・・」
ハハハと笑う舞湖。
でも、幸せそうだった。
「柚希も、早く部活に出でよね」
「うん・・・」
柚希たちの、部活はテニス部。
柚希は、激しい運動はあまり出来ないため
マネージャーとして、部活に出で居た。
今は、全く出でいない。
勿論、入院していたせいだった。
コンコン。
ドアを叩く落音がした。
「中野ー。入るぞ」
その声は、亮平だった。
亮平は、スタスタ病室に入ってきた。
「川上も居たのか。」
「はい。親友ですから♪」
舞湖は、笑顔で言う。
「よっ。久しぶりだな」
「・・・はい」
亮平は、笑顔で言った。
(笑顔・・・かっこいいなぁ・・・)
「これ」
そう言って差し出したのは、
綺麗な花だった。
「あっ、ありがとう御座いますっ!!」
嬉しかった。嬉しすぎて、心臓が止まりそうになった。
「じゃあな。俺たちこれから買うものあるから」
「あっ、じゃメールする!」
そう言って、二人は出で行った。
・・・・・外から、二人の話声がする。
胸が痛かった。
(もしかしたら・・・二人は・・・)
ガラガラガラガラっ!!!!!
凄い音がした。
一気に、病院内はパニックになった。
事故が起きて、そしてけが人が此処の病院に来たらしい。
その時、薬が今頃効いて眠くなった。
気がついたら、柚希の隣にカーテンがあった。
(隣に誰か居るの・・・??)
その時、運がよく看護婦さんが来た。
「あのっ。隣・・・」
「あ。柚希ちゃんに紹介してなかったわね。
内川 尚奇くん。柚希ちゃんと同い年よ」
(げっ。男!!)
看護婦さんは、カーテンを開けた。
そこには、点滴をしている男の子が居た。
顔は、子供っぽく可愛らしかった。
同い年には、見えない。
その子は、頭を下げた。
柚希も急いで頭を下げた。
「じゃあね。」
看護婦さんは、行ってしまった。
(何の用事あったんだ。あの人・・・)
「なーんだ。女かよ」
看護婦さんが居なくなったとたん・・・
顔に似合わない言葉で喋りだした。
「えっと・・・よろしくね。わかんない事あったら
聞いてね・・・」
「・・・ふ。
女ってみんなそーだよな。
いい子ぶってさ。」
ぶちっ。
「何その言い方っ!!心配してやってんのによ!!」
思わず、その子の頬をぶった。
(何やってんの!!)
「・・・お前面白いやつだな」
初めて笑った。
この出会いが、柚希の運命を
変えるだなんて、まだ誰も思わなかったー