福島原発・警戒区域で見つけた猫たち(ノンフィクション)
私のブログにコメントを頂いているある方が、
福島原発の20キロ警戒区域内で出会った「ハク」という猫のことを書かれていた。
短い文章であったが、その話に感動し、少し膨らませて
ノンフィクションを書いてみた。下手な小説であるが、意を汲み取っていただき、
現地に生きている(はずの)動物たちに思いを馳せていただきたい。
写真はイメージです。猫写真の画像集からお借りしました。
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夕陽を浴びてトボトボ歩く白猫を見た
その白猫は、元白猫と言った方がよいほど薄汚れていたが、西に傾きはじめた太陽の光を背中に浴びて、人気のない農道をトボトボと歩いていた。

ここは福島原発から約20`離れた所にある人口3千人ほどのA町。あの忌まわしい原発事故からひと月が経っていた。
4月になって、警戒区域に取り残された家畜やペットの犬・猫が、食べ物もなくなり、どんどん飢え死にしているという情報が、ネットを通じて全国に伝わり、動物愛護団体も動物保護のために動き始めていた。
私は、愛護団体には属していないが、大の猫好きで、家でもキジ猫の兄妹と暮らしている。それゆえ、半年前の秋、旅の途中にA町で出会ったノラ達のことがずっと気がかりだった。

あの“ノラたち”のことが気がかりで警戒区域に・・
「あの時、魚の干物を与えた元気なノラ達はどうしているだろう?」と考えだすと、矢も楯もたまらなくなり、妻と二人で東京から車を飛ばしてやってきたのである。
「たとえ一匹でも二匹でも保護して帰れたらいいね」と車の中で話していた。
犬には申し訳ないが、ドッグフードだけは購入し、車に積んできていた。A町には、人気はないが、思ったほど荒れた様子もない。それでも、所々に死んでいる動物(牛や犬だろうか)を目にする。
私たちは、犬や猫が比較的多いと思われる場所に車を停めて、餌を与えることにした。

犬は近くにやって来るので餌を与えたが、猫はというと、置かれた餌は食べるが、私たちが近付くと脅えたように逃げていくばかりで、これでは保護のしようもない。
“ハク”との感動的な出会い
仕方なく車を運転して、とある集落の農道を走っていた時、あの白猫を見つけたのである。後ろ姿のいかにも寂しげな様子を今でも忘れられない。

車を停めて、妻が「ニャンちゃん」と呼びかけると、猫はこちらをふり返り、一目散に駆けてきたのである。まともに食事もしてないのか身体は痩せ細っている。キャットフードを無心に食べる様を見ていると、目頭が熱くなった。
だが、「ハク」(その時からこう名前が付いた)は、少し食べると、残りがまだまだあるのに、我々の方を見て、一声「にゃー」と鳴くではないか。
「そうか、仲間がいるんだ」と気づき、猫の後を付いていくと、農家の軒先に6匹の猫が力なくたむろしているではないか。子猫もいる。みんな泥に汚れ、やせ細っている。

早速、用意してきたキャットフードを与えた。彼らは、お腹が空いているはずなのに、取り合いもせず、整然と食べている。「ハク」が仲間の命をつないでくれたのである。
みんな連れて帰りたいのは山々だけれど、事情が許さない。2匹いた子猫を「ハク」と一緒に連れ帰ることにして、ケージに入れた。
残してきた猫たちは生き延びてくれただろうか?
残った猫にはあるだけのキャットフードを置いてきたが、その後、彼らはどうなったのだろうか?あれから半年近くが過ぎた今でも心が痛むのである。

家を離れ、慣れない土地で生活されている住民の方々も大変だとは思うが、心ならずも置き去りにされた動物達は、寄る辺もなく、食べ物も尽きて、もっと可哀相である。
大震災から半年が過ぎた今、我が家では、私と妻以外、5匹の猫という大家族になったが、子猫もすくすく成長し、みんな仲良く暮らしてる。

この原発事故が一日も早く終息し、住民の方々が家に帰って、動物たちも命をつなぐことが出来るよう、心から願っている。もう原発はたくさんである。

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