2012/12/1

A兄さん物語の断片・1  お人形系妄想創作

・本筋である津軽計画のスピンオフ的な、もしくはたまに仲間キャラにスポットあたる章的な感じ
・小説というより会話文
・口調とか関係は固まってないです変更ありかも
・書けるとこから書いてます
・区切りついてからまとめなおしてどっかにあげる、かも
・兄さんが意地を張っていますが手放す気はないのでご安心を

…注意書き多いッ





早く、今ならまだ間に合う
俺の体で二人で生きよう
なんならお前にくれてやってもいい
俺はお前を――

兄さんは優しいね
でも…

――僕は嫌だ





よ。
あたしのこと、覚えててくれたの。
昨日は聞くのやめといたんだけどさ、君、意外と子供好きだったりしない?
正直君のサイズは想定外だけど…ここで会ったのも何かの縁。
――女所帯でよければ、一緒に来るかい?



「というわけで、連れて来ちゃいました♪」
「…おっきい…」
「大きいねー」
その家にいたのは4人の少女だった。
彼の出身地だとMSDや幼SDと呼ばれるサイズの、小柄な女の子達。
急にやってきた大きな男性を遠くからこわごわ眺めてなにやら囁きあっている。
「さて、あたしはこれからちと予定が詰まっているので…ここは人形同士でゆっくり親睦を深めてくれたまえー!」
「え、ちょっ…待…!」
「行ってらっしゃーい♪」
出かけていく自分達のオーナーに嬉しそうに手を振ってから、少女達は改めて興味しんしんといった目つきで揃って彼を見つめた。
さっきまで眠っていた末娘まで、半目を開けてじっと見ている。



「うふふ、うちは男の子が初めてなので、ごめんなさいね」
「いやいいんだ、甘いものは嫌いではない…多分」
「多分?」
「それより、夏ってなんのことだ?なにか探しているようだが、もしかして俺は何か邪魔をしたか」

――まさかこのおっきいお兄さんが「夏」じゃないよねー。
――ちがうと…おもう… お姉ちゃん、さがしものは…さがしもので…ちゃんとするって、言ってた……



「ふむ……津軽の四季を受け持ち、オーナーと共に…か。」
「ええ。わたくしたちのオーナー…はにわさんが辿り着いた津軽の地、その上に一枚ベールをかけたような世界で、わたくしたちは思考し、会話し、戦い、彼女と共に生きるために集まったのです」
「4人いるだろう。揃っているんじゃないのか?」
「小さなスイ、あの子は津軽計画の一員ではないのですわ。勿論、思考や会話はしますし、必要があれば戦いの補助もしますけれど、幼い子にはモチーフや役割に縛られずに、気楽に生きてほしいというのがオーナーの望みで」
「幼い子ねえ。俺から見ればみんなほんの子供のように見えるが…おっと、気を悪くしないでくれ。どうしてもこう、サイズの差が」
「お気になさらずに…確かにわたくしは今のところ長女を務めさせて頂いておりますが、おそらくは貴方の方がいくらか年上でしょうし」
「長女を『務める』ね…ま、確かに俺達はそういうものだ。血縁も出身地も生まれ順も関係なく、<所有者>(オーナー)の想いひとつで俺達はきょうだいになる…あいつと俺が兄弟だと決めたのは、誰だったか」
「ご兄弟がいらっしゃるのですか?」
「……」
「あ、すみません…」
急に目を伏せて黙り込んだ彼に、和桜はまずいことを聞いたと慌てて謝ったが、彼は顔を上げて手を振った。
「いや、いい。そうだな、君達の話を聞いたのだから、俺からも話そう。俺にもやるべきことがある。子供達は怖がるだろうが、君なら」
そう言って、彼は一旦箱に戻って、大きな包みを抱えてきた。
「…弟だ。正確には弟だった存在…」



「弟さんを甦らせることができるカスタマーを探しているのですね?」
「いや、少し違う…俺が探しているのは、弟を生まれ変わらせることができるカスタマーであり、…新たなオーナーになってくれる人間だ」
和桜は少し考えたあと、驚いて問いかけた。
「それでは…」
「転生すればおそらく、元の記憶は残っていまい。別の人生を、歩むつもりだ」



「俺はまだ旅の途中だ、約束はできない」
「あの子達が悲しみます…オーナーだって、普段は慎重に悩む方なのに、貴方の為に大急ぎで」
「勿論、君達のオーナーには感謝している。所有者が途切れると俺達は過去の記憶を失ってゆく」
「ええ、わたくしも林檎も、以前にいた家を覚えてはいません…」
「所有者のことも、弟以外の家族のことも、俺や弟がなんと呼ばれていたのかも忘れてしまった…あのままあそこにいれば、俺は果たすべきこと…あいつの最期の言葉さえも忘れて…」

――僕は、ね、次に生まれてくるときは、女の子に…なりたいな……

「そして、傍らの存在を見つけ」

――また同じ過ちを

「…とにかく…転生を見届けるまで、俺の旅は終われない。その先のことは今は考えられないんだ、すまない」



「ごめんなさい、お話聞いちゃったの…あのね、お兄ちゃんは前のおうちのことも、自分のお名前も忘れてしまったの?」
「ああ。君の姉さんや妹だってそうなのだろう」
「でも……でも、さゆは怖いわ。お姉ちゃんと暮らした日々も、お姉ちゃんがくれた名前も、忘れてしまうって考えたら」
「…君のオーナーは君を手放したりはしないだろう、<津軽の冬>。君から始まった津軽計画をあんなに真剣に追い続けている人なら」
「知っているの?」
「君の姉さんに聞いた」



――あのね…ひとつだけ心当たりがあるの。吹雪ちゃん達のお姉ちゃんなら、その子を女の子にできるかもしれない



「ろーらんごっこしよう!あたしがオルタンス、林檎がヴィオレットで、お兄ちゃんがイヴェールね」
♪うーまれてー くるーあーさとー
♪しんでーゆーくよるのろーまん ろーらん

「え…え?」
「……もう!イヴェールのパートよ」
「ちゃんと…うたって…」



「知らないから…教えてって…言うの…りんごは…教わらなくても…歌えたのに…」
彼女達なら、例えば彼女達と出会う前にオーナーが覚えた歌を、いちいち聞かせて教える必要はない。
完全に記憶を共有しているわけではないが、知識や情報はある程度伝播する。
オーナーが歌える歌は紗雪も歌え、紗雪が歌える歌は林檎や和桜、睡花も歌える。
「ん、まだ彼自身が完全にここの一員になると認めていないから、自動インストールはできないんだね」
「…おにーちゃんに…なってくれないのかな…」
「でも、教えてくれって言ったんでしょ?なら、みんなで教えてあげればいいさ。まだしばらくはここにいるつもりではあるそうだから、その間にいっぱい仲良くなったら、お仕事が終わったとき本当のお兄ちゃんになってくれるよ、きっとね。」
「わかった…」

<続く?>

まだ目つきが険しかった頃の兄さん

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