私が訪問介護2級の資格をとり、今の会社で男子第1号の常勤ヘルパー
(正確には同僚と2人)になってまもなく介護の本格的な仕事が入ってきました。
他の事業所が援助困難と投げてしまったようです。
男性70代、駅で転倒して片麻痺となり寝たきり状態が10年位
一軒家で娘さんとお孫さんが介護していると言う。
早速ケアマネ、コーディネータ、年下の同期の男性と訪問
家を一歩入ると異様な臭い。ぷーんと便、尿の臭いです。
家族からここですと案内された部屋。雑然とした物置みたいなところに
海老のように丸まった、小さな老人が布団もかけず横になっていました。
真冬にストーブも無く、電気カーペットだけでね。
本当に70代・・・80代の間違えじゃないと思うほどふけて見えました。
寝ている電気カーペットは尿でぐしゃぐしゃ・・・私の靴下尿でびっしょりに!
娘さん仕事で怪我をしたらしい。・・・手に包帯巻いている
「どのようにしますか」「手が治るまで朝晩おむつ交換お願いします」
「この人話せませんよ」・・・父のことですよ!
「判りました」・・・結果、朝8:00、夜17:50の毎日各30分の援助に!
男性2名、女性1名でペアになり援助開始。
実践での初めてのおむつ交換です。・・・この仕事が将来の介護技術力の基礎になる。
普通のおむつ交換とはかなり条件がかなり違う
1.身体が海老のようになり拘縮している・・・身体はまっすぐにならない
2.左麻痺で腕も足もびくとも動かない・・・無理に動かすを痛い表情
3.麻痺がない右足も何故か拘縮している・・・両膝をしっかりつけて離さない
4.おむつ交換始まると便をしたり、尿をしたりする・・・そのたびやり直し
5.左右の腰に大きな褥瘡、踵にも褥瘡らしきものあり・・・これも同時に処置
6.ベッド上の介護でないので介護者の腰に負担がかかる
7.まだ書いてはいけない悪条件が色々ありました
ペアになった3人で定期的に情報交換の中から最適な介護を探しました。
1.お互いにおむつをどの位置につけたら翌日尿漏れがあったか、少なかったか
2.どちらからおむつ交換したときが一番上手くできたか
3.ズボンやシャツの着替えの状態・・・首から、腕から等
4.陰部清拭の状態・・・いつの時点か等
5.その他気がついたことを連絡ノートで情報交換です。
尿漏れは約1週間後には治りました。おむつ交換が慣れたからです。
それまで尿でぬれた電機カーペットに無造作に寝かせていましたが、
帰りに座椅子に座ることを娘さんに提案、毎回起こして帰りました。
着替えも此方から娘さんに声掛けし、週に2回以上は着替え。
約2週間後には部屋を漂う便や尿の臭いは殆どなくなりました。
そのうち「ウー」「んー」しか声を発しなかった○○さん、
私が帰る頃、鼻歌が聞こえてきました。
「あれ、お父さん 歌うのですね」・・・すこし慣れてきたみたい!
毎日おむつ交換するとき、少しづつ足の拘縮をほぐして行きました。
返事はしませんが援助中は声掛けします。
「○○さん、右を向いてください」・・・向く努力します。
「お湯をかけますよ、熱い時は言って下さいね」・・・熱いときは股を狭めます。
・・・一回だけ間違って水のまま陰部にかけました・・・(恥かしい)
・・・途端に「シャッコイ」・・・此方がびっくり、初めての言葉です。
・・・本当は片言なら話せるんだ・・・ここから本格的にリハビリ的介護に
「○○さん、足を出してください」・・・出すまで待つ・・・出せる処迄はだします
「○○さん、右手は自分でシャツの腕とうしてください」・・・自分で出来ました
介護者3名が連携し、自立支援に徹して行きました。
1年後には随分股も開き、拘縮していない足は自分で畳みを蹴る事ができました。
ただ、朝夕2回の援助です、褥瘡は治ったり戻ったりの悪銭苦闘の連続でした。
30分の介護時間内での援助大変でした。
ビニール、新聞紙、タオル、トイレットペーパー、洗面器、
陰部洗浄用お湯をバケツと洗剤用ボトルに用意、紙オムツ、パット、
褥瘡用薬、ガーゼ、テープ、下着、上着、など手早く用意。
1.古いオムツ内の確認、便があればまずこの処理・・・パットだけはずし便を処理
2.陰部洗浄し暖かいタオルと乾いたタオルで仕上げ
3.新たしいオムツとパットに交換
4.褥瘡の処理・・・清潔にして、薬つけて、ガーゼをテープで止める
5.下着、上着の交換と同時に簡単な清拭・・・左腕の拘縮もほぐしてゆく
6.座椅子に移乗・・・右足を蹴って出来るだけ自分でも移乗の努力していただく
7.使用した用品の洗いと片付け・・・次の人が使いやすいように
8.その日の状況をノートに記載
この作業、最初は40分〜50分かかることがありました。
約2ヶ月後には30分以内に収まるようになりました。
・・・これが大きな自信と評判になり、一躍、介護は華之将さんに・・・!
その頃には援助が終わると○○さんは口はききませんが、
少し潤んだような目で私を見るような気がしました。微笑むような日もあり
・・・本当にこの仕事選んで良かったという瞬間でしたね。
その後約1年以上介助を担当しましたが、コーディネータとして転勤です。
約2年後位でしたか、同僚から死亡したと聞きました。
・・・合 掌・・・