わが国での避妊はコンドームが主です。コンドームも品質改善がされていますが、他の避妊法のピルや避妊リングも進化しています。最近の避妊リングをご紹介します
避妊法
避妊法には、主にコンドーム、ピル(経口避妊薬)、避妊リング、膣外射精、殺精子剤、基礎体温法、オギノ式禁欲法、ペッサリー、避妊手術などがあります。わが国ではコンドームが主に使用されてきましたが、最近ではピルや避妊リングの利用者が増えてきています。
避妊法の理想は、
(1) 効果がある
(2) 性感を損なわない
(3) 手間が少ない
(4) 安い
(5) 止めればすぐに妊娠できる
(6) 自分の意思で選べる
などでしょう。それぞれの避妊法にはこの6項目のどれかに特徴があるのです。
避妊リングとは
* 避妊リングとは、正式には子宮内避妊用具(intra uterine device, IUD)と呼ばれ、子宮の中に小さな器具を入れます
* かつて古代エジプトでラクダが妊娠しないように石を膣や子宮の中に入れたのが始まりだとされています
* 避妊リングは子宮の中に入れて受精卵の着床を防ぎ、妊娠しない効果があるのです
* 避妊リング考案者は、1930年ドイツのグレーフェンベルグで銀のコイル状の輪をしたのを発表(グレーフェンベルグ・リング)、日本では1932年太田典礼(太田リング)で、始めはどちらも丸いリング状をしていたために呼ばれていました
* 以後効果があり副作用が少ない材料や形が改良されている
* 最近の避妊リングは、永久避妊手術、ピルについで99%程度の効果がある
避妊リングの長所・短所
*長所は、
(1) 一度挿入すると2年〜数年効果がある
(2) 副作用が少なく、全身への影響がほとんどない
(3) 取り外せばすぐに妊娠できる
(4) 性感を損なわない
(5) 女性自身が決定できる
(6) 長年(入れ替えて)継続できる
*短所は、
(1) 出血や疼痛があること、とくに月経量が増え、月経期間が延びることがある
(2) 経産婦が望ましく、今までお産をしたことがない女性には難しい
(3) 避妊効果がピルよりはやや悪い
(4) 必ず婦人科を受診しないといけない
避妊リングが向く女性・向かない女性
避妊リングは誰にでも使用できるのではありません。向き・不向きがあるのです。
避妊リングに向く女性は、
* お産をしたことがある
* 長く避妊をしたい
* 中高年の方(ピルが不向きの方)
向かない女性は、
* お産をしたことがない
* 妊娠している
* 月経以外の出血がある
* 子宮ガン・卵巣ガンがある・疑いがある
* 月経量が多い・月経痛がひどい
* 子宮の形に異常がある
避妊リングの種類
現在使用されている避妊リングには3種類があります。
(1)従来型
(2)銅付加型
(3)薬剤付加型
です。主な特徴は表の通りです。
従来型 銅付加型 ホルモン付加型
日本での認可 1974年 1999年 2007年*
名前 FD−1 ノバT380 ミレーナ52mg
マルチロード
装着期間 3年 4〜5年 7年
費用** 2〜5万円 3〜5万円 7〜10万円
*2007年4月16日より
**保険診療外ですので施設により異なります
(2007年3月現在)
銅付加避妊リング
今から40年ほど前に銅に高い避妊効果があることが分り、従来の避妊リングに細い銅線を巻いたものです。避妊効果が従来のものに比べて2割(従来のは80%、銅付加リングは99%)良くなったのです。銅が吸収されても身体にはなんら影響はないのです。
薬剤付加避妊リング
避妊リングに黄体ホルモン剤を染み込ませたもので、長年(7年)にわたって黄体ホルモン剤を放出し続けます。放出された黄体ホルモン剤は子宮内膜に直接作用して子宮内膜を萎縮させますので、月経量が減る、月経痛が和らぐ、などの効果も著しいとされています。
そのためにピルを服用できない避妊目的の女性(喫煙者、肥満、肝臓・高血圧など)はもちろんのこと、避妊目的以外の月経痛が強い、月経量が多い、などの女性にも利用価値があります。
避妊リングの装着の実際
ほとんどは予約なしでも可能ですが、念のために電話で確かめていきましょう。
挿入時期は、
* 月経終了2〜5日後
* 流産や人工妊娠中絶術後は、できれば次回の月経終了2〜5日後
* 分娩2〜3ヵ月後
* ピル服用後の出血終了2〜5日後
が望ましい。
当日は、問診のあと、麻酔はせずに1〜2分で終わります
費用は、保険ではありません。各病院で違いますから前もって確かめておきましょう。
通常2〜10万円が目安でしょう。
避妊リングのこんな利用法
(1) 他の方法で避妊に失敗したり、強姦にあったりして、緊急に避妊したい場合には、薬による緊急避妊法とともに利用可能です。ただし誰でもではなく避妊リングに向いている方だけです。
避妊に失敗したときから5日以内(薬による緊急避妊法は3日以内)に避妊リングを挿入することで受精卵の子宮での着床・妊娠を防ぐことができる可能性があります
(2) 薬剤付加避妊リングでは、薬剤効果により月経量が減る、月経痛が和らぐ、などの効果があるので、ピルを服用できない場合に有効な方法となります
避妊リング挿入後の注意
* 挿入後の次の月経後に脱出などしていないかなどのチェックを受けます
* 出血・疼痛による避妊リングの中止率は2.6%です
* 実際に、下腹痛や出血が20%弱起こるとされています
* 使用する避妊リングの種類にもよりますが、2年〜数年で効果がなくなりますので交換します。抜去時には1万円前後かかるでしょう
* 「子宮内」妊娠は防ぐことができますが、「子宮外」妊娠は防ぐことはできません
* 性感染症を防ぐことはできませんので、その可能性があるときはコンドームを使用しましょう
避妊リングの今後
避妊リングは、改良され副作用は少なく避妊効果が高くなってきているので、避妊法の中で占める役割はいっそう高くなるでしょう。また欧米ではホルモン付加型避妊リングが主流となっているように、わが国でもいっそう使用されるようになるでしょう。

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