最近、麻酔科の先生方に
「日本語変。」
「感覚が変。」
「なんか突拍子がない。」
と、ずばずば言われまくってますが、むしろずっとペット感覚で楽しまれているようなエンカオです。
いやいや、しかし、本人は自覚がないので、わりとどうしたらいいものかよくわからず悩んでます。
確かに、長時間の手術は特に集中力が切れるので、
麻酔機の前でスクワットしたり、
オペ室の音楽に合わせてリズム取っちゃったりしちゃうこともあるんですが、
無意識なんで・・・涙
さて、最近ブルー(緊急度のないことを意味するトリアージの色のこと)のアッペ(虫垂炎、盲腸)の手術で電話がありました。
とりあえず、外科からの要請を承諾するかしないか聞かれて焦るエンカオ。
「先生、麻酔かけれますか?」
「・・・え、一人じゃかけれません。」
いつもは問答無用で「黄色の大腸穿孔です。」とか、単刀直入なので、
徳州会なのに「断る。」という選択肢のあることなのか?
と思って、大混乱しました。
しかし、上級医に連絡つながらず・・・
そんなこんなで、よくわからないけどオペ室に戻るエンカオ。
とりあえず、痛がっている患者さんがいるのは確かなんだし、
アッペ用の麻酔をそろえようとしたところ、
初めてはいる手術でよくわからんので、
1,静脈麻酔薬
2,筋弛緩薬
3,麻薬
4,循環作動薬
ここら辺をどうするか悩むわけです。
うちの研修は「自分で麻酔計画も立てられるようになる。」が必修なので、
本来的には第二週あたりから頑張らなければいけないそうですが、
エンカオは挿管と脊椎麻酔、あと、他の麻酔の知識でものすごく苦戦して、
そんなどころじゃありませんでした。
「・・・静脈麻酔薬、どっちだろう・・・」
そこから始まりました。
とりあえず、プロポフォールというメジャーな白い麻酔薬があるのですが、
それを使って、麻薬のフェンタニルを使うと相乗効果で
非常に低容量で効果を発揮します。
上級医は間違いなくフェンタニル使うだろうから、
プロポフォールか?と考える。
ここで、2週間前にアッペのオペがあったことを思い出す。
たしか、年齢も状況も似ていたはず。
そういうわけで、麻酔帳引っ張り出して確認するとプロポフォールでした。
他、筋弛緩薬はフルストマック(手術前なのに胃の中に食物がある状態。)→
迅速導入
(食事が逆流して誤嚥性肺炎にならないように、換気無しで喉を押さえて挿管する。)
だけど緊急オペじゃないから、わりと早い導入を考えてエスラックスを選択。
そして、とりあえず導入時の徐脈をブロックするためにアトロピンは用意。
迅速導入だからチューブは女性で一番小さい7mm、短く切ろうか??
さて、MRSA検査など感染症がよくわからないから、バクテリアフィルムで人工呼吸器はブロックする。
こういうのは、さすがに覚えの遅いエンカオでもなんとな〜く考えてやったのですが、先生が来て
「プロポフォールじゃないよ〜〜〜」
「え?!でも、前のオペ記録も確認しましたよ??」
「前のやつは
喘息既往あるでしょ〜よく見て〜」
・・・がび〜〜〜ん
そうです、プロポフォールは呼吸抑制や気道刺激性あり、喘息には使わない麻酔薬。
今回の症例は喘息は関係ないし、アレルギーもない。
はぁ・・・
ここはラボナールでもっと早い導入を心がけないと、迅速導入がしづらいんだよ、と指導入りました。
しかも、プロトフォールは開封後に保存ができません。
脂肪分がたっぷり入っているから感染しやすいんです。
・・・準備ってむずかしい。
硬膜外麻酔に非常に興味がわいています。
一言で言うと、脊髄刺す前に寸止め(硬膜外腔)、じんわり薬効かせる麻酔です。
脊椎麻酔のように薬を直接腔内には入れません。
うちの麻酔の先生はたとえ腹臥位であっても、
たとえどんな事故が起こってもトラブルシューティングができるすごい先生で、
本当に尊敬しています。
挿管は100%成功で、ほぼバイタル変動を許さない先生。
緊急オペがたとえ並列(2つ重なって麻酔をかけなければ行けないこと。)になろうともいともたやすく麻酔をこなしてしまう先生です。
「そこに患者がいたらしょうがないだろう。」
リスクとか、患者のためを思う気持ちに比べたら、
自分の限界を考えている領域のその上を敢えて犯しても、
それであっても何とかなることがあるんだと教えてくれます。
助ける一新というのはそこまで強いんだと思いますが、
それをこなすだけの実力と集中力、精神力があるのが大前提。
はっきり言って人間業じゃねぇ・・・って思うくらい全てが早くて正確。
私の一つの仕事の10倍の速度で仕事を終えてしまいます。
おまけに、自分のミスは真摯に受け止めて、
検査値が前情報としてなかった患者さんの検査結果などを見て、
ここは反省だったとか、即座に解明していく、
それを私に聞かせてくれます。
そういうのって、本当に患者さんを思う気持ちと教育する気持ちがないと
なかなかできないんだと思います。
あとは、多くの難しい症例の経験だと思います。
「エホバの証人が輸血拒否だけど、出血性ショックで命を奪われようとしているとき、自分ならどうする?」
患者さんの希望を叶えるのであれば輸血はしないでしょう。
しかし、その際に命を落とせば、医師免許を剥奪されることに近い事件性を秘めています。
逆説的に、輸血をしても患者からの告訴で私達は捕まります。
「その際にどのくらい金額が請求されると思う?」
30万円。
もちろん、命より信条は大切かもしれないが、
考えようによっては自分がせっぱ詰まったときには、
最悪の選択として輸血をする方が良いのではないか?
今、私はそう考えています。
16才以下であれば本人の意思確認として成り立たないと判断し、
エホバ証人扱いにならないとか。
大野産婦人科事件が無罪と終わった今なお、私達は医療訴訟を考えてしっかりした対応をしなければ行けません。
そのときに、最悪の状況で取れうる選択肢の幅は広くする必要があり、
それは一般常識と言うよりは法ではないかと思います。
倫理観や患者さんの意思、自分の価値観もあるでしょうけど、
「命を救う」という命題の前に、
私達は法の決めうる範囲内で最大限の効力を発揮する治療を行う必要があります。
あぁ、難しい・・・
決められた枠は自分の病院の枠もあるけど、
それを超えて世間で認められる枠にいなければいけない。
そういうことを考えさせられました。
ところで、不勉強だったり、一度言っても理解できないエンカオ、
ものすごい勢いで怒られます。
じつは上記の先生、めっちゃ優しい先生なんですよ、これがまた。
私がものすごい勢いで物覚えが悪いので、ずっと監視付きで一つ一つ注意してくれます。
また、深夜に渡る緊急オペが入ったりERが続いて、
起きれない日がありました。
その次の日わざわざ電話してくれて、
「お〜、術後患者一人増えたから術後回診いってくれな〜、すごい爽やかなべっぴんさんだから〜。」
きっと、起きれてないんじゃないかと心配してくれての配慮なんだろうなぁ、と深読みするエンカオ。
来週から夏休みに入ってしまうので寂しい限りです。
でも、他の先生方もものすごく面白い〜、気合いの入った先生ばかりです。
看護師さんに恐らく呆れられながらも、来る日も来る日もいちいち細かいところまで全てに怒られながらも、いまだに治らない癖だらけのエンカオは、
自分ではかなり先生のおかげで大分色々なことがわかったような気がします。
うん、こんなに教えてくれる、怒ってくれる先生はいないと思います。
ゴミの投げ方とか、三方活栓のきれいな使い方とか、
挿管でなんでこの手順を踏まないといけないとか、
筋弛緩薬は何でこの量で良いのか、とか、
モニターじゃなくて患者を診ろ、とか、
研修は与えられるものじゃなくて、自分でもらいに行くもんだ、とか、
すごく考えさせられました。
なんだか、一ヶ月だけなのに、麻酔科は辛いって聞いてたけど、今はものすごく先生方が好きだし、麻酔の予習するのも楽しみです。
自分ができることが頑張れば増えて、勉強すればするほど反映される。
それを感じたら、ものすごく前向きになれました。
こういう巡り合わせって嬉しいですよね。