将棋妙案 第68番
有名な「銀智恵の輪」である。久留島の芸は本局を含め7題の「智恵の輪」連作に代表されると言っても過言ではない。「智恵の輪」は久留島の趣向の頂点であり、一つの構想を天才がいかに巧みに展開し、盤上に表現したかを示す好例でもある。
初手8四金、同玉、7三銀以下銀が4枚盤上に並ぶ。以下この四銀を操りながら智恵の輪趣向が展開する。
すなわち、銀ずらし−6二桂入手−銀ずらし−7八桂から5九角捨て−銀ずらし−2三飛成−銀ずらし−8七香、同飛成−銀ずらし−4四香以下収束と、銀ずらしの合いの手を入れながら論理的な捨駒を積上げる。捨駒の順は理路整然としていて、一つをせねば次の捨駒が実現しない。この捨駒のくり返しによって玉はついに収束に追い込まれていくのである。
斜一線に並んだ四銀の繰り返す往復運動と、それにからました捨駒の積み上げ。これは看寿や宗看も想到しなかった‥美しい構成である。