今月のテーマ 

2010/4/9

膜のお話B  臨床レポート

今日は膜の損傷と修復について書いてみますね

浅層の膜は真皮(皮膚)のすぐ下にあり身体全体を包みます。
頭の先から足の先まですっぽり覆った全身タイツを着ていると想像してください。

この膜のテンションにより人の外形が保たれています。

この部分では水と脂肪を貯蔵し断熱材の役割を果たします。
皮下脂肪とはこの浅層の筋膜に脂肪が貯蔵された状態のことです。

だから、脂肪吸引なんてやった時にはこの浅層の膜がズタズタになってしまいますよね!

怖すぎです。

この膜が外傷(怪我や軽い打ち身)などで損傷し、その傷が修復される課程で瘢痕組織が出来てしまいます。

傷ができた時は身体にとっては緊急事態!

そこで、とりあえず応急処置的な修復を行います。
具体的には傷口を塞ぐために繊維(コラーゲン繊維)を四方八方に伸ばして傷口を固定してしまいます。

傷が塞がったところで本来の動作を繰り返すことで、本来の繊維方向以外の繊維、つまり動きのじゃまをする線維が切れていき、もとの配列の整った線維が残るのです。

ところが、損傷により痛みをかばうような動きのパターンに変わってしまい、その後も間違った動きを続けた場合には繊維の配列も間違った動きに合わせて変化してしまいます。

また、損傷をかばうことで本来の動きをしなくなってしまうと、とりあえずの修復で固定された線維がいつまでも残り、動かない部分が出来てしまいます。

人間が生きていく日常の中で、小さな怪我や損傷などは頻繁に起こっており、その結果このような間違った修復や適応、瘢痕、滑走の低下(膜の表面での滑りが無くなった状態)などが全身に積立貯金のように貯まってくることで身体に歪みが生じたり、機能低下や異常があちこちで出てきます。だから年をとるほどいろいろな問題が出てくることになるのです。

それに加えて、縫うような大きな傷、皮膚が引きつるような大きなやけど、手術の傷、骨折などの大きな怪我などは、表層の膜だけでなく深層や、最深層の膜にまで大きな影響を与えてしまいます。

怪我や病気になってしまい、このような傷を負い、瘢痕や膜の損傷などが生じてしまうのは、生きているのだからある程度は仕方のないことです。

問題は、その後どうするか!

つまり、手術の傷に対するリハビリ、打撲や擦り傷が治ってからの膜のリハビリ、捻挫や脱臼、骨折の固定により生じた膜の滑走制限(癒着)のリハビリなどを毎回きちんと行う事が大切なのです。


欧米では近年これらの軟部組織の瘢痕に対するリハビリを積極的に行う動きが出てきていますが、日本ではまだまだですね。
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2010/4/3

膜のお話A  臨床レポート

こんばんは。
今日は膜の成分についてお話します。

膜は硬い結合組織であり、頭の先から足の先まで身体全体に途切れることなく機能的な三次元の網として広がっています。

この膜により人間の形になるように筋肉や骨、神経や血管、リンパ管、内臓などが所定の位置に収まっていられるのです。

もし膜が無ければ人間特有のくびれや出っ張りが無くなってしまうばかりか、骨から筋肉がずり落ち、内臓はどんどん下に下がり、皮膚は垂れ下がり、ようするに生物としての人間の形を保つことさえできなくなります。

それでは、膜は何から構成されているのでしょうか…

コラーゲン
エラスティン
基質

の三要素から成り立っています。


コラーゲンとは…

コラーゲンは最近のテレビや雑誌などでよく登場するので、名前くらいは知っていると思いますが、その性質は正しく伝えられてはいません。

コラーゲンはしなやかで非常に強い繊維状のものであり、方向性を持った繊維の配列により、膜に引き裂く力がかかるときに抵抗するための伸張力を与えています。

プルプルお肌にコラーゲンが良いとなぜか伝わっていますが、コラーゲンが実際にはその長さの5%しか伸長しない強力な繊維なのです。


エラスティンとは…

エラスティンはゴムのように強度と柔軟性を併せ持つ性質があり、伸張力を吸収する役割があります。

エラスティンは変形をしても元の長さに戻ることができ、その長さの150%伸張することができます。


基質とは…

気質はマイナスに高荷電しているために、水を引き付ける性質があります。この水分がコラーゲンと結びつくとゲルを生じ、この多糖ゲルが繊維間のスペースを満たし、体内の総水量の25%を保持しています。


また、これらの膜に関連する成分として、

ヒアルロン酸:膜を潤し、繊維がお互いに最小限の摩擦で滑走できるようにしています。

プリテオグリカン:身体全体を通してショックの吸収、分散をしているゲル状のものです。


これらの成分が、からだの部位により配合の割合を変えることで、それぞれの部位に応じた弾力や柔軟性、硬さを持つのです。

ただ、人により配合の割合が異なるため、たとえばコラーゲン繊維の割合が多くなると繊維質の筋張った硬い膜になるため身体の表面が硬く感じたり、柔軟性が減少したりします。

逆にコラーゲンの割合が低くエラスティンの割合が多くなると、身体の表面は柔らかく感じ、柔軟性が上がります。


膜の原料をタンパク質の形で体内に取り込ことで、人間は身体の各所の働きに応じて適正に配合比をコントロールしてくれるのですが、流行に踊らされてコラーゲンばかりを単独で摂っていると、プルプルお肌どころか繊維質のスジ張った身体になってしまうかもしれませんよ!




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2010/3/30

膜のお話  臨床レポート

今日から膜について書いてみます。

筋膜リリースのテキストによれば…

「膜は、筋肉、骨、関節、内臓を含むすべての解剖学的構造を分子レベルまですべて覆い包み込み、分断し、そしてそれらの不可欠な部分となっている。また、繊細な神経、血管、リンパ管の通るスペースをつくりだす。」

とあります。

何となく解るような、解らないような… ですよね!

人間の身体の構造をホントに大ざっぱですが私なりに分類しながら説明していくと、

まず骨があり、それぞれの骨のつながる部分を関節と言います。
実際に骨と骨を連結しているのは関節包と呼ばれる袋状のゴムのようなパーツです。

骨や関節の周りには、骨格を支えたり動かしたりするための筋肉(骨格筋)がくっついています。
当然ですが同じ骨に筋肉の両端が付くことはなく、必ず関節を1個以上またがって別の骨に付くことにより骨格を支えたり動かしたりすることが出来るのです。

これらの筋肉や骨格により身体の大部分は構成され、その隙間に内臓や血管、神経、リンパ管などが収まります。

じゃあ、膜は何してるの?

膜は、身体に形を与えています。

膜は大きく分けて
・浅層
・深層
・最深層
という3種類の形態をとっています。

浅層の膜は真皮(皮膚)のすぐ下にあり身体全体を包みます。
頭の先から足の先まですっぽり覆った全身タイツを着ていると想像してください。
この膜のテンションにより人の外形が保たれています。

深層の膜は筋肉や骨、神経、内臓、血管、リンパ管などの構造物を包み込みそれぞれの形を保ちながら他の組織と上手く連結させていきます。

最深層の膜とは脳と脊髄神経を包み込んでる軟膜・くも膜・硬膜の三種類の膜の中の硬膜のことです。

結局なんだかんだ言ってるうちに難しい説明になってきましたね!


そこでもう一度簡単な説明に戻すと、

筋肉の束をサランラップのようなものでまとめて筋肉の形を作り、それを骨の周りに配置して隙間に内蔵、神経や、血管、リンパ管などを入れ込んでさらにラップで包んで人間の形にまとめているんです。 

つまり、膜が無ければ筋肉も内臓もバラバラになり、人としての形態を保つことが出来ないという事なんですね!

次回はもう一歩ふみこんだ「膜のお話」をしましょう。
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2009/6/4

息苦しさと不整脈  臨床レポート

前回と前々回、に「肺血栓梗塞症」と「肺性心」について説明してきました。
今日は、この患者さんの臨床レポートです。

この患者さんは、長年大病院で総婦長を務めてこられた78歳の女性です。

56歳に腰痛に悩み、椎間板ヘルニアの手術をされています。おそらく、脊柱管狭窄症も併発されていたと思われます。

手術後しばらくは腰痛は軽減していたのですが、4年前に自転車に乗っているところを車にはね飛ばされて頚部と下腿を損傷、腰痛も再発します。

そして、3年前に「肺血栓梗塞症」と「肺性心」が発病したのですが、何とか命は取り留めて今日に至るそうです。

少し話すとすぐに息が苦しくなり、しばらく細かい呼吸で息を整えてからまた話し出すというような状態で、問診もなかなか進みません。

また、呼吸が苦しいのか、頭が膝に付きそうなくらい丸まってきます。身体を反らすと、背中が痛いのだそうです。これでは上手く呼吸が出来るはずがありません。

日常生活では、腰が痛く、足がなかなか前に出ません。また、少し歩くとすぐに息が切れてしまい、立ち止まって息を整えてから、再び歩き出すというような状態だそうです。

手技療法では、直接的には「肺血栓梗塞症」や「肺性心」に対して治療できないことを、お話しさせていただいてから、身体全体の調整をしてみることにしました。

まず身体の状態を診てみると、骨盤が左にしか振れなくなっていました。また、股関節は右と左で可動範囲が違うため、左右同じ動きが出来ないようです。胸郭は右は勿論、左もほとんど可動性がありません。これでは呼吸も上手くできないでしょう。上肢も挙上の可動がかなり制限されています。

早速、骨盤の歪みの原因の一つと思われる右の下腿(ふくらはぎ)の捻れを緩めていきます。大腿(太もも)の筋肉の歪みや股関節の可動制限も緩めていきます。

つぎに、骨盤の右への可動性を確保するための手技を用いながら、同時に胸郭の動きの制限を緩めていきます。
呼吸似合わせて、胸郭の可動制限が起こっている部位を見つけながら、どんどん緩めていきます。

はじめは、頭が膝に付きそうな位に丸まっていたのが、かなり起こせるようになってきましたが、首が上を向けられないようです。最後に、僧帽筋(首の後ろから背中にかけての広く大きな筋肉)の可動性を上げる手技をして、初回は終わりにします。


2回目からも同様に、少しずつ体の歪みを整え、各関節の可動性を上げ、筋肉がうまく働くように治療を進めていく様にしたところ、3回目に来院されたときには、息も切れずに経過を報告され、なんと不整脈も全く出なくなったと喜んでお話しくださいました。


5回目を過ぎた頃から、咳がほとんど出なくなったと報告してくださいました。また、腰や足もあまり疲れにくくなり、少しずつ長く歩くことが出来るようになってきたとのことです。


現在は栄養素(オーソ20)も摂り始めて、徐々にですが全体的に身体の調子が上がってきている事を実感されているようです。

右の肺が萎縮してほとんど機能していないこの様なケースでも、手技療法を上手く用いることで身体の各部の可動性を改善することが出来ると、その結果として内臓の機能の低下を少しでも正常な状態に近づけることが出来る事もあると思われます。


手技療法の可能性はこれからもまだまだ広がっていくと私は思っています。
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2009/6/3

肺性心  臨床レポート

今日は「肺性心」について紹介します。

どんな病気?

「肺性心」とは、肺の病気が原因で肺での血液の流れが悪くなり、肺へ血液を送り出している右心室に負担がかかって、右心室が大きくなったり(右室拡大)、右心室のはたらきが悪くなった状態です。つまり、もともとの心臓病でなく肺の病気が原因で心臓に異常が起きたものを肺性心といいます。


どのようにして起こるの?

慢性閉塞性肺疾患、肺結核後遺症、肺線維症などの慢性の肺の病気と、昨日紹介しました肺血栓塞栓症や原発性肺高血圧症などの肺血管の病気が原因となります。
 
通常は慢性に経過する病気が多いのですが、重篤な急性肺血栓塞栓症では、右心不全のためしばしば呼吸困難や意識消失を引き起こします。このような病態を急性肺性心と呼びます。


どんな症状?

咳、痰、易疲労感(疲れやすい)のほか、胸がゼーゼーしたり(喘鳴))、呼吸困難が出現たりします。

進行すると呼吸困難が強くなり、酸素不足のために唇や爪が紫色(チアノーゼ)になったり、静脈の流れが悪くなるために肝臓がはれてきたり、むくみ(浮腫)が出てきたりします。



治療の方法は?

基本的には、肺性心の原因である肺の病気に対する治療を行います。

低酸素血症は肺血管の抵抗を上昇させ、肺性心を悪化させる要因となるので、慢性呼吸不全を合併した肺性心の患者さんでは在宅酸素療法を行います。ただし、不用意に多量の酸素吸入を行うと、血液中の二酸化炭素がたまりすぎ、呼吸が止まってしまうことがあるので注意が必要です。

右心不全に対しては、右心室にかかった負荷を軽くするため、余分な水分を尿として排泄させる利尿剤や、心臓のはたらきを強くする強心剤、血管拡張剤などを使います。


今回の患者さんも、初診の時の問診の間も、呼吸がゼイゼイしていましたし、細かく呼吸していました。また、話している最中に疲れてしまうようで、どんどん身体が丸くなってきていました。

このような、難しい問題を抱えた患者さんを皆さんはどのように診ていくでしょうか?

明日は、私が行ってきた治療とその経過を書いてみます。
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2009/6/2

肺血栓梗塞症  臨床レポート

現在当院には、「肺血栓梗塞症」と「肺性心」という病気を持った方が、「息が苦しい」事を主訴として来院されています。

症例の紹介をする前に、今日はこの「肺血栓梗塞症」を紹介しようと思います。


どんな病気?

心臓から肺へ血液を運ぶ血管である肺動脈に、塞栓子(血液の塊(かたまり)、脂肪の塊、空気、腫瘍細胞など)が詰まり、肺動脈の流れが悪くなったり閉塞してしまう病気を広く肺塞栓症といいます。

このなかで血液の塊(血栓)が原因で起こったものを肺血栓塞栓症と呼び、肺塞栓症の大部分はこれにあたります。
 
肺梗塞症は、肺塞栓症によって肺組織への血流が途絶え、その結果、その部分から先の肺が壊死(組織が死んでしまうこと)してしまった状態をいいます。


どのようにして起こるの?

最も多いのは、下肢の静脈内でできた血栓が原因となるものです。近年問題になっている、いわゆる「エコノミークラス症候群」もこのひとつです。
 
海外旅行などで長時間飛行機に乗ると、座ったままで長時間同じ姿勢を保つため、下肢の深部静脈で血液が固まり血栓ができます。飛行機から降りようと立ち上がった時に、血栓が血液の流れに乗って移動し、肺動脈を閉塞するというものです。

病気や手術のため長い間寝たきりの人なども、同じように下肢静脈での血液の流れが悪くなり、血栓をつくりやすい傾向にあります。

予防としては下肢の屈伸運動をしたり、長時間の座位を避けるようにする、脱水にならないように水分を十分に摂るようにするなどがあげられます。


どんな症状?


肺血栓塞栓症の3つの徴候として、突然の胸痛、呼吸困難、頻呼吸(呼吸が浅く回数が多い)があげられます。血栓が小さい場合には症状がないこともありますが、血栓が大きく、太い血管に詰まった場合には、ショック状態となり死に至ることもあります。
 
肺梗塞症を合併すると胸痛のほかに、血痰(けったん)や発熱、発汗が現れます。


治療の方法は?

発症直後の治療としては、基本的にヘパリンなどの血液が固まらないようにする抗凝固薬を点滴静注で使います。重症の場合には組織プラスミノーゲン活性化因子(tPA)といった血栓を溶かす薬(血栓溶解薬)を使って積極的に治療します。そのほかに、手術やカテーテルで血栓を取り除く方法もあります。

肺血栓塞栓症は再発が多く発症すると命に関わることがあるため、病状安定後であっても予防的治療として抗凝固薬(ワルファリン)の内服を少なくとも3カ月、危険因子をもつ人は一生涯服用します。下大静脈にフィルターを留置して肺動脈に血栓が流れ込むのを予防する方法もあります。


当院にお越しになった患者さんは、左のヒラメ筋の静脈瘤で生じた血栓が右の肺につまり(梗塞)、右肺が萎縮してしまっています。

現在は病院からワルファリンを処方されて、40日に1回薬の効果を判定する検査を受けているのですが、医師の思うように血栓が減っていないようです。


明日は「肺性心」を紹介します。
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2009/4/15

食道裂孔ヘルニアA  臨床レポート

2回目(1週間後)

骨盤の左へのシフトが強いようなので、骨盤を左に引っぱって固まっている
殿筋と大腿筋膜張筋(太ももの外側の筋肉)を手技により緩めていきます。
筋膜の滑走も上手くいっていないようなので、しっかりと動きをつけます。
筋膜の動きが硬い状態の時はこれが結構痛いのですが、動きがついてくる様になるとだんだん痛くなくなり、最後には無痛になります。

猫背の原因である僧帽筋や棘上筋、肩甲挙筋にも同様の手技を行います。(腹直筋の過緊張も原因です)
「顔を上に向ける動きがやり易くなってきました」とおっしゃっています。

胃の膨満感と膨隆感は「前回の治療の日は楽になったのだけれど、だんだん戻ってきています」と言うことです。まあ、横隔膜が上手く働かない状態で1年以上も過ごしてきたのだから仕方ないのですけど…横隔膜に対しても前回と同じ手技を行います。


3回目(6日後)

「前までは、胃の上にいつも手を当てていたのに、最近は胃の上に手が行くことが少なくなってきました」とおっしゃっています。

今日も2回目と同じように施術します。


4回目(9日後)

「最近、胃の部分の膨隆感は気になりますか?」と聞いてみると、「出っ張って感じるときと、何も感じないときがあります」とのことです。
「姿勢との関連はあるようですか?」とさらに質問してみると、「長く座っていると背中が丸くなってきて、その後に胃が気になることが多いような気がします」とのことです。

横隔膜が上手く上に上がっているときは、胃は圧迫を受けていないようですが、下がってくると胃に干渉してくるようです。

横隔膜の上への動きをつけていくことで、胃に対しての干渉を減らしていこうと考えて「呼吸ドリル」を指導しました。

「呼吸ドリル」はインナーユニットを意識するために行うエクササイズなのですが、このインナーユニット(脊柱を内側から支える仕組み)が上手く働いていないことによりアウターユニット(身体を動かすための筋肉)を使って支えることになり、結果として本来の動きが上手くできないようになります。

今回のケースに当てはめてみると、下腹部のインナーユニットが働かない代償作用として腹直筋や腹斜筋などの大きな筋肉が身体を支えるために働いてしまいます。そこで呼吸をすると胸郭は筋肉によって固められているために、横隔膜が下に下がることでしか吸気が出来なくなり、腹圧が上がってしまいます。結果として食道と胃の結合部が横隔膜の裂孔にめり込んでしまうのです。

こんな感じで施術が進んでいますが、今度は1ヶ月後くらいに経過を報告します。

それでは、また明日
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2009/4/14

食道裂孔ヘルニア@  臨床レポート

さていよいよ患者さんを診ていきます。

患者さんは72歳の女性です。

主訴は胃の部分の膨満感、膨隆感
その他の症状は、右肩の痛み、左股関節の痛み、左足の親指の付け根の痛みです。

食道裂孔ヘルニアと1年以上前に診断を受けてから薬を飲み続けています。
飲んでいる薬は何と11種類、ちょっと多すぎるような気がします。

既往歴は27歳の時に虫垂炎で左下腹部の開腹手術で虫垂を摘出、60歳の時に胆のうガンを内視鏡手術にて胆のうを全摘出しています。

食道裂孔ヘルニアの原因になりうる肥満を解消するために、体重が61キロあったのを53キロまでダイエットしたそうです。


患者さんに膨隆感を感じる腹部を示してもらい、触診してみると握りこぶし位の硬いものがあります。横隔膜もキンキンに緊張しているようで、胸郭の可動性もほとんどありません。深呼吸をしてもらっても、つっかえた感じがして上手く吸えないようです。胸郭は全く膨らむことなくこれでは横隔膜が下がりっぱなしです。

身体の各部の可動性を診ていくと、足の趾の可動制限、足首の背屈制限、股関節の伸展制限、骨盤の左シフトなど運動が十分でない人の典型的なパターンです。上半身は胸郭の回旋、伸展制限、上肢(肩関節)の可動制限などがあり、つまり不良姿勢のままで身体のあちこちが硬くなっている状態です。

身体全体の姿勢を診ると、おしりは後ろにつきだして、腰は反りすぎ、背中は猫背になって、首から背中にかけての肉が大きく盛り上がっているようです。

1日目は問診とこのような検査を中心に進めます。

先に下肢と骨盤の歪みをある程度調整してから横隔膜のフリップテクニックを行い、横隔膜の緊張を緩めます。

次に胸椎の下部と腰椎の上部の可動性を上げるようなモビライゼーションをします。これは、横隔膜が後ろ側で脊柱にひっついているところなので、これでますます横隔膜が緩む(自由に動くことが出来る)はずです。

僧帽筋(首の後ろから肩にかけての筋肉)が後ろから被さっているようなので、後ろに戻すように筋肉のリリースとマッサージを行います。

ここで、胸郭の動きをサポートしながら患者さんに深呼吸をしてもらいます。何回か呼吸をした後に、始めに膨隆感を感じた腹部を確認してもらうと、こぶし大の硬い部分がかなり柔らかくなっています。呼吸時のつっかえた感じもありません。

今日の施術はここまでにして、次回までに状態の変化を患者さんに観察してもらいます。

また、左足の指の痛みは足底の筋肉の筋力低下によりアーチが下がってきた事が原因だと判断したので、足底筋の筋トレを指導して終了にします。

長くなりそうなので、2〜4日目は次回にします。
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2009/4/13

食道裂孔ヘルニア  臨床レポート

食道裂孔ヘルニアとは

食道と胃の接続部には横隔膜(おうかくまく)という膜状の筋肉があり、食道はこの横隔膜を貫通して胃につながっています。貫通している部分を食道裂孔(しょくどうれっこう)といい、裂孔が大きくなって筋肉が緩み、胃の上部が横隔膜から飛び出して胸の方に入り込んだ状態が食道ヘルニアです。

生まれつき緩んでいることもありますが、多くは加齢や腹圧の上昇による筋肉の緩みが原因です。また、背中の曲った(亀背)人が食道裂孔ヘルニアを合併していることはまれではありません。そのほか、喘息(ぜんそく)や慢性気管支炎などの慢性の咳が良く出るような疾患のある人は、腹圧が上昇するので食道裂孔ヘルニアになりやすくなります。また、肥満の人も腹圧上昇による食道裂孔ヘルニアが現れやすいといわれています。

胃の飛び出し方によって滑脱型(かつだつがた)、傍食道型、混合型〈滑脱型+傍食道型〉に分けられ、最も多いのは滑脱型です。胃の上部がそのまま胸部に入り込み、胃食道の逆流防止機能が働かないので逆流性食道炎を起こしやすくなります。

傍食道型は、胃食道接合部以外の胃の一部が裂孔から胸腔に入り込んだもので、脱出した部分が締め付けられ、出血を起こします。初期症状はありませんが、進行したものは胸焼けや胸痛が起こります。

食道裂孔ヘルニアの一般的な治療法

まずは胃の脱出、食道粘膜の状態を調べるために消化管造影検査、内視鏡検査が行われます。

食道裂孔ヘルニアが軽ければ、とくに治療の必要はありませんが、逆流性食道炎があればH2受容体拮抗(きっこう)薬やプロトンポンプ阻害薬を服用することで、胃酸を抑えたり、腹圧が上昇しないように気をつけます。

ただし、食道粘膜内にビランや出血がみられる場合や傍食道型食道裂孔ヘルニアは原則的に手術を行う必要があります。

こんな病気の患者さんがいらっしゃいました。

手技療法でどのように対応していくのでしょうか?
初診から4回目までの施術内容と経過を次回のブログでレポートします。
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2009/4/8

イタリアの音楽家  臨床レポート

今日、イタリア人の患者さんがいらっしゃいました。

彼を紹介してくれたのは彼の奥さんで昔の患者さん、スイスに音楽留学しているときに知り合ってそのまま結婚されたそうです。
当院には10年ぶりに来てくださいました。

ところで、私はイタリア人と話すのも治療するのも勿論初めてです。

奥様の通訳でなんとか症状を把握し治療開始します。
症状は腰痛と右肩の痛み、側湾症もあるようです。

身体を調べていくと、さすがにヨーロッパ人は床に座らないので足の歪みはごく僅かです。勿論、下腿の治療も痛み無く進みます。
でもやっぱり、骨盤は左にシフト、右寛骨が前方変位、左の股関節の外旋制限があります。

このパターンはまさに、カナダの理学療法士の先生のセミナーで習った「ユニバーサルパターン」です。やっぱり、基本的な身体の捻れのパターンは世界共通なんだなぁ…と改めて感心しました。

いつも通りに可動域の検査と関節の動きを確認、左右のバランスをとりながら足から上に向かってドンドン調整していきます。

胸郭を調べてみるとかなり可動に左右差があります。このことを奥様に通訳して伝えてもらうと、「たまに呼吸に段差ができ、スムーズに吸えないことがある」とのこと。横隔膜の可動性を診るとこれまた左右で動きが違います。

「食事が胸につかえたりしませんか?」
と聞いてみると、たまに自覚症状があるとのこと。

横隔膜の可動性を上げるため、下部胸椎の矯正と横隔膜のフリップテクニックで横隔膜の緊張をとります。

ここで座位になってもらい、身体の動きの改善を確認してから、彼の本職であるフルートを吹いている姿勢、動作を再現してもらいます。

動作の解析から肩甲骨の動きに制限があることが解り、これを修正して今日の治療はひとまず終わりにします。

治療後、彼は身体が良くなっていることを自覚されたようで、この状態を持続するためのエクササイズについて質問されました。今までやっていたストレッチに間違いがあることを指摘し、正しい方法を指導しておきました。

言葉が上手く通じないにもかかわらず、何とか治療が上手く進み効果を身体で確認してもらうことが出来ました。また、日本にいる間に何回か治療を受けることを希望されて次回の予約を取って喜んで帰られました。

本当に良かった!10年ぶりに患者様に会えたのも嬉しかったし、言葉も通じない異国の人にも治療を通じて喜んでもらえたこと。本当にこの仕事を選んで良かったと思える1日でした。

皆さんに感謝です
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2006/4/3

身体が硬くて腰痛に B  臨床レポート

2月22日

少し腰の調子が良くなってきたとのことです。

骨盤の左右の動きに加え、回旋の動きも良くなってきているようです。

前回同様の手技と股関節の伸展方向の可動域をあげる体操を再指導して終わりにします。


3月4日

仕事中の腰の痛みはほとんど感じなくなったとのことです。

初診時は、うつぶせに寝ると骨盤がベットから浮いた状態になり、膝を曲げてかかとをお尻に近づけると股関節の前から太ももの前にかけてが引きつって痛んでいましたが、今回はかかとがお尻についても引きつりはなく、股関節をさらに伸展することができるようになりました。

今日から、歩行パターンの修正です。

まずはじめに片足ずつ立ってもらうと、どちらもかなりふらつきますが、右は特にひどく立つことができません。

身体全体のトーヌス(筋の緊張状態)も左半身が高くなっているので、右への刺激の入力を意識しながら施術していきます。

足に関しては、右の趾(ゆび)、アーチ(土踏まず)、かかとの内反(内側へのねじれ)などを調整してから趾の運動をやってもらいます。

もちろん普通の運動ではなく、神経回路の流れをよくするための特別な運動(4ステップ体操)です。


この時点で片足ずつ立ってもらうと右足の方が立ちやすくなり、ふらつきも殆どでないようになったので今日は終わりにします。

次回まで、毎晩の股関節前面の柔軟体操に加えて歩く前の準備運動として右趾の運動を宿題にしておきます。


つづく・・・
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2006/3/29

身体が硬くて腰痛に A  臨床レポート

2月8日

前回の施術の後、両肩〜背中が久しぶりに運動した後のような筋肉痛になったのですが、2日後には気にならなくなったとのことです。

腰痛は日により感じ方が違うのですが、全体的にはましになっているようです。

骨盤の左右の動きをまず観察してみると、前回よりは右への動きが出てきているのですが、骨盤を後ろに引かないと(へっぴり腰にしないと)左右に動かせないようです。

うつぶせに施術台に乗ってもらい、骨盤を後ろからベットに向かって軽く押さえると骨盤は左右に動かせなくなります。

股関節がベットから浮いてくるので、軽く太ももの前の筋肉を伸ばしてみますが、かなり痛がります。

股関節の前の筋肉がこんなに堅く短くなっていたことに本人は気づいていなかったようです。

今回は股関節の伸展方向(後ろにそらす動き)への関節のモビリぜーションと股関節前面の筋のストレッチを行い終わりにしました。



2月15日

施術後は腰痛をあまり感じなくなっていたのですが、2日まえより椅子に長く座っていると腰が痛み出し、立つと治まるようになってきたようです。

社会人になってから毎日座りっぱなしのデスクワークで運動を全くやってこなかったことにより、股関節の前の大腰筋、大腿四頭筋が極端にの短縮(この場合は収縮ではない)してしまったようです。

その状態から椅子に長く座ることでこれらの筋肉がさらに収縮することになり、腰椎が過剰に前彎するために腰痛が発症していたようである。

この日は前回同様の手技に加え股関節前面の柔軟体操(寝る前にオーバーストレッチを加えるように)を指導して終わりとする。



続く・・・!
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2006/3/22

身体が硬くて腰痛に  臨床レポート

クライアント:20歳代 女性 会社員(パソコンでのデスクワークと外回り)


2月4日

腰痛を主訴として来院されました。

腰痛は昨年の初夏頃より自覚しており、整形外科にて受診されています。

レントゲン、その他の検査で異常なしと診断され、湿布と痛み止めの飲み薬を処方された様です。

また、座り方の指導もあったようですが、薬を飲んでも、湿布を貼っても症状は全く変化が無いどころか徐々に悪化してきました。

そこで、次に整体院に通って身体の矯正をしてもらいに3ヶ月通いましたが、施術を受けた後の数日はましになるのですが、2〜3日でまた元の痛みに戻るので通うのをやめて今回当院に来たようです。


他の症状は、

1.腰痛の自覚とほぼ同じ時期からの便秘

2.ひどくなると頭痛になる肩こり(5年前から)

3.足の冷え・むくみ

4.顎関節症(開口時に音が鳴る)

ということでした。

施術に入り、骨盤の左右の動きを調べようとすると、股関節周囲の筋肉だけでなく、太もも、すねなどの下半身全体の筋肉がぱんぱんに張っていて、自分でもほとんど左右に動かせません。

骨盤の動きを見るのは今回はあきらめて静止時の歪みをチェックすると、<骨盤は左にシフト、胸郭(上半身)は右にシフトしているのが判りました。

歪みのパターンは基本的なものなので、右の下肢の捻れを矯正することにします。

いろいろな手技を行ってみるのですが、常に筋肉の固さがじゃまをします。

部分的に可動性を上げてしまうと、バランスが一気に崩れてしまう典型的なパターンなので、骨盤の右への動きを制限している問題にだけ手技を加えていきました。

施術により左にしか動かせなかった骨盤が、とりあえず左右に動かせるようになった事で、運動パターンが変化するはずです。

特に歩行には影響が出ることを説明してこの日は終わりにしました。


続きは次回!
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2006/2/27

膝痛から腰痛へ  臨床レポート

クライアント:60歳代 女性 自営業


11月30日

娘さんから予約の電話予約が入りました。

ミシン(40kg)を2階から運び降ろす時に階段を落下し、左の大腿〜膝の上にミシンを落としたようです。整形外科での受診の後にどうしても診てほしいとのことでした。


病院では膝に関してレントゲンで調べてもらったのですが、骨折線は見つけられなかったようです。
腫れがひどいので、血腫を抜くと髄液が混じるためおそらく小さな骨折はしているでしょうと診断されます。痛みが減らなければCTをとりましょうと言われた様です。

湿布と痛み止めを処方され、金属の補強入りの膝サポーターにて固定され、様子を見ましょうと言われました。


当院には、病院の後すぐに来たのですが、足を着くだけで膝に響くので、松葉杖をついて右足だけではねるようにしないと歩けない状態でした。

階段から落下したときの状況から、足首・膝・股関節・骨盤・腰椎のすべてに捻る負荷がかかり、同時に強い打撲を数カ所に受けている様です。
病院でも関節のアライメントの調整や皮膚の癒着の状態は調べられていないので、受傷時の捻れが現在も残り、痛み腫れが減らないと考察しました。


足底アーチの可動性の不足、足首、下腿の捻れを手技により修正、大腿部の皮下の癒着を防ぐためにリリーステクニックリンパドレナージュを行いました。次に、股関節の周囲筋の左右のバランス調整を行ってから立ってもらうと、杖も使わずに左足を着いて歩けるようになりました。

施術の後で膝のサポーターをつけると膝に痛みが出てきたので、すぐにはずして再び各部の調整を行いました。

サポーターは締め付けて固定するので、癒着と循環障害の原因になりやすいため、出来れば使わない方が良いですよとアドバイスしました。


12月2日

腫れは少しましになっているが膝がほとんど曲げられないため、前回と同じように各部の調整を軽めに行いました。
Nadis(微弱磁気共鳴装置)により反応点を見つけ調整用のシールを貼ると膝を深く曲げると少し痛む程度まで軽減し、歩行は杖なしで可能になりました。


12月5日

杖なしで仕事も普通に出来るようになりましたが、正座が出来ない状態。
病院に受診に来るように言われており、仕事の取引先なので断れないし、サポーターも湿布も痛み止めも使っていないので、どうしましょうかと相談されました。


12月7日

「昨日、サポーターを軽く巻いて病院に行ったら、膝から血を抜かれました」と報告されました。
病院では、「サポーターをしっかり巻かないと治りませんよ」と言われ、先生に巻き直されましたが、直後からあれほどましになっていた膝がうずき出したので、病院を出てすぐにはずしたそうです。

施術は今日から関節周囲筋と腓骨のアライメントを中心に調整しました。
は反応点が変わってきました。


12月14日

膝を深く曲げなければ生活に支障はなくなり、病院でもCTをとらなくても良いと言われたようです。

施術は大腿の前面の癒着している部位を中心にゆるめていきNadis の反応点に調整用のシールを貼ります。範囲がかなり狭くなってきています。


12月22日

腫れ、熱感ほとんど無くなり、正座をするときに少し痛むだけになっています。

その代わりに、右の殿筋に痛みが出てきたようです。

左の膝をかばって、立ち仕事を続けたために(受傷の次の日から仕事をしていたそうです)右の腰から股関節に負担がかかっていたようで、股関節、骨盤腰椎の調整を中心に行います。


12月28日・1月4日・1月14日

膝の痛みは徐々に軽減し、正座も可能になりました。
腰は広い範囲のだるさを感じているようです。
施術は全体のバランスを調整しました。
Nadisの反応は出にくくなったので、シールは無しにしました。


2月1日

膝はすっかり良くなったが、腰の状態が思わしくないとのこと。
腰の痛みの部位が、左の仙腸関節に変わっています。

どうも様子がおかしいので問いただしてみると、

「実は、腰全体がだるかったので、2週間前に取引先の病院で腰のレントゲンをとってもらったら、腰骨がゆがんでいるから腰椎の牽引とローラーベットをするように言われました。毎日通っていたら痛みの部位が変わってきて、今日は左の腰が(仙腸関節を指さしながら)刺すように痛むのです」と話しだしました。

どうやら、牽引とローラーを同時に行うタイプのタイプのベットにより、弱っていた関節が伸ばされてしまい、軽いぎっくり腰になってしまったようです。

腰骨がゆがんでいるのが腰痛の原因なら、ローラーベットや牽引で腰骨のゆがみを治せると病院の先生は本当に考えているのでしょうか?


続きはまた今度!
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