今月のテーマ 

2011/12/7

胸やけ・潰瘍  内臓マニピュレーション

十二指腸の内臓膜リリース


十二指腸は胃と小腸の間にあるC字形の腸管で次のように4つのセグメントに分ける事が出来ます。

・胃から右に向かう上部(D1)
・下に向かう下行部(D2)
・右から左に向かう水平部(D3)
・やや上方に向かい小腸に続く上行部(D4)

十二指腸の機能は・・・

胃の中でかき混ぜて「チャイム」と呼ばれる液体に変えられた食物は胃から十二指腸に入ってきます。

この時「チャイム」は胃の中で胃酸とペプシンと混ぜ込まれる事により酸性になっています。

この酸性の「チャイム」は十二指腸に入る時に膵臓に対してアルカリ性の液(重炭酸)を分泌するように神経的な信号を送ります。

このアルカリ性の液が「チャイム」と混ざる事により、消化に良い環境を作るために酸が中和されて十二指腸やその後に続く小腸の壁が酸により侵されないようにします。


また、チャイムの中の「脂肪酸」が十二指腸に入る時に「コレシストキニン」という物質が放出され、この物質が胆のうの収縮を促進するように働くことで十二指腸のD2の部分に胆汁(脂肪の分解酵素を含む)を分泌します。

このD2の部分に「オッディの括約筋」と呼ばれる乳頭状の分泌腺(蛇口のようなもの?)があり、必要なタイミングで胆汁と膵液を十二指腸の中に導いています。


十二指腸は次の要素によりその位置を保持されています。

・D1 では胃と連結しているので胃の小弯に着く靭帯の影響を受けます。

・D2 では総胆管を介して胆のうや膵臓とつながっているため、これらの臓器の影響を受けるとともに、逆にこの部位の問題が胆のうや膵臓の機能に影響します。

・D4 では十二指腸空腸接合部でトレイツ靭帯により横隔膜に付着しています。


これらの内臓膜や靭帯などに不必要な緊張や引きつれや滑走障害が引き起こされると、消化器官としての小腸やそれに付随する胆のう、肝臓、膵臓の機能が低下する事になります。


具体的には、右肋骨の下付近(みぞおちの右下)の張りや引きつれ、押さえると痛みや強い圧迫感を感じる事が多いようです。

胆汁や膵液がタイミング良くきっちりと分泌されないと・・・

胃により酸性になっている食べ物が上手く中和出来ずに十二指腸や小腸の粘膜を浸食することで潰瘍が出来る原因にもなってきます。

また、脂肪を分解する酵素が不足することで油ものを食べた後の「胸やけ」などが起こり易くなったり、未消化の食べ物が小腸内で発酵してしまい、お腹が膨れてしまういわゆる「ガス腹」や下痢などの原因にもなるようです。

これはすべての臓器に言える事なので胃と同じ説明になるのですが、隣接する臓器同士はお互いに圧力をかけあうように配置されており、一部の臓器の滑走異常や膨圧(膨れようとする力)の異常が他の臓器の動きや四肢(手足)や体幹(胴体)の運動機能を阻害することにもなってくるのです。

ストレスもどちらかというと胃よりもこの十二指腸に対しての方が問題を起こすことが多いようです。

また、筋肉や骨格及び姿勢制御に対してのアプローチで取りきれなかった肩こりや腰痛、背部痛、運動時のひきつれなどがこの内臓の膜へのアプローチすることで上手くいく事もあります。(十二指腸の場合は右側(同側)の問題に関連していることが多い様に思われます。)


十二指腸は胃と連続する腸管なので、セットで考えてしっかり内臓膜をリリースすることで、臓器本来の働き(消化吸収のうちの消化の役割)がきっちり出来るようにしてあげる事が大切になります。
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2011/12/1

胃もたれ、膨満感  内臓マニピュレーション

胃の内臓膜リリース


胃は横隔膜のすぐ下側にあり、口から入った食べ物が食道を通り最初にとどまる袋状の臓器になります。

胃の機能は・・・

・食べた食物を胃の中でかき混ぜて「チャイム」と呼ばれる液体に変えます。


この後、小腸に食べ物を移動させるのですが、その前に一時的に貯蔵されている間に・・・


・ペプシノゲンと胃酸を放出して消化酵素である「ペプシン」を作るために胃の中で混合されます。

・ペプシンによってたんぱく質は「乳化」されます。

・胃酸と消化酵素は食物と一緒に食べてしまったかもしれないバクテリアや菌などの感染性微生物を殺すのを助けます。


この時、胃の壁面はこの強力な胃酸や消化酵素により自身が浸食されないように厚い粘膜層により守られています。


また、胃はその位置をみぞおちの部位に保持するために靭帯や内臓膜により取り囲まれています。
靭帯の中でも特に注目するべきなのは、

・肝臓と胃の小弯をつないでいる膜状の靭帯

・横隔膜から胃を吊り下げている膜状の靭帯


これらの内臓膜や靭帯などに不必要な緊張や引きつれや滑走障害が引き起こされると、胃の機能が低下する事になります。

具体的には、胃の付近(みぞおち)の張りや引きつれ、押さえると痛みや強い圧迫感を感じる事が多いようです。また、胃で十分に殺菌消毒が行われないまま小腸に食べ物が送られることになり、感染症なども起こし易くなってきます。

食べ物がきっちり液状化できず、消化酵素とも上手く混ざらないままに食べ物が小腸に送られることで未消化の食べ物が腸内で発酵してしまい、お腹が膨れてしまういわゆる「ガス腹」や下痢などの原因にもなるようです。

また、隣接する臓器同士はお互いに圧力をかけあうように配置されており、一部の臓器の滑走異常や膨圧(膨れようとする力)の異常が他の臓器の動きや四肢(手足)や体幹(胴体)の運動機能を阻害することにもなってくるのです。


ストレスが胃腸に対して問題を起こすことも良く知られているのですが、実際に臨床的にも胃の部分の問題は多くの患者さんが気付かずに抱えていることが多いようです。

また、筋肉や骨格及び姿勢制御に対してのアプローチで取りきれなかった肩こりや腰痛、背部痛、運動時のひきつれなどがこの内臓の膜へのアプローチすることで上手くいく事もあります。

たかが膜なのですが、見逃してはいけない本当に重要な問題です。

日本では取り組んでいる治療家が少ないのが残念ですね!
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2011/11/22


こんばんは!

今月初めに東京で内臓のマニュピレーションのセミナーを受講してから早くも3週間が過ぎました。

その間、過去に学んだ内臓に対しての手技療法などと照らし合わせながら臨床で検証を続けていたのですが、ようやく実際の日々の治療に有効に用いる事が出来るようになってきました。

西洋医学での内臓に対するアプローチは、

1.手術により問題のある部位を取り除く

2.薬物により問題のある症状を抑え込む

などのいわゆる「薬物手術療法」が中心となっています。


それに対して私たちが今までに学んできた内臓に対する手技によるアプローチは、

1.内臓血管反射点や鍼灸の経絡などを用いて離れた場所に刺激を入れることで、対象となる内臓の血流や神経伝達を改善するもの(間接的な治療法)

2.臓器に対して外部の軟部組織ごとマニュピレーションを行い、臓器のポンピングを行い血流や機能を改善するもの(直接的な治療法)

などとなっていました。


ところが、今回のケリーのセミナーは今迄の概念とは全く違い、臓器を取り囲んでいる膜に対してマニピュレーションを行うことで臓器にかかる異常なテンションを取り除き、臓器が自立した動きを取り戻すことで機能回復するという考え方なのです。

この膜の異常なテンションが、運動器や姿勢保持のための筋骨格系と密接に関連というか連動していることがこのテクニックの一番おいしい所なのです。

つまり、一般的な姿勢の不良や運動器の問題、スポーツ障害などの筋骨格系の問題や姿勢制御に関する神経伝達系の問題と内臓の機能に関する問題が膜という共通の物質で完全にリンクさせることが出来るため、治療の組み立てがとてもシンプルになるのです。


各臓器の反射点や経絡のツボを丸暗記したり、臓器の機能障害別に存在する多数のテクニックを駆使する治療法は使いこなせれば大変効果的でカッコいいのですが・・・

実際の臨床では局所に対して深く踏み込んだ治療になるために時間ばかりかかり、その部位の状態が良くなっても周りとの調和が上手くとれないために、患者さんの体感する効果はいまひとつ・・・

のようになる事が多いため、せっかく学んだ内臓の治療をあんまり臨床で使っている先生は大変少ないようです。

私も時間に相当余裕がある時(つまり治療院が暇な時)以外には内臓に関する問題はどうしてもスルーしてしまうことが多くなっていました。


それもこれも、これからは大丈夫!

この三週間で何とか治療時間がダラダラと長くなることなく内臓の問題まで診る事が出来るようになってきたようです。


膜の治療バンザイ!

浮かれていてはいけないのですが、ますます治療が楽しみになってきました。


次回から少しずつ実際の症状や評価と照らし合わせながら、内臓の膜の治療の有効性について書いてみたいと考えています。
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