今月のテーマ 

2014/8/25

誇張法 胸肋関節 骨盤編  手技療法総論

昨日も一宮に勉強会に行ってきました。

テーマは胸肋関節(背骨の胸椎と肋骨が背中で連結している関節です)および骨盤のなかで触診と誇張法による安定化!


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患者さんの症状の出ている部位とは関係なく触診により関節の可動性が過剰(要するにグラグラ、グニャグニャしている)になっている部位を見つけ出します。

多くの場合、不安定な関節を安定させるための代償作用で周囲の筋肉や筋膜などを緊張させているために本当にゆるんだ関節を見つける事を難しくしています。

先生に問題の部位とその関節のゆるんでいる方向を示されてから触診すると解ったような気になるのですが・・・

新規で不安定部位とその方向を特定するのは相当難しいですね。


勿論、問題部位が特定できなければどんな優れた治療法も意味無しです。

触診による高度な情報収集能力は本当に大切ですね!




志高く鍛練を積まなければ・・・です。
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2012/2/15

むち打ち(交通事故)  手技療法総論

むち打ちと環椎

急性に限らず、むち打ちを経験された患者さんの多くは環椎に位置と動きの異常がみられます。

環椎(首の一番上の骨)は他の椎骨とは違い椎間板を持たないその構造上、ある意味「本当にずれた状態」になり易くなっています。

またその「ずれた状態」が正しく矯正されなければいつまでも「ずれた状態」のままで保持され、その「ずれた状態」に対して全身レベルで代償作用を行ってきます。

その結果、時間が経過すればするほどに全身のあらゆる部分でつじつまが合わないようになってくるのです。


むち打ちの患者さんの場合は、事故により頭部にどの方向の衝撃が加わり、それにより頭部がどの方向に振られ(屈曲や回旋、横スライドなどの動きが組み合わさっているのですが)、そこから反動でどのように戻されたかが重要になります。

そのため、必ず車の絵を描き、

「どの席に座っていたか?」

「ぶつかられた時にどの方向を向いていたか?」

「ぶつかってくる事が前もってわかっていたのか、それとも不意なのか?」

「車のどの部分に相手の車のどの部分が当たってきたのか?」

「当られた後に乗っていた車はどのような方向に回転もしくは押し出されたのか?」

などの状況を出来るだけ詳しく聞き出します。

この初めの聞き取りで頸部の特に環椎がどのように変位しているかをある程度予測することが出来ます。

その予測をもとに上部頸椎をさらに細かく触診することで問題部位を特定することが出来るため、むち打ちを効果的に治療することが可能になります。

ここを飛ばしてしまってはむち打ちを上手く治すことは難しくなってきますね!


上部頸椎、特に頚椎と後頭骨の変位に関しては、その歪みが矯正されない限り何十年も保持されてしまう事があります。

にもかかわらず、先ほど書いたように全身を使って代償作用を行う為に本人には「首の骨がずれている」という自覚がほとんどありません。

その結果として、痛みやしびれ、疲労感などをはじめとする不定愁訴症状が首から離れた部位に出ている場合には、この頸椎問題を全く考慮されずに治療が進む事が多くなってしまうのです。


上部頸椎の歪みやズレは、交通事故だけではなくスキーやスノーボードなどのウインタースポーツやサッカー、ラグビー、バスケットなどのコンタクトスポーツなどにおいての転倒や衝突など頭部に直接外力が加わった場合にも受傷の直接的な原因になります。

また、うつぶせで寝ていたり、肘をついて頭を支えるように横になってテレビを見ていたり、頬づえをついて本を読んだりなどの不良姿勢により継続して頭部に力が加わった場合にも、その行動パターンが反復された場合には受傷の原因になっていきます。

みなさんも一度上部頸椎を調べてもらってくださいね!
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2011/6/11

仙腸関節の構造と機能  手技療法総論

こんばんは!

明日、月1回のセミナー「モーションパルペーション研究会」があります。
以前にブログで紹介しましたが、この研究会は毎回復習テストとレポート提出があるのです。

今週の後半は患者さまが多く来院されたので忙しく、それに加えてテスト勉強とレポートの作成でブログの更新が思ったように出来ませんでした。ゴメン

また、研究会の先生方には私は「出来て当然」と思われているようで、テストもレポートも全く手を抜くことが出来ません。

他の受講生の方に比べてハードルがいきなり高いのです。プレッシャーですね!

私が若い時分(学生のころ)はテーマに関して本で調べたことを丸写しにしたような専門用語が羅列しただけのどうしようもないレポートが多かったのですが今回はそうはいきません。

そこで、気持ちを切り替えてブログに投稿するつもりでレポートを作成してみたところ、一般の人でも読みやすい内容に仕上がったので、本当にブログにアップしてみました。

良かったら読んでみてください。


仙腸関節の構造と機能


一般的に【骨盤】と言われている部分は、【仙骨】と左右一対の【寛骨】から構成されています。
仙骨は背骨を下から支えている骨であり、寛骨は両足の骨を股関節でつないでいる骨になります。

寛骨は発生学的には3つの骨が癒合したものであり、前側の部分が【恥骨】、座る時に椅子や床に着いている部分が【坐骨】、後ろで仙骨とつながっている部分が【腸骨】となっています。

そのために、左右の寛骨が前でつながっている部分を【恥骨結合】と呼び、後ろで仙骨を挟むようにつながっているところを【仙腸関節】と呼んでいます。

西洋医学の分野では仙腸関節は短くて強い靭帯でがっちりと固めるように連結され、解剖の検体では死後硬直のために完全に固まったようになっているため、昔は不動関節(動かない関節)とされてきました。

ところが近年では関節内部は髄膜関節であり滑液(潤滑液)によって満たされていることが解ってきました。これは動く必要がある関節にしか備わっていない仕組みなので、仙腸関節は可動関節(動く関節)であるという認識に変わってきています。

一方、カイロプラクティックをはじめとする手技療法の分野では仙腸関節は古くから可動関節(動く関節)として認識され、この関節の機能異常に対して様々な検査法や評価法、治療法などが研究開発されてきました。

仙腸関節の主な機能を簡単に表現すると、上半身の体重を支えるための【安定性】と歩行などの運動をスムーズに行うための【可動性】の両立であると言えます。
この相反する機能を成立させるためだけでなく、可動するときの運動軸を状況に応じて変化させて様々な複雑な動きをスムーズに行うことを可能にするために、仙腸関節は複雑な構造をとる必要があったと言えます。

また、手技療法の分野では「脳脊髄液の循環」のためのポンプの役割を担っているとも考えられています

仙腸関節の構造を少し詳しく説明しますと、仙骨側はガラス状軟骨と言われる構造で「つるつる」の関節面を持っているのですが、腸骨側は線維性軟骨と言われる構造でどちらかと言えば「ざらざら」の関節面を持っていますので上手く適合している(きっちりと嵌り込んでいる)とはいえません。

また、関節の接触する面の形状は「耳状面」と呼ばれるように耳の形(L字状の形)をしており、表面は複雑に凸と凹が組み合わさった構造になっているのですが、全体としてはお互いに凹面構造になっています。(一般的な関節は凸と凹になってかみ合うようになっています)

このような複雑な面構造を持っているため、運動の軸は様々な状況や機能に応じて変化しているものと考えられます。(たとえば、歩行運動と身体をひねるような運動、脳脊髄液のポンピングはそれぞれ仙腸関節の中の異なる軸を使った運動だと考えられています)

この軸を上手く使い分けることが出来ずに左右で異なる運動軸(本来の機能を行う軸ではない)になってしまった状態で様々な運動を続けた結果が、仙腸関節の機能異常を原因とする病変に繋がっていくものと考えられます。

「構造は機能を表す」と言われますが、このような複雑な構造を持つ仙腸関節の機能には様々な考えが存在し、中には全く逆の考えも存在します。
今後も仙腸関節の機能に関する研究が進んでいくことで、いまだに解明されていない機能が明らかになることを期待しております。
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2011/4/10

モーションパルぺーション  手技療法総論

こんばんは。

今日は朝7時起きで、勉強会に参加してきました。

「モーションパルぺーション研究会」のベーシックセミナーという全10回、毎回宿題とレポート、そして年度末に認定試験がある講座です。

モーションパルぺーションとは、動的触診法のことなのですが皆様には何の事やら・・・

モーションパルぺーションは元々オステオパシーの技術であったのですが、それをカイロプラクティック様にアレンジしてアメリカの系統教育に初めて取り入れたのが「中川貴男」先生であり、この研究会の代表者なんです。

私がカイロプラクティックの勉強を始めたときに指定テキストになっていたのがアメリカのカイロ大学で教科書として使われていた中川先生の本の日本語訳された物でした。

私が講師をしていたときにも中川先生のテキストや考え方を随分と参考にさせていただきました。



モーションパルぺーションとは、背骨や手足の関節の動きを1つ1つ触診して、問題のある部位を特定していく手技療法において独特の、そして無くてはならない検査法なのです。

欧米では、カイロプラクターやオステオパシードクターはレントゲン撮影を普通に撮ることが出来るのですが、日本ではそうはいきません。

レントゲン情報の無いままで骨格構造の問題点を特定するためにはこのモーションパルぺーションの技術が必要になるのです。

この基礎中の基礎であるモーションパルぺーションをきちんとマスターしている人は、過去にカイロ学校で学んだ人や、今ある講座を受講を終了した人の中で1割もいないのではないかと思われる程、難しく奥深い技術なのです。

この技術がマスターできなくとも、手技療法家として生きていくことは勿論可能なのですが、出来るのと出来ないのでは臨床経験を積めば積むほど大きく差が付いてきます。

私も出来ている側の治療家だと思っているのですが、開業してからの20周年を目前に今一度初心に返り、一から勉強してみようと今回参加することにしたのです。


参加者は学生さんや、勤務されている若い人たちが7割、残りは開業されている方たちです。

講師の先生は中川先生以外は全員私より若く、皆さん私のことをよく知っているのでやりにくそうでした。

臨床経験は私の方が圧倒的に多いのですが、その分慣れや、思いこみ等も入りやすくなるもので、教えられたやり方がなかなか上手くできません。

それでも何とか基本的なやり方をきっちり出来るようにと食いついていったのですが、若い先生たちの丁寧な指導や触診技術に気づかされることも多く、本当に有意義な一日となりました。

これで明日から、また新鮮な気持ちで臨床に臨めそうです。

本当に参加して良かったです!

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2010/3/25

ケリーに会ってきました  手技療法総論

こんにちは!先週末の連休は楽しく過ごせましたか?

私は、この連休はここ数年の恒例になっているケリー・ダンブロジオのセミナーに参加してきました。

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ケリーとのお付き合いは、2003年に「ポジショナル・リリース・セラピー」という筋肉の機能障害の評価と治療についての書籍の出版記念セミナーで来日されたときからですので、かれこれ8年になってしまいました。

初めは「ポジショナル・リリース・セラピー」のセミナーを年1回、3年連続での開催でした。その内容は大変濃厚で朝から晩まで会場にこもりっきりの3日間、夜は8時近くまでみっちり実技を指導してくださいます。もちろん夜食なんかが出てくるセミナーは治療家になって数々のセミナーや講習会に参加してきましたが初めての経験でした。

4年目からは私達の要望により年2回の開催になり、内容も「筋エネルギー・テクニック」「マイオフェイシャル・リリース」「トータル・ボディ・バランシング」「筋膜リリース」など身体の機能障害に関するあらゆるテクニックに広がってきています。

今回はこの中の「筋膜リリース」についてのセミナーでして、昨年の11月にレベル1を受講していますので、その続きのレベル2ということでかなり難しい内容となりました。


8年前にケリーと出会ってからの私の治療法は劇的に変化し、今まで直せていなかった多くの問題に対してもよい結果が出るようになってきました。

また、今回のセミナーに参加したことでまた一つ治療に奥行きが出たように感じています。


それにしても…今回の受講生は約40人って少なすぎません?

まあ、少ないほうがみっちりと実技指導が受けられるんですけどね!

ちなみに日本で活動しているカイロプラクター、整体師、鍼灸師、柔整師、理学療法士など人間の機能障害の改善に取り組んでいる治療家たちはおそらく5万人以上いると思われます。

その中の多くの先生方は患者さんを少しでも良くなるように一生懸命取り組んでいると思われますが、いくら一生懸命取り組んでいても知らないことまでは出来ません。

また、文献などから得た情報や知識を持っていたとしても、実際に使えなければ意味がありません。

一体他の先生方はどこで勉強しているのでしょうか?

今回参加している40人の先生の中にも、知識として身に付いたけれど実際の臨床にどう使っていけばよいかが解らないと言っている方が何人も居ました。

もったいない!

私は今関わっている患者さん全員に今回身につけた知識とテクニックを惜しみなく使っていくつもりですけどね!

せっかくですから次回は「膜」のお話などをしてみようと思っています。
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2006/5/31

リモデリング  手技療法総論

受傷後21〜60日間

コラーゲンは完全に非組織化されたゲル構造の格子を形成します。それは、組織の肥厚や線維性組織として触診することができます。
コラーゲンの密度が増加することで、細胞質と血管分布の相対的な減少が起こります。

約2ヶ月後、線維芽細胞の活動は低下するため、コラーゲン生成が低下します。


2ヶ月〜2年後

コラーゲンの無秩序な方向性は伸張負荷に対してはほとんど無力であるため、刺激に対して機能的な直線配置に発展し、ストレスに加わる方向に再配置されます。


わかりやすく解説しますと、早期の段階ではとりあえず損傷部位を安定させるために方向性を無視した状態でコラーゲンによる修復が進みます。

2ヶ月を過ぎた頃より2年間の間、無秩序なコラーゲンによる修復は、運動パターンに合わせてリモデリングされていきます。

つまり、動きを阻害する方向の繊維はどんどん無力化し、動きに沿った方向の繊維は発展していきます。

この期間に、間違った運動パターンによるリモデリングが行われると、その後のあらゆる運動障害の原因になるため、適切なリハビリテーションが必要となります。


固定の問題点

@著名な癒着の形成

A骨粗鬆症や骨密度の低下

B筋肉・関節包・靱帯の萎縮


修復の過程での固定は上記の問題を伴う事を考慮に入れ、リハビリテーションを進めていく必要があります。
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2006/5/22

再生と修復  手技療法総論

再生と修復のプロセスは、2〜6日後から起こり、約3週間続きます。

その間に起こることを説明すると、


1.瘢痕組織には細胞が多く、新しい毛細血管が形成されます。毛細血管はその領域が動かされなければ無秩序に形成されていきます。

2.線維芽細胞とコラーゲンの形成が増加しますが、早期の段階では無秩序で非組織的なパターンで形成され、本来の線維の方向に対して垂直に形成されることが多いようです。線維の強度は脆弱であり、異常な交差結合を起こした部位は組織の柔軟性が失われます。



この時期には、毛細血管や線維芽細胞、コラーゲンなどによる線維の修復が行われるのですが、不必要な筋肉の過緊張や間違えた運動パターンでの関節や筋肉の運動がおこなわれていると、どんどん間違えた方向に線維が修復されていきます。




1.過緊張を緩和する神経反射によるトーンコントロール

2.正しい運動パターンに合わせた運動療法

3.修復する線維の方向を示すような手技テクニック

4. 筋膜の滑走を再生させる手技テクニック


などをうまく組み合わせることで、治癒に至る時間や予後が大きく変わってきます。

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2006/5/15

炎症の急性期  手技療法総論

炎症の急性期は、一般的には受傷(損傷)後24〜48時間続くとされていますが、場合によっては4〜6日間続くこともあります。


受傷後、炎症に伴って身体で起こる事を順を追って説明すると、


1.動脈、静脈、毛細血管の拡張が起こり、発赤と発熱が起こります。

2.血管内から血漿が漏出し、浮腫(腫脹)を起こします。

3.線維芽細胞とマクロファージの数が増加します。また、線維芽細胞の大きさが増加し、細胞間質とコラーゲンを生成します。このプロセスは、損傷から4時間以内に始まり、4〜6日間続きます。コラーゲンは無秩序な方向への網目状の線維となり、力学的には非常に弱い物です。

4.浮腫の圧力と化学刺激(修復の過程で分泌されるプロスタグランジンなどの物質による)により疼痛受容器が刺激され、痛みが出現します。


受傷に伴って患部やその周辺組織の過緊張が生じていることが多く、この過緊張により本来の筋肉をはじめとする軟部組織のアライメントが狂った状態で修復のプロセスが始まると、歪んだ状態での修復及び再生になり、本来の状態からかけ離れた間違えた運動パターンを生み出すことになります。これが次の損傷の原因になっていきます。

しかし、この緊張を和らげようとして行われる急性期の手技やマッサージは、その方法を誤ると痛みを緩和するどころか損傷を悪化させることにもなりかねません。

急性期には、適切なアイシングと共に、患部にできるだけ触れずに行える神経反射を利用した筋肉のトーンコントロールにより、筋肉や軟部組織の過緊張をできるだけ緩和させることが重要になります。

消炎鎮痛剤やシップなどは、修復のプロセスにより分泌されるプロスタグランジンを抑制する物なので、痛みや炎症は緩和されますが、修復のプロセスもブロックしてしまいますので、使い方をよく考えましょう。
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2006/5/8

炎症と外傷  手技療法総論

炎症とは次の4つの兆候を示すものをさします。

1.発赤 
2.発熱 
3.腫脹 
4.疼痛


原因としては次の2種類に分類できます。

1.菌やウィルスなどの微生物が体内に侵入してきた場合

2.外傷などにより、微細炎症環境が形成されてます


に分類される生物刺激を原因とする炎症は、いわゆる感染症によるものなので、内科などの医療機関の範疇になります。

に分類される外傷に起因する炎症が手技療法の対象となります。


外傷は大まかに次の2種類に分類できます。

1.直接的外傷

接触スポーツ(サッカー、ラグビー、格闘技など)による怪我
交通事故などによる鈍的な外傷(打撲や挫傷)


2.間接的外傷

突然の過負荷によるもの
反復的な過負荷
反復的な摩擦抵抗
慢性状態からの急変



これらの外傷による損傷に伴う炎症とその後の再生および修復リモデリングを順を追って説明してみます。

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2006/5/2

筋損傷  手技療法総論

事故やスポーツ傷害などで起こる問題には、皮膚の損傷、筋肉の損傷、靱帯の損傷、骨折などに分類することができます。

今回は、筋肉の損傷について書いてみたいと思います。


筋肉の損傷は、大まかに3つに分類されます。


1.軽度の損傷

軽度の場合は、筋繊維そのものの損傷は最小限であり、筋周囲の結合組織層および筋内の結合組織のコラーゲンの断裂がみられます。損傷後にコラーゲンの異常な交差結合および筋膜内の癒着がおこり、筋が短縮したり柔軟性が失われます。

筋繊維の異常な結合や筋膜内の癒着を解消するためには、手技による特別な方法でのマッサージなどが必要となります。

シップ(消炎鎮痛剤)や固定(サポーター)は、患部の血流を妨げる事になるためにかえって修復が遅れる事になりますし、癒着も悪化させます。


2.中程度の損傷

筋繊維の部分的な断裂があるため、明らかな機能低下がみられます。損傷後、断裂部位を中心に、筋膜の癒着や瘢痕がみられるために慢性的な機能低下を示します。

損傷部位を保護するために一時的に固定することもありますが、できるだけ早い段階で(炎症が治まるのを目安に)筋繊維の走行を整えるような手技を加える必要があります。

慢性期に移行したら、軽度の損傷と同様の手技が必要となります。


3.重度の損傷

筋繊維の完全な断裂があるため、完全な機能低下を示します。ほとんどの場合、手術の適応となります。

術後は筋の長さが短縮し柔軟性も乏しくなるために、筋肉の神経的な促通のためのリハビリとともに、筋膜の長さや柔軟性を取り戻すためのリハビリが必要となります。

慢性期に移行したら、中程度および軽度の損傷で用いた手技が必要となります。


臨床上での筋損傷の場合に、上記で示しました筋膜の癒着や瘢痕組織の問題を全く解決しないうちに神経的な促通リハビリや筋の伸張性を取り戻すためのリハビリが行われています。
しかし、この筋膜癒着や瘢痕組織の問題を先にクリアーにしておかないとほとんどの場合良い結果が出ることはありません。

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2006/4/26

軟部組織痛の原因  手技療法総論

身体の構造的骨組みを構成する結合組織のうち、靱帯・腱・関節包・筋膜(筋の構造的骨組みを形成するものや、殆どの器官や筋を覆うもの)を軟部組織とよび、軟骨や骨、血液、リンパなどの特殊な結合組織と区別されています。


軟部組織の痛みは

@ 損傷によって遊離された化学物質
A 累積ストレスによって生じた機械刺激
B 心理的ストレスによって生じた筋緊張による低酸素状態や酸の増加

に分類され、これらは次にあげる基本的な原因により痛みとなります。


1. 骨膜、関節包、骨、血管周囲組織、靱帯、筋、筋膜などの関節の周囲を構成する組織が、軟部組織の異常な緊張・圧迫・ねじれ、関節の異常アライメントなどにより機械刺激をうけることにより痛みを生じる。

2. 炎症および虚血(低酸素状態)を起こす損傷により、骨膜、関節包、骨、血管周囲組織、靱帯、筋、筋膜などの関節周囲組織の疼痛線維の化学的刺激をおこし痛みとなる。

3. 感覚神経の刺激により神経終末から化学物質(神経ペプチド)が遊離されて、関節周囲組織の疼痛線維の化学的刺激をおこし痛みとなる。

4. 固有受容器(位置と運動の変化を伝える)や侵害受容器(刺激や疼痛を伝える)からの信号により維持された反射性緊張亢進により、組織内の停滞を起こし、低酸素(虚血)状態に陥り痛みを生じる。

5. 軟部組織の浮腫、結合組織の癒着、持続的筋収縮によって生じた神経絞扼などにより、神経内の軸索流の流れが低下した場合は異常感覚を引き起こし、血流が停滞した場合は神経への酸素供給が低下するために痛みを生じる。

6. 心理的・情緒的な原因により筋の過緊張が生じるために、疼痛の既往歴や社会的な状況になどの様々な要因により痛みが増悪する。
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2006/4/17

筋膜の機能障害  手技療法総論

今回から、毎週木曜の夜に行っている勉強会の内容を紹介していこうと思っています。


下腿のコンパートメントと筋膜の機能障害


下腿(ふくらはぎ)には、足関節や足部を動かすための筋肉が12種あり、それぞれの筋肉の表面は筋膜と呼ばれる繊維性の膜で覆われています。

その内、似たような働きをする筋肉が2〜4種類ごとに、深筋膜と呼ばれる膜で仕切られてグループ化されています。これを、コンパートメントと呼んでいます。

また、皮膚の下では筋肉全体が浅筋膜と呼ばれる脂肪性の結合組織で覆われています。皮下脂肪とはこの部分を指します。

正常な状態では、皮膚と浅筋膜の間には滑りがあり、コンパートメントの中でも筋肉相互の自由な動きが出来るようになっています。

これらの正常な滑走能力の低下により、軟部組織痛と呼ばれる痛みや炎症、うっ血、むくみ、皮膚上の局所的なしびれ・麻痺・異常感覚などが生じます。

いわゆる坐骨神経痛のような症状を示すものでも、脊柱の問題(椎間板ヘルニア・脊柱管狭窄症・腰椎の変形など)だけが原因ではなく、このような筋膜の機能異常が原因となる場合も多く見られます。

レントゲンやMRIでは脊柱の問題があるかどうかを調べることが出来ますが、筋膜の機能異常は見つけられません。

海外の文献(日本語に訳されている)では、軟部組織の機能異常や筋膜の癒着などに注目しているものが最近多くなってきていますが、現在の健康保険の枠組みの中で行われている、整形外科的なリハビリテーションや、整骨院などではまだまだこの問題に対しての認識が低いように思われます。

そこで
ホネキン博士の勉強会では、いろいろな整形外科的徒手検査法をアレンジすることで筋膜の機能異常を見つけ出すことから、異常を起こした原因の分析、修正が必要な部位の見つけ方、見つけ出した問題点の修正法などをテーマに行いました。

次回は、軟部組織痛の原因について書いてみます。
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2006/2/20

年のせいで治らない?  手技療法総論

患者さんの身体の右と左の同じ部分に症状を感じていることは稀であり、どちらかに症状があることが多いようです。

たとえば、

「右の膝は痛いけれど、左の膝はそうでもないです」 という様に。

そして、多くの患者さんが

「年のせいですか?」 とか

「使い痛みですかね?」 などとつづけて質問されます。

他の医療機関でよく言われているのでしょうね。


そこで私は次のように問いかけています。


「周りの同い年の人はみんな膝痛になっていますか?」

「あなたの右膝と左膝は同い年じゃないのですか?」

「右足と左足の歩数が違うの?」

「ひょっとして片足でケンケンして歩いていたの?」


右と左を同じように使っているつもりなのに、片方にだけ症状が現れるのは使い過ぎが原因なのでしょうか?

使い過ぎて疲れることはあっても、壊れる理由にはなりません。

間違えた使い方、つまり関節の位置関係が正しくない状態(捻れた状態)で使い続けることで関節は傷んできます。


また、老化により回復のスピードが遅くなったり、間違えた使い方をカバーする筋力が弱ることはあっても、そのことが損傷の原因にはなりません。

間違えた使い方で年を重ねるから、年配者の方がより多くの問題を抱えることになるのです。

年のせいでも使いすぎでもなく、

「使い方に問題がある」のです。


「年をとったから治らなくても仕方がない」とか、「使いすぎてるから治らない」と勝手に思いこんであきらめていませんか?

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2006/2/8

対症療法って良くないの?  手技療法総論

前回は「対症療法は良くない?」について専門的に書いてみましたが、

「内容が難しくてわかりにくい」

と言われましたので、次回からは「肩こり」「腰痛」「頭痛」「足のしびれ」など代表的な症状を順に挙げて、病院や民間療法で行われることを解説してみます。


今日は、患者さんとして来られている歯医者さんが以前に私に話してくれたことを紹介します。

「整形外科さんは、いいよな〜。検査して病名つけていきなり鎮痛剤を注射しても患者さんは怒るどころか喜んでくれてる。」

「さらに、おみやげの鎮痛剤や湿布まで持って帰ってくれて、それらに全部点数がつくのやで。」

「僕ら歯科医が歯痛の患者さんに虫歯とわかって治療せずに鎮痛剤を渡したらどうなると思う? みんな怒って誰も来なくなるで!」


全ての整形外科さんに当てはまることでは無いと思われますが、あまりにも核心をついた話なのでずっと記憶に残っていました。

正しい治療の手助けとして鎮痛剤を用いる事は患者さんの負担を軽減するため有効だと思いますが、

痛みを止めることだけが目的での使用には私も賛成できません。

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2006/2/6

痛みに対する対症療法  手技療法総論

手技療法を行うものとして、痛みに対する対症療法について考えを書いてみたいと思います。

痛みに対する治療とは、痛みという現象を起こしている原因を見つけ出し、その問題点を解決することなのです。

しかし、この痛みとは患者さんが自覚する主観的な現象のひとつであり、他の人には本当のところがわかりにくいのです。

そこで、病院などではレントゲンやMRI、血液検査などの客観的な検査により、病理的な問題を見つけ出し治療します。多くの場合は手術や薬物療法になります。

病理的な問題が見つからない場合や、症状との関連が低い場合は機能的な問題を調べるために問診や徒手による各種の検査により痛みの部位、種類、発現パターンなどから問題点を特定していき、理学療法や手技療法により改善していきます。

病理的な問題や、機能的な問題に対して適切な処置や治療が行われた場合でも、痛みを完全に感じなくなるには多少の時間がかかります。

このような場合には鎮痛剤を用いて痛みを緩和させる対症療法が併用されます。

また、残念ながらその解決法が解らない場合や、問題解決に時間がかかる場合、解決できない場合にとりあえず症状としての痛みを止める為に注射や薬、湿布を用いることが臨床の現場では多くみられます。

前者の場合は、原因へのアプローチをしっかりとしながら、補助的に用いるのですから、期間も限定され副作用の心配も深刻ではありません。

問題は、後者の場合の患者さんがこの事実に対して理解度が低く、原因に対して何のアプローチもしていないのにもかかわらず、痛みが軽減したのは治っているからだと誤解することです。


痛みがあることにより、意識レベルでは患者さんは自分の身体の中で何かが上手くいっていないことを自覚し、安静もしくは無理せずに用心深く行動することができます。

無意識のレベルでは、脳が痛みの情報などより、修復作用(障害部位を治そうとする働き)や代償作用(他の部位で痛みをかばう働き)を発動させます。

「痛みの持つ意味」を患者さんがしっかりと理解し、原因の解決に向かう中で少しでも痛みを緩和する目的で対症療法を用いるのは悪くないことだと思いますが…

…原因がよくわからないとか、原因を探すことすらせずに対症療法だけを行うことには疑問を感じずにはいられません。
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