今月のテーマ 

2006/5/31

リモデリング  手技療法総論

受傷後21〜60日間

コラーゲンは完全に非組織化されたゲル構造の格子を形成します。それは、組織の肥厚や線維性組織として触診することができます。
コラーゲンの密度が増加することで、細胞質と血管分布の相対的な減少が起こります。

約2ヶ月後、線維芽細胞の活動は低下するため、コラーゲン生成が低下します。


2ヶ月〜2年後

コラーゲンの無秩序な方向性は伸張負荷に対してはほとんど無力であるため、刺激に対して機能的な直線配置に発展し、ストレスに加わる方向に再配置されます。


わかりやすく解説しますと、早期の段階ではとりあえず損傷部位を安定させるために方向性を無視した状態でコラーゲンによる修復が進みます。

2ヶ月を過ぎた頃より2年間の間、無秩序なコラーゲンによる修復は、運動パターンに合わせてリモデリングされていきます。

つまり、動きを阻害する方向の繊維はどんどん無力化し、動きに沿った方向の繊維は発展していきます。

この期間に、間違った運動パターンによるリモデリングが行われると、その後のあらゆる運動障害の原因になるため、適切なリハビリテーションが必要となります。


固定の問題点

@著名な癒着の形成

A骨粗鬆症や骨密度の低下

B筋肉・関節包・靱帯の萎縮


修復の過程での固定は上記の問題を伴う事を考慮に入れ、リハビリテーションを進めていく必要があります。
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2006/5/22

再生と修復  手技療法総論

再生と修復のプロセスは、2〜6日後から起こり、約3週間続きます。

その間に起こることを説明すると、


1.瘢痕組織には細胞が多く、新しい毛細血管が形成されます。毛細血管はその領域が動かされなければ無秩序に形成されていきます。

2.線維芽細胞とコラーゲンの形成が増加しますが、早期の段階では無秩序で非組織的なパターンで形成され、本来の線維の方向に対して垂直に形成されることが多いようです。線維の強度は脆弱であり、異常な交差結合を起こした部位は組織の柔軟性が失われます。



この時期には、毛細血管や線維芽細胞、コラーゲンなどによる線維の修復が行われるのですが、不必要な筋肉の過緊張や間違えた運動パターンでの関節や筋肉の運動がおこなわれていると、どんどん間違えた方向に線維が修復されていきます。




1.過緊張を緩和する神経反射によるトーンコントロール

2.正しい運動パターンに合わせた運動療法

3.修復する線維の方向を示すような手技テクニック

4. 筋膜の滑走を再生させる手技テクニック


などをうまく組み合わせることで、治癒に至る時間や予後が大きく変わってきます。

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2006/5/15

炎症の急性期  手技療法総論

炎症の急性期は、一般的には受傷(損傷)後24〜48時間続くとされていますが、場合によっては4〜6日間続くこともあります。


受傷後、炎症に伴って身体で起こる事を順を追って説明すると、


1.動脈、静脈、毛細血管の拡張が起こり、発赤と発熱が起こります。

2.血管内から血漿が漏出し、浮腫(腫脹)を起こします。

3.線維芽細胞とマクロファージの数が増加します。また、線維芽細胞の大きさが増加し、細胞間質とコラーゲンを生成します。このプロセスは、損傷から4時間以内に始まり、4〜6日間続きます。コラーゲンは無秩序な方向への網目状の線維となり、力学的には非常に弱い物です。

4.浮腫の圧力と化学刺激(修復の過程で分泌されるプロスタグランジンなどの物質による)により疼痛受容器が刺激され、痛みが出現します。


受傷に伴って患部やその周辺組織の過緊張が生じていることが多く、この過緊張により本来の筋肉をはじめとする軟部組織のアライメントが狂った状態で修復のプロセスが始まると、歪んだ状態での修復及び再生になり、本来の状態からかけ離れた間違えた運動パターンを生み出すことになります。これが次の損傷の原因になっていきます。

しかし、この緊張を和らげようとして行われる急性期の手技やマッサージは、その方法を誤ると痛みを緩和するどころか損傷を悪化させることにもなりかねません。

急性期には、適切なアイシングと共に、患部にできるだけ触れずに行える神経反射を利用した筋肉のトーンコントロールにより、筋肉や軟部組織の過緊張をできるだけ緩和させることが重要になります。

消炎鎮痛剤やシップなどは、修復のプロセスにより分泌されるプロスタグランジンを抑制する物なので、痛みや炎症は緩和されますが、修復のプロセスもブロックしてしまいますので、使い方をよく考えましょう。
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2006/5/8

炎症と外傷  手技療法総論

炎症とは次の4つの兆候を示すものをさします。

1.発赤 
2.発熱 
3.腫脹 
4.疼痛


原因としては次の2種類に分類できます。

1.菌やウィルスなどの微生物が体内に侵入してきた場合

2.外傷などにより、微細炎症環境が形成されてます


に分類される生物刺激を原因とする炎症は、いわゆる感染症によるものなので、内科などの医療機関の範疇になります。

に分類される外傷に起因する炎症が手技療法の対象となります。


外傷は大まかに次の2種類に分類できます。

1.直接的外傷

接触スポーツ(サッカー、ラグビー、格闘技など)による怪我
交通事故などによる鈍的な外傷(打撲や挫傷)


2.間接的外傷

突然の過負荷によるもの
反復的な過負荷
反復的な摩擦抵抗
慢性状態からの急変



これらの外傷による損傷に伴う炎症とその後の再生および修復リモデリングを順を追って説明してみます。

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2006/5/2

筋損傷  手技療法総論

事故やスポーツ傷害などで起こる問題には、皮膚の損傷、筋肉の損傷、靱帯の損傷、骨折などに分類することができます。

今回は、筋肉の損傷について書いてみたいと思います。


筋肉の損傷は、大まかに3つに分類されます。


1.軽度の損傷

軽度の場合は、筋繊維そのものの損傷は最小限であり、筋周囲の結合組織層および筋内の結合組織のコラーゲンの断裂がみられます。損傷後にコラーゲンの異常な交差結合および筋膜内の癒着がおこり、筋が短縮したり柔軟性が失われます。

筋繊維の異常な結合や筋膜内の癒着を解消するためには、手技による特別な方法でのマッサージなどが必要となります。

シップ(消炎鎮痛剤)や固定(サポーター)は、患部の血流を妨げる事になるためにかえって修復が遅れる事になりますし、癒着も悪化させます。


2.中程度の損傷

筋繊維の部分的な断裂があるため、明らかな機能低下がみられます。損傷後、断裂部位を中心に、筋膜の癒着や瘢痕がみられるために慢性的な機能低下を示します。

損傷部位を保護するために一時的に固定することもありますが、できるだけ早い段階で(炎症が治まるのを目安に)筋繊維の走行を整えるような手技を加える必要があります。

慢性期に移行したら、軽度の損傷と同様の手技が必要となります。


3.重度の損傷

筋繊維の完全な断裂があるため、完全な機能低下を示します。ほとんどの場合、手術の適応となります。

術後は筋の長さが短縮し柔軟性も乏しくなるために、筋肉の神経的な促通のためのリハビリとともに、筋膜の長さや柔軟性を取り戻すためのリハビリが必要となります。

慢性期に移行したら、中程度および軽度の損傷で用いた手技が必要となります。


臨床上での筋損傷の場合に、上記で示しました筋膜の癒着や瘢痕組織の問題を全く解決しないうちに神経的な促通リハビリや筋の伸張性を取り戻すためのリハビリが行われています。
しかし、この筋膜癒着や瘢痕組織の問題を先にクリアーにしておかないとほとんどの場合良い結果が出ることはありません。

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