今月のテーマ 

2006/4/26

軟部組織痛の原因  手技療法総論

身体の構造的骨組みを構成する結合組織のうち、靱帯・腱・関節包・筋膜(筋の構造的骨組みを形成するものや、殆どの器官や筋を覆うもの)を軟部組織とよび、軟骨や骨、血液、リンパなどの特殊な結合組織と区別されています。


軟部組織の痛みは

@ 損傷によって遊離された化学物質
A 累積ストレスによって生じた機械刺激
B 心理的ストレスによって生じた筋緊張による低酸素状態や酸の増加

に分類され、これらは次にあげる基本的な原因により痛みとなります。


1. 骨膜、関節包、骨、血管周囲組織、靱帯、筋、筋膜などの関節の周囲を構成する組織が、軟部組織の異常な緊張・圧迫・ねじれ、関節の異常アライメントなどにより機械刺激をうけることにより痛みを生じる。

2. 炎症および虚血(低酸素状態)を起こす損傷により、骨膜、関節包、骨、血管周囲組織、靱帯、筋、筋膜などの関節周囲組織の疼痛線維の化学的刺激をおこし痛みとなる。

3. 感覚神経の刺激により神経終末から化学物質(神経ペプチド)が遊離されて、関節周囲組織の疼痛線維の化学的刺激をおこし痛みとなる。

4. 固有受容器(位置と運動の変化を伝える)や侵害受容器(刺激や疼痛を伝える)からの信号により維持された反射性緊張亢進により、組織内の停滞を起こし、低酸素(虚血)状態に陥り痛みを生じる。

5. 軟部組織の浮腫、結合組織の癒着、持続的筋収縮によって生じた神経絞扼などにより、神経内の軸索流の流れが低下した場合は異常感覚を引き起こし、血流が停滞した場合は神経への酸素供給が低下するために痛みを生じる。

6. 心理的・情緒的な原因により筋の過緊張が生じるために、疼痛の既往歴や社会的な状況になどの様々な要因により痛みが増悪する。
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2006/4/17

筋膜の機能障害  手技療法総論

今回から、毎週木曜の夜に行っている勉強会の内容を紹介していこうと思っています。


下腿のコンパートメントと筋膜の機能障害


下腿(ふくらはぎ)には、足関節や足部を動かすための筋肉が12種あり、それぞれの筋肉の表面は筋膜と呼ばれる繊維性の膜で覆われています。

その内、似たような働きをする筋肉が2〜4種類ごとに、深筋膜と呼ばれる膜で仕切られてグループ化されています。これを、コンパートメントと呼んでいます。

また、皮膚の下では筋肉全体が浅筋膜と呼ばれる脂肪性の結合組織で覆われています。皮下脂肪とはこの部分を指します。

正常な状態では、皮膚と浅筋膜の間には滑りがあり、コンパートメントの中でも筋肉相互の自由な動きが出来るようになっています。

これらの正常な滑走能力の低下により、軟部組織痛と呼ばれる痛みや炎症、うっ血、むくみ、皮膚上の局所的なしびれ・麻痺・異常感覚などが生じます。

いわゆる坐骨神経痛のような症状を示すものでも、脊柱の問題(椎間板ヘルニア・脊柱管狭窄症・腰椎の変形など)だけが原因ではなく、このような筋膜の機能異常が原因となる場合も多く見られます。

レントゲンやMRIでは脊柱の問題があるかどうかを調べることが出来ますが、筋膜の機能異常は見つけられません。

海外の文献(日本語に訳されている)では、軟部組織の機能異常や筋膜の癒着などに注目しているものが最近多くなってきていますが、現在の健康保険の枠組みの中で行われている、整形外科的なリハビリテーションや、整骨院などではまだまだこの問題に対しての認識が低いように思われます。

そこで
ホネキン博士の勉強会では、いろいろな整形外科的徒手検査法をアレンジすることで筋膜の機能異常を見つけ出すことから、異常を起こした原因の分析、修正が必要な部位の見つけ方、見つけ出した問題点の修正法などをテーマに行いました。

次回は、軟部組織痛の原因について書いてみます。
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2006/4/13

腕のしびれとビタミンB12  正分子講座

左腕が自転車のハンドルを持つ角度になるとしびれが出てくる患者さんが来院されています。

年齢は50歳代後半の女性で、体格は中肉中背、スポーツも何もしていません。

左腕のしびれ以外では、肩こりや腰痛がありました。

数回の施術で、身体の捻れもずいぶんとましになったので、肩こりと腰痛はほとんど感じないようになりましたが、しびれは相変わらず感じる様なので一度首の(頚椎)レントゲン及びMRI検査を病院で受けるようにお願いしました。

はじめに行った病院では、頚椎には異常なしと言われ、MRIも必要ないと言われ、湿布が処方されました。

しばらくしてから別の病院でもう一度調べてもらうと、今度は5方向からの撮影を行い、「横突間孔の形がいびつになっている事が原因」と診断されたようですが手術などは出来ませんとも言われたそうです。

ビタミンB12(メチコバール)が処方され、3日後くらいから少ししびれがましに感じるようになったそうです。


この患者さんは、症状はましになったけれども、骨の変形でしびれていると診断されたのに、ビタミンで症状変化が出るのは何でだろうと疑問に思ったようです。


ここでビタミンB12についてお勉強してみましょう。


ビタミンB12は、葉酸とともに、遺伝子を構成する核酸の合成に関わっている栄養素です。

そのため、脊髄で赤血球を作る働きを助ける作用があり、葉酸とともに「造血のビタミン」とも呼ばれています。

ビタミンB12が不足して起こる貧血は、「悪性貧血」として鉄分の不足による貧血と区別されています。

また、神経内細胞の脂質膜の合成にも関与していて、傷ついた末梢神経の回復に効果があり、腰痛や肩こり、手足のしびれを改善する事が判っています。

さらに、中枢神経や脳への作用も認められていて、不眠症時差ボケにも効果を発揮します。

このほか、動脈硬化や心筋梗塞の原因物質として最近話題のホモシステインというアミノ酸の代謝にも関わっている事がわかってきました。


ところが、
食品中のビタミンB12の含有率を見ると、肉・魚貝類・卵・乳製品などの動物性食品に多く含まれており、植物性食品にはほとんど含まれていないのです。

菜食が多い方は要注意です。


ビタミンB12の必要所要量は、厚生労働省によると、成人で1日2.4マイクログラム(1マイクログラムは100万分の1グラム)とされています。

これは悪性貧血を起こさないための最低量で、少し余裕をみて、必要量を1日5マイクログラムとする説もあります。
 
これらは「欠乏症を防ぐ」ための摂取量ですが、栄養療法を提唱している研究者によると、1日に3000マイクログラムのビタミンB12をとる事により、様々な作用が起こると述べています。

ビタミンB12は、体内のすべてのたんぱく質を修復する働きを持っていますが、特に脳や神経の修復には、ビタミンB12が不可欠なのです。
 

元京都大学医学部の亀山正邦教授は、健康な老人の脳と比較して、老人性痴呆患者の脳では、含まれるビタミンB12が4〜6分の1に低下していたと報告しています。

老人性痴呆とビタミンB12との深い関係を示唆する研究結果といえます。

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2006/4/10

葉酸の働き  正分子講座

葉酸とは

葉酸は、水に溶ける水溶性ビタミンのひとつで、ビタミンB群の仲間です。
ほうれん草など緑の葉の中に多く含まれるためこの名前が付きました。


葉酸の働き


1.葉酸は細胞の生成

葉酸はDNAの生成、修正に大きく関与するだけでなく、DNAの正確な作成にも関係しています。

DNAのコピーが活性酸素などの影響でミスコピーになった場合に、素早く修正する必要があります。

この修正に働く酵素は、葉酸により反応します。つまり、葉酸が不足すると十分に酵素が働かずにミスコピーがそのままになって細胞を形成してしまいます。

赤血球のDNAがミスコピーを起こした場合、巨大な赤血球を作って悪性貧血を引き起こします。

また腸内の粘膜等は新陳代謝のサイクルが早いので葉酸不足の影響がでやすく、ミスコピーが発生すると潰瘍を招きます。

同じ理由で口内炎にもなります。

またガン細胞もミスコピーされた細胞がもとになっているので酵素によって分解されずにそのままだと、どんどん増殖してしまいます。

葉酸はがん予防にも効果的なのです。

成長期の子供や妊婦のように成長著しく、細胞分裂が盛んな時期には特に必要とされる栄養素です。



2.貧血予防

葉酸はビタミンB12と協力して、赤血球の生成に深くかかわってます。葉酸は赤血球内の核酸(DNA)の合成に必要で、ビタミンB12は葉酸の働きを高める補酵素の役割をします。どちらか1つが不足しても十分な働きは期待できません。

悪性貧血の症状は、頭痛、めまい、吐き気、動悸、息切れ、舌の痛み、味覚の低下、食欲不振、消化不良、下痢などです。



3.神経細胞の働きを維持

脳内では神経細胞同士が信号を伝達しあうことで、全身に指示を出しています。

神経細胞はリン脂質(約33%はコレステロール)で覆われていて、これにより正常な信号伝達が保たれています。

しかしリン脂質は活性酸素の影響で破壊されてしまうことがあり、そのままだと信号の伝達が不十分となり、最悪痴呆症や、うつ病を招く可能性もあるそうです。

破壊されたリン脂質は、たんぱく質と結合して血管を通って脳へと送られてきた葉酸の働きで、新たなに生成されて、神経細胞が補修されます。

葉酸が不足するとリン脂質の修復が遅れ、さまざまな神経伝達障害が発生してしまいます。



4.動脈硬化の予防

最近の研究では、葉酸が不足するとホモシステインという物質が増加することがわかってきました。

ホモシステインはビタミンB12の説明でも出てきました動脈硬化や心筋梗塞の原因物質として最近話題のアミノ酸です。

動脈硬化とは血管が硬化したり、狭くなったりして、血液の流れが阻害されてしまう病気です。脳梗塞や心筋梗塞を引き起こす原因としても知られています。


通常ならビタミンB6、B12、葉酸の働きでもとのメチオニン、あるいはシステインへと変換されるのですが、これらが不足するとホモシステインの量が増大し、血中のホモシステイン濃度も上昇してしまいます。


ホモシステインが増えると

まず第一に、ホモシステインは血中の水や酸素と結びついて活性酸素を形成します。

活性酸素は不飽和脂肪酸と結びついて過酸化脂質となり、過酸化脂質が血管に付着して動脈硬化の引きがねとなります。

またホモシステインには血管をしなやかにする血管拡張物質の生成を抑制してしまう働きもあります。

他にも血管を修復する血小板の凝集機能を狂わせることも知られており、これにより傷ついた血管を修復する際、多量の血小板が集まって血管が詰まってしまう恐れがあります。

このようなことから葉酸の不足は動脈硬化を引き起こす要因として注目されています。
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2006/4/3

身体が硬くて腰痛に B  臨床レポート

2月22日

少し腰の調子が良くなってきたとのことです。

骨盤の左右の動きに加え、回旋の動きも良くなってきているようです。

前回同様の手技と股関節の伸展方向の可動域をあげる体操を再指導して終わりにします。


3月4日

仕事中の腰の痛みはほとんど感じなくなったとのことです。

初診時は、うつぶせに寝ると骨盤がベットから浮いた状態になり、膝を曲げてかかとをお尻に近づけると股関節の前から太ももの前にかけてが引きつって痛んでいましたが、今回はかかとがお尻についても引きつりはなく、股関節をさらに伸展することができるようになりました。

今日から、歩行パターンの修正です。

まずはじめに片足ずつ立ってもらうと、どちらもかなりふらつきますが、右は特にひどく立つことができません。

身体全体のトーヌス(筋の緊張状態)も左半身が高くなっているので、右への刺激の入力を意識しながら施術していきます。

足に関しては、右の趾(ゆび)、アーチ(土踏まず)、かかとの内反(内側へのねじれ)などを調整してから趾の運動をやってもらいます。

もちろん普通の運動ではなく、神経回路の流れをよくするための特別な運動(4ステップ体操)です。


この時点で片足ずつ立ってもらうと右足の方が立ちやすくなり、ふらつきも殆どでないようになったので今日は終わりにします。

次回まで、毎晩の股関節前面の柔軟体操に加えて歩く前の準備運動として右趾の運動を宿題にしておきます。


つづく・・・
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