2011/4/3  8:54

これを機会に「タバコ」のことを考えてみる。  心と体

3月29日サンスポ.comの記事。
「野口健氏が被災地に届ける寝袋とタバコ」

これについて、私はツイッターでこんなことをつぶやきました(要約)。
「今、大騒ぎしている放射線の健康被害より、タバコの害のほうが大きいのに。(福島原発周辺を除いて)」

そしてら、色々な方からご意見が。
「被災地の人が、普段の生活を思い出すものになるのなら、それを非難するはどうかと思う」というのが多数。
「やっぱりタバコの健康被害を考えると、どうかと思う。」というほうが少数派かな?

面白いのは、後者の意見は医療関係者がほとんど。

タバコって、「嗜好品」に分類されると多くの人が思っていますよね。
じゃあ、「嗜好品」って?
大辞泉では、「栄養をとるためでなく、その人の好みによって味わい楽しむ飲食物。茶・コーヒー・タバコ・酒など。」
たしかに、「世界4大嗜好品」としてその4つが挙げられています。

その4つ「茶、コーヒー、タバコ、酒」を見たときに、
明らかにタバコは異質なのがわかりますか?
お茶やコーヒーに含まれるカフェインやお酒のアルコールは、
確かに多量にすると健康を害しますが、
適量であればほとんど健康を害することはありません。
「酒は百薬の長」を言われるのも一理ある部分もあります。

では、タバコはどうでしょう?
「タバコの害」については、色々なところで書かれていますが、
とりあえず、このページこのページあたりを見てみてください。
少量だって健康にいいところは1つもありません。
そして、ニコチンは多くの人に依存性をもたらします。
明らかに他の3つとは違いますね。
私は、いや、多くの医療関係者は、「タバコは嗜好品とは認めない」と思っているはずです。

「いやいや、でも、タバコは法律で禁じられている訳ではない、
 それをとやかく言われる筋合いはない」という反対意見が出るでしょう。

・・・では、なぜ明らかに健康を害するタバコが法律で禁じられていないのか?
いろいろな「大人の事情」が見え隠れしますね。
「タバコ農家やタバコ産業の保護」というのもあるでしょう。
「タバコ税による税収が大きい」ので、「必要悪」として認めざるを得ない・・・
というのが、かなり大きな理由ではないのでしょうか?
タバコって、税負担率が6割以上なんですって。

それでも、タバコによって健康を害し、
その疾患治療に使われる医療費が莫大であることが明らかになり、
ようやく平成14年に制定された「健康増進法」で
受動喫煙の害を訴える方向になってはきてていますが、
喫煙そのものを抑制するにはいたらず、
まだまだ日本は「喫煙対策後進国」といっていいでしょう。

北海道大学の予防医学講座の先生方は「タバコは国が認可している最大の殺人鬼」と書かれています。

私は生まれてこの方、タバコを吸ったことがありません。
「吸ったことがない人の論理」といわれてしまうのは非常に悔しいですが、
実は、私も数年前まで
「ヒステリックにタバコの害を訴えて禁煙を推進する人ってどうなの?」
と思っていました。
父も、私が子供の頃からヘビースモーカーでしたし、
夫も結婚前、付き合い始めたころはそうで、二人とも1日60本ほど平気で吸っていたとか。
むしろ、「タバコを吸う男性ってかっこいい」くらいに思っていた時期もあったくらい。

身近な大切な人が愛煙家で、タバコを吸うことがストレス解消になるといわれると、
「かわいそう。そんなに吸いたいなら吸わせてあげたいな」
と思うのも、もっともな感情でしょうし、私もそう思っていました。

5年くらい前に二人とも、拍子抜けするほとあっさりと禁煙に成功したのですが、
禁煙後5年経過した昨年、父を食道がんで亡くしました。
その病気にタバコがどれだけ影響していたのか?と考えると、
やっぱり残念でならないのです。
(おそらく禁煙した時点で、初期の癌はあったものと思われます。)

被災地の人々のストレスたるや、私など想像もつきません。
現地ではタバコ1箱5000円で取引されているのを見た、
とボランティアから帰ってこられた方からが情報もあり、
「欲しい人がいて、そのストレス解消になるなら、タバコも必要悪」
という考えも否定はしませんが、
「一時的に「タバコという合法DRUG」で逃避して、何の解決になるの?」
という考え方をしたほうが健康的ではありませんか?

もしかして「タバコがない」という日常が当たり前であれば、
そのまま、自然に禁煙が成功する人も多いのかもしれない。
「喫煙者のみなさん。これを機会にタバコをやめませんか?」
と、笑顔で明るく訴え、
差し入れするなら、「電子タバコとニコチンガム」にしたらいかがでしょう?

私は、本当の優しさとは、その人のためになることを、
例え、その人にとって耳が痛いことでも、
本気で考えて、何かを言ったり、したりすることだと思います。
それは、今回のような未曾有の大災害の後でも一緒で、
絶対にこの考え方だけは曲げたくありません。

人々の健康を守る、特に「予防医学」を専門とする私としては、
どうしてもこの「必要悪」を認めることはできないのです。

8
テーマ: 健康生活



2011/4/7  16:55

投稿者:江夏 亜希子

そめたか先生
ありがとうございます。ツイッターでの反響では「医療者は数少ない楽しみも奪うのか?!」という意見が多く、ちょっとめげそうでしたが、毅然としたメッセージを送るべきと勇気がわきました。

拍手コメントの方にも禁煙外来のドクターからコメントをいただいており、一部改変して紹介させていただきますね。
○○市内の総合病院で禁煙外来を担当しています。同じ敷地に精神科も併設しているため当初は困難を覚悟していましたが意外とすんなり敷地内禁煙が決定してこの4月から4年目を迎えます。「ニコチン依存症」を理解してもらうにはまだまだ時間とエネルギーがかかりそうですが・・卒煙した「患者さん」の笑顔をみるとパワーをもらえます。禁煙して苦情や後悔の言葉を聞いたことはまだありません。外来で誇らしげな顔で「吸ってないよ」と声掛けてくれます。野口健さんが、被災者への支援物資に寝袋とタバコ・・の
報道を見てちょっと切なくなりました。

2011/4/6  10:45

投稿者:そめたか

先生、その通りですよ。僕ら医療人は、しっかりと被災地にたばこを送ってはだめと、メッセージを出さないといけませんね。
本当に、被災地の環境は土埃、不潔な毛布などなどで、呼吸器疾患には劣悪すぎる環境です。
そこに、受動喫煙まで持ち込まれては、ぜんそく、気管支炎が悪化することは目に見えています。
それで、命を落とす危険性もあることが、普通の人にはピンとこないかもしれませんので、しっかり、啓蒙することが必要と感じます。


※投稿されたコメントは管理人の承認後反映されます。

コメントを書く


名前
メールアドレス
コメント本文(1000文字まで)
URL




teacup.ブログ “AutoPage”